韓国人と本音で繋がる!「察して」はNG?言葉と文化の壁を越える交流術
日本と韓国は地理的に近く、文化的な共通点も多い一方で、人々の性格やコミュニケーションスタイルには興味深い違いが見られます。特に、韓国人と交流する中で、日本人が当たり前だと思っていることが通用せず、戸惑ったり、時には誤解が生じたりすることもあるでしょう。今回は、韓国人の視点から見た日本人の性格、特に「本音と建前」の文化に焦点を当て、韓国語の特性やコミュニケーション上の注意点、そしてより良い関係を築くためのヒントを探っていきます。お互いの違いを理解することで、よりスムーズで心温まる国際交流が可能になるはずです。
目次
韓国人が戸惑う?日本人の「本音と建前」文化
韓国人の友人や知人がいる方なら、彼らが日本人の「本音と建前」について語るのを聞いたことがあるかもしれません。多くの韓国人にとって、これは日本人の最も特徴的で、時に理解しがたい性格の一つとして映るようです。この文化の違いが、時に日韓コミュニケーションの最初の「壁」となることも少なくありません。
「裏表がある?」韓国人の目に映る日本人像
韓国のブログやコミュニティサイトを覗いてみると、「日本人は本音を言わない」「何を考えているかわかりにくい」「속마음을 알 수 없다(ソンマウムル アル ス オプタ:腹の内が読めない)」といった意見がよく見られます。これは、直接的な表現を好み、「본심(ポンシム:本心)勝負」が基本とされる韓国の文化から見ると、心の中で思っていること(本音)と、実際に口に出す言葉や態度(建前)が異なる日本人のコミュニケーションスタイルが、「裏表がある」ように感じられたり、距離を感じさせたりすることがあるためです。
例えば、食事に誘われた日本人が、本当は行きたくなくても「ぜひ行きたいです!(でも、その日はちょっと…)」と曖昧に断った場合、韓国人は「行きたいならなぜ具体的な日程を決めないのだろう?」と混乱することがあります。韓国では、行けない場合は「미안하지만 그날은 선약이 있어서 어려워요(ミアナジマン クナルン ソニャギ イッソソ オリョウォヨ:申し訳ないけど、その日は先約があって難しいです)」と理由を添えてはっきり断ることが、相手への誠実さと見なされることが多いのです。
もちろん、すべての韓国人がそう感じているわけではありませんし、日本文化への理解が深い人も増えていますが、一般的に「本音と建前」は、韓国人にとって馴染みが薄く、戸惑いを感じやすい文化と言えるでしょう。

「本音」と「建前」の間で揺れる日本人。その様子は韓国人にはどう映る?
日本人が「本音と建前」を使う理由とは?
では、なぜ日本人は「本音と建前」を使い分けるのでしょうか?これには諸説ありますが、一般的には以下のような理由が挙げられます。
- 和を重んじる文化: 相手の気分を害したり、場の雰囲気を壊したりすることを避けるため、直接的な批判や否定的な意見を避け、遠回しな表現や肯定的な言葉を選ぶ。「空気を読む」という言葉に象徴されるように、集団の調和が個人の意見表明よりも優先される場面が多い。
- 相手への配慮・思いやり: 相手に恥をかかせない、負担をかけないといった「忖度(そんたく)」の精神から、本音を抑えて建前で応対する。これは、相手の立場や感情を細やかに察する日本的な優しさの表れとも言えます。
- 自己防衛: 本音を明かすことで自分が傷ついたり、不利な立場になったり、あるいは他者との間に摩擦が生じることを避けるため。
- 社会的な期待: その場にふさわしいとされる態度や言動(建前)を取ることが、社会的に求められる場面がある。特に公的な場や目上の人との関係では、個人の感情よりも役割に応じた振る舞いが重視される。
これらの背景には、集団の調和を重視し、波風を立てることを嫌う日本の伝統的な価値観が影響していると考えられます。日本人にとっては、ある意味「処世術」であり、円滑な人間関係を築くための知恵とも言えるかもしれません。しかし、この「知恵」が国際的な場面では誤解の元になることも認識しておく必要があります。
韓国文化における「本音勝負」と「情(정)」の価値観
一方、韓国では、自分の意見や感情を比較的ストレートに表現することが良しとされる傾向があります。もちろん、目上の人に対する敬意や礼儀(예의:イェウィ)は非常に重視されますが、親しい間柄や同等の立場の人との間では、回りくどい言い方をせず、はっきりと自分の考えを伝えることが、むしろ誠実さの表れと受け取られることが多いです。
この背景には、韓国特有の「情(정:チョン)」という文化が深く関わっています。「情」とは、愛情、友情、同情、共感などが複雑に混ざり合った、温かい心の繋がりを指す言葉です。韓国人はこの「情」を非常に大切にし、人間関係においても「情が深い」ことが美徳とされます。そして、情が深い関係においては、本音で語り合い、時には厳しくても相手のためを思って正直な意見を伝えることが、真の「情」の表れだと考えられるのです。
韓国ドラマなどを見ていても、登場人物たちが感情豊かに、時には激しく意見をぶつけ合うシーンがよく見られますね。これは、感情を内に溜め込まず、はっきりと表現することを良しとする文化、そして「本音でぶつかり合う」ことで、かえって信頼関係が深まり、「情」が育まれると考えられている側面を示していると言えるでしょう。
韓国にもある「ヌンチ(눈치)」でも日本とどう違う?
日本人が「空気を読む」ように、韓国にも「ヌンチ(눈치)」という概念があります。これは直訳すると「目端」や「目配り」といった意味で、「その場の雰囲気や相手の顔色をうかがって状況を察知する能力」を指します。「ヌンチが早い(눈치가 빠르다)」は褒め言葉として使われ、社会生活を円滑に送る上で重要なスキルとされています。
しかし、日本の「空気を読む」と韓国の「ヌンチ」は、似ているようでいてニュアンスが異なります。日本の「空気を読む」が、主に波風を立てないよう自分の意見や行動を抑制する方向に働くことが多いのに対し、韓国の「ヌンチ」は、相手の意図や状況を素早く把握し、自分が有利に立ち回ったり、あるいは相手に適切に合わせたりするための、より積極的で戦略的な意味合いを持つことがあります。また、ヌンチを働かせた結果、自分の意見をはっきり言うべきだと判断すれば、ストレートに伝えることもあります。この点が、常に調和を優先する日本の「空気読み」とは異なる点です。

韓国の「ヌンチ」文化。相手の表情や場の雰囲気を敏感に察知する能力が求められる。
「以心伝心」は通用しない?国際交流での注意点
「言わなくてもわかるだろう」「척하면 삼천리(チョカミョン サムチョンリ:ツーカーの仲、阿吽の呼吸)」といった、いわゆる「以心伝心」のコミュニケーションは、同質性の高い日本社会の中ではある程度機能するかもしれませんが、文化背景の異なる韓国人や他の外国人との間では通用しないと考えた方が良いでしょう。
良かれと思って使った建前が、相手にとっては「嘘をつかれた」「はっきりしない」「애매하다(エメハダ:曖昧だ)」と受け取られ、不信感につながってしまう可能性もあります。特に、ビジネスの場面や重要な約束事などにおいては、誤解を避けるためにも、できるだけ明確で具体的な言葉で伝えることが重要です。相手の文化を理解し、自分のコミュニケーションスタイルを意識的に調整する姿勢が求められます。
言葉の壁が誤解を生む?韓国語コミュニケーションの注意点
韓国人とコミュニケーションをとる上で、「本音と建前」文化の違いに加え、言語そのものの特性も誤解を生む要因となることがあります。特に韓国語は、日本語と文法構造が似ている部分が多いものの、表現方法やニュアンスには注意が必要です。これらを理解することで、よりスムーズな意思疎通が可能になります。
曖昧さを嫌う韓国語:「行かせてもらう」は不自然?
日本語には、相手への配慮やへりくだった気持ちを表すための婉曲表現や謙譲表現が豊富にあります。例えば、「昨日、姉の家に行かせてもらいました」のような言い方は、日本語としてはごく自然ですね。これは、相手に許可を得て行動した、あるいは相手の厚意によって可能になったというニュアンスを含んでいます。
しかし、これをそのまま韓国語に直訳しようとすると、非常に不自然で、場合によっては間違った韓国語になってしまいます。
例:어제 저는 누나(언니) 집에 가게 받았습니다. (直訳的で非常に不自然。意味が通じません)
このような場合、韓国語ではもっと直接的に「어제 저는 누나(언니) 집에 갔습니다.」(オジェ チョヌン ヌナ(オンニ) チベ カッスムニダ:昨日、私は姉の家に行きました。)と表現するのが自然です。韓国語では、日本語ほど複雑な謙譲表現は用いられず、事実を客観的かつ明確に伝えることを好む傾向があります。もし「姉の許しを得て」というニュアンスを加えたいなら、「누나(언니) 허락 받고 갔어요(ヌナ(オンニ) ホラク パッコ カッソヨ:姉(兄の妻/姉)の許可をもらって行きました)」のように具体的に説明する必要があります。
主語は必須!誰が何をしたか明確に
日本語では、文脈から明らかな場合、主語を省略することがよくあります。例えば、「昨日映画見たよ」だけで、誰が見たのかは会話の流れで分かります。しかし、韓国語では、基本的に主語を明確にしないと文意が通じにくくなります。「誰が」その行動をしたのかをはっきりさせることが重要視される言語なのです。
この言語特性も、韓国人が曖昧な表現を好まず、直接的なコミュニケーションを重視する背景の一つと言えるかもしれません。「言わなくてもわかるだろう」という感覚は、韓国語のコミュニケーションでは通用しにくいのです。特に文章を書く際や、複雑な内容を伝える際には、主語を意識的に補うようにしましょう。
失敗談から学ぶ:「後で」のニュアンスの違い(이따가 vs 나중에)
単語の意味は同じでも、ニュアンスが異なるために誤解が生じることもあります。筆者の失敗談として紹介されている「이따가」(イッタガ)と「나중에」(ナジュンエ)の使い分けが良い例です。
- 이따가 (イッタガ): 「後で」の中でも、比較的すぐ後、今日中など、近い未来を指すニュアンスが強い。数時間後、あるいは数分後という感覚です。「이따 봐요! (イッタ バヨ!)」は「また後でね!(今日中に会う前提)」という挨拶でよく使われます。
- 나중에 (ナジュンエ): 「後で」の中でも、漠然と未来のいつか、今日とは限らない、より時間的に幅のある「後で」を指すニュアンスが強い。明日かもしれないし、来週、来年、あるいはもっとずっと先かもしれません。「나중에 연락할게 (ナジュンエ ヨルラカルケ)」は「いつか連絡するね(具体的な時期は未定)」という意味合いになります。
この記事の筆者は、「나중에」と言われたのを、日本語の「後で(今日中に)」と同じ感覚で捉えてしまい、その日ずっと待ち続けてしまった経験があるそうです。このように、辞書的な意味は同じでも、実際の使われ方やニュアンスの違いを知らないと、コミュニケーションに齟齬が生じてしまいます。約束事をする際には、具体的な日時を確認することが大切です。
似ているようで違う単語、勘違いしやすい表現例
「이따가」と「나중에」以外にも、日韓で意味やニュアンスが異なる、あるいは勘違いしやすい単語や表現はたくさんあります。これらは「콩글리시(コングリッシ:Korean English)」ならぬ「일식 한국어(イルシク ハングゴ:和製韓国語)」的な誤解を生むことがあります。
- 괜찮아요 (ケンチャナヨ): 日本語の「大丈夫です」に相当しますが、肯定(Yes, I’m fine / Yes, please)の意味でも否定(No, thank you / I’m okay, don’t worry)の意味でも使われるため、文脈やイントネーション、表情から判断する必要があります。誘いを断る際にも使われるので注意が必要です。
- 약속 (ヤクソク): 日本語の「約束」と同じ意味ですが、ビジネス上のアポイントメントだけでなく、友人との会う約束、デートの約束など、より広い意味で使われます。日本語の「約束」よりも少し軽いニュアンスで使われることもあります。
- 공부 (コンブ): 日本語の「勉強」ですが、学生の学業だけでなく、大人が仕事や趣味に関して学ぶこと全般(スキルアップのための学習、資格取得の勉強など)を指すこともあります。
- 애인 (エイン): 漢字で書くと「愛人」となりますが、日本語の不倫相手のようなネガティブな意味ではなく、単に「恋人(彼氏・彼女)」を意味します。日本語の「愛人」のつもりで使うと大変な誤解を生みます。
- 수고하세요 (スゴハセヨ): 「お疲れ様です」に近い意味で、仕事や作業をしている人にかける言葉ですが、主にその場を去る人が残る人に対して使います。目上の人から目下の人へ使うのは自然ですが、目下の人が目上の人に使うと失礼にあたる場合があります。その場合は「먼저 들어가겠습니다 (モンジョ トゥロカゲッスムニダ:お先に失礼します)」などが適切です。
- 微妙 (미묘하다: ミミョハダ): 日本語の「微妙」は「ちょっと良くない」「期待外れ」といったネガティブなニュアンスで使われることが多いですが、韓国語の「미묘하다」は文字通り「デリケートで複雑だ」「なんとも言えない趣がある」といった意味合いが強く、必ずしもネガティブではありません。
これらの違いを知らずに日本語の感覚で使ってしまうと、意図しない意味で伝わってしまう可能性があります。韓国語を学ぶ際は、単語の意味だけでなく、使われる状況や文化的背景、ニュアンスにも注意を払うことが大切です。
【韓国語での会話例:本音の表現】
가 (妹): 언니 ! 왜 내 옷을 입었어? 허락도 없이!
お姉ちゃん!なんで私の服を着たの?許可もなく!
나 (姉): 예뻐서…입어봤는데 왜? 한번 입는다고 닳는 것도 아니고.
可愛くて着てみたんだけど、なんで?一回着たくらいで減るもんじゃないでしょ。
가 (妹): 그 옷은 남자친구가 선물로 준 옷이야. 내일 데이트할 때 입으려고 아껴뒀는데! 두 번 다시 입지마! 알겠어?!
その服は彼氏がプレゼントしてくれた大事な服なの!明日デートで着ようと思ってたのに!二度と着ないで!わかった?!
나 (姉): 아… 미안. 진짜 몰랐어. 화 풀어.
あ…ごめん。本当に知らなかった。機嫌直して。
(※姉妹間など非常に親しい関係では、このように感情をストレートにぶつけ合うことも日常茶飯事です。)
韓国人とより深く付き合うためのヒント
文化や言葉の違いを理解した上で、韓国人の友人やパートナーとより良い関係を築くためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。いくつかの具体的なヒントをご紹介します。
「パンマル」は慎重に!尊敬語が基本
韓国では、年齢や社会的地位に基づいた上下関係を重んじる文化があり、言葉遣いにもそれが明確に反映されます。初対面の人や年上の人、あまり親しくない人に対しては、基本的に「존댓말」(チョンデンマル:尊敬語、丁寧語)を使うのが礼儀です。これは外国人であっても同様です。
親しくなると、「반말」(パンマル:タメ口、ぞんざいな言葉遣い)を使うこともありますが、これは非常にデリケートな問題です。相手から「우리 편하게 말 놓을까요?(ウリ ピョナゲ マル ノウルカヨ?:私たち、気楽にタメ口にしましょうか?)」と提案されるか、あるいは関係性が十分に深まってから、相手の様子を見ながら「제가 말을 놓아도 될까요?(チェガ マルル ノアド トェルカヨ?:私がタメ口で話してもいいですか?)」と慎重に確認するのが一般的です。勝手にパンマルを使い始めると、「버릇없다(ポルソプタ:行儀が悪い、無礼だ)」と受け取られ、関係性がこじれる可能性があるので絶対に避けましょう。
筆者も、仲良くなった友人にも基本的には尊敬語を使い、相手から許可を得て時々パンマルを使うようにしているそうです。関係性に応じて適切な言葉遣いを心がけることが、信頼関係の構築につながります。
「私たち(우리)」意識と共同体感覚
韓国人と親しくなると、「우리(ウリ)」という言葉を頻繁に耳にするようになります。「ウリ」は「私たち」という意味ですが、単なる複数形以上の、強い共同体意識や仲間意識を含んでいます。「우리 엄마(ウリ オンマ:私のお母さん ※直訳は私たちのお母さん)」「우리 회사(ウリ フェサ:我が社)」「우리나라(ウリナラ:我が国)」のように、個人的な所有物や所属に対しても使われます。これは、個人よりも集団を重視する韓国文化の表れと言えるでしょう。
この「ウリ」意識を理解することは、韓国人の人間関係のダイナミクスを把握する上で重要です。一度「ウリ」の仲間だと認められると、非常に親身になって世話を焼いてくれたり、強い連帯感を示してくれたりします。しかし、その輪から外れると疎外感を感じることもあるかもしれません。「ウリ」の関係性に入るには、ある程度の時間と相互理解、そして「情」の共有が必要です。
ネット用語や新造語のリスク
韓国語を勉強していると、若者が使うネット用語や「신조어」(シンジョオ:新造語)、「줄임말」(チュリムマル:略語)に触れる機会もあるでしょう。例えば、「핵인싸(ヘギンッサ:超人気者)」「갑분싸(カプブンッサ:急に雰囲気が冷める)」など、毎年新しい言葉が生まれています。これらを使えると、よりネイティブに近い会話ができるように感じるかもしれませんが、意味やニュアンス、そして使用する相手や場面(TPO)を正確に理解しないまま使うのは避けた方が無難です。
間違った使い方をしてしまったり、フォーマルな場面や目上の人に対して使ってしまったりすると、相手に不快感を与えたり、軽薄な印象を与えたりする可能性があります。まずは正確な標準語を身につけることを優先し、新造語は親しい友人同士で、かつ意味をしっかり理解した上で使うようにしましょう。

文化や言葉の違いを理解し尊重し合えば、食卓を囲むように楽しい交流ができる。「ウリ」の関係へ。
大切なのは「相手を理解しようとする心」
言葉のニュアンスの違いや文化的な背景をすべて完璧に理解するのは難しいかもしれません。しかし、最も大切なのは、「相手の文化や考え方を尊重し、理解しようと努める姿勢」です。分からないことがあれば「그건 무슨 뜻이에요?(クゴン ムスン トゥシエヨ?:それはどういう意味ですか?)」と素直に質問したり、自分の意図が正しく伝わっているか「제 말 이해했어요?(チェ マル イヘヘッソヨ?:私の言っていること、理解できましたか?)」と確認したりすることも有効です。
「日本人だから」「韓国人だから」とステレオタイプで判断するのではなく、一人ひとりの個人として向き合い、誠実なコミュニケーションを心がけることが、国籍を超えた良好な関係を築くための鍵となります。相手の言葉の裏にある「心」を読み取ろうとする努力が、「情」を育む第一歩です。
共通の趣味や関心事を見つける
文化や言葉の違いを乗り越える潤滑油となるのが、共通の趣味や関心事です。K-POP、韓国ドラマ、映画、ウェブトゥーン、ファッション、美容、歴史、スポーツ、ゲームなど、どんなことでも構いません。共通の話題があれば会話も弾みやすく、自然とお互いへの理解も深まります。相手の好きなことに関心を示し、「저도 그거 좋아해요!(チョド クゴ チョアヘヨ!:私もそれが好きです!)」と一緒に楽しむ時間を作ることで、距離はぐっと縮まるでしょう。最近では、日韓合同のオーディション番組やコンテンツも多く、共通の話題を見つけやすい環境にあります。
食文化を通じた交流のススメ
「食」は、文化理解の入り口として非常に有効なツールです。一緒に韓国料理(한식:ハンシク)を食べに行ったり、あるいは日本の料理を紹介したりする中で、食習慣の違い(例えば、韓国では食器を持ち上げずに食べること、年長者が箸をつけるまで待つことなど)や味覚の好みなど、様々な発見があるはずです。美味しいものを共有する時間は、自然と心を開かせ、打ち解けた雰囲気を作り出してくれます。「이거 정말 맛있네요!(イゴ チョンマル マシッネヨ!:これ、本当に美味しいですね!)」の一言が、会話を豊かにします。食事のマナーなど、互いの文化を教え合うのも良いコミュニケーションになるでしょう。
オンラインコミュニケーションのコツ(カカオトークなど)
現代では、韓国の友人とカカオトーク(카카오톡)などのメッセージアプリでやり取りする機会も多いでしょう。オンラインでのコミュニケーションにも、いくつか知っておくと良い点があります。
- 返信の速さ: 韓国では、比較的メッセージの返信が早い傾向があります。「읽씹(イルクシプ:既読スルー)」は、親しい間柄でも少し気にされることがあります。もちろん常に即レスする必要はありませんが、あまり間を空けすぎない方がスムーズなやり取りに繋がります。
- スタンプや絵文字: カカオトークには多様なスタンプ(이모티콘:イモティコン)があり、感情を豊かに表現するのに役立ちます。親しくなれば、面白いスタンプを送り合うのも楽しいコミュニケーションです。ただし、相手との関係性や状況に応じて使い分けましょう。
- 略語や子音のみの表現: 親しい間柄では、「ㅇㅇ (응응:うんうん)」「ㅋㅋ (크크:笑)」「ㅠㅠ (유유:泣)」のような子音のみの略語や、顔文字のような表現もよく使われます。これらは非常にカジュアルな表現なので、使う相手を選びましょう。
【韓国語での会話例:関心事を共有する】
가 (日本人): 저는 K-POP에 대해서 관심이 많아요. 특히 [아이돌 그룹 이름]을 좋아해요!
私はK-POPにとても関心があります。特に[アイドルグループ名]が好きです!
나 (韓国人): 그래요? 저도 [아이돌 그룹 이름] 완전 팬이에요! 최애 멤버는 누구예요?
そうなんですか?私も[アイドルグループ名]の大ファンです!推しのメンバーは誰ですか?
가 (日本人): 그럼 나중에 콘서트 같이 갈 수 있으면 좋겠네요!
では、いつかコンサートに一緒に行けたら嬉しいです!
나 (韓国人): 네, 좋아요! 꼭 같이 가요!
ええ、いいですね!ぜひ一緒に行きましょう!
まとめ:文化と言葉の違いを乗り越えて「情」で繋がる関係を
韓国人から見た日本人の「本音と建前」文化への戸惑いや、韓国語の直接的な表現、そしてコミュニケーションにおける注意点について見てきました。日本と韓国は近い国でありながら、人々の考え方やコミュニケーションスタイルには明確な違いが存在します。この違いを理解せずに「察してほしい」と期待してしまうと、すれ違いが生じやすくなります。
韓国人と良好な関係を築くためには、まずこれらの違いを認識し、理解しようと努めることが何よりも大切です。「本音と建前」を使い分ける日本の文化が、韓国では必ずしもポジティブに受け取られない可能性を念頭に置き、できるだけ誠実に、そして明確な言葉でコミュニケーションをとることを心がけましょう。時には、自分の本音を勇気をもって伝えることで、相手との距離が縮まり、より深い「情」で結ばれることもあります。
また、言葉のニュアンスの違いや、尊敬語・パンマルの使い分け、そして「ヌンチ」や「ウリ」といった文化的背景にも配慮が必要です。完璧を目指す必要はありませんが、相手の文化を尊重し、誤解を恐れずに積極的にコミュニケーションをとる姿勢があれば、文化や言葉の壁を乗り越え、きっと温かく豊かな関係を築くことができるはずです。勉強と捉えるのではなく、「相手を知るプロセス」として楽しむことが、日韓交流成功の秘訣かもしれませんね。