韓国語「できない」を完全マスター!못(モッ)と -지 못하다 の正しい使い分けと7つの注意点
韓国語を学んでいると、「~できない」と表現したい場面がたくさん出てきますよね。そんな時、多くの学習者が「못(モッ)」と「~지 못하다(チ モッタダ)」という2つの表現に出会い、「どっちを使えばいいの?」「意味は同じ?使い分けはあるの?」と疑問に思うことでしょう。実際、これらは韓国人が日常的によく使う表現ですが、細かなニュアンスや文法的な制約があり、正しく使い分けることが大切です。この記事では、そんなあなたの疑問をスッキリ解消するために、「못」と「-지 못하다」の基本的な意味から、具体的な使い分け、注意すべきポイント、さらには類似表現との違いまで、豊富な例文と共に徹底解説します!
この記事を読み終える頃には、あなたも「できない」という表現を自信を持って使いこなせるようになっているはずです。ドラマのセリフがより深く理解できたり、韓国人との会話がもっとスムーズになったりするかもしれません。さあ、一緒に「못」と「-지 못하다」の世界を探求していきましょう!
目次
「못」と「-지 못하다」の基本的な意味とニュアンス
まず、「못」と「-지 못하다」は、どちらも「~できない」という不可能を表す否定表現であるという点は共通しています。話し手の意志とは関係なく、能力が不足していたり、何らかの外部的な要因(時間がない、お金がない、許可がない、状況が許さないなど)によって、ある行為が実現できないことを示します。
では、ニュアンスの違いはどこにあるのでしょうか?
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못(モッ):
- 短くて簡潔なため、日常会話で非常によく使われます。
- 直接的で、ストレートに「できない」という事実を伝えるニュアンスがあります。
- 主に動詞の前に置かれます。(例:못 가요 – 行けません)
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-지 못하다(チ モッタダ):
- 「못」に比べると少し長く、やや硬い印象を与えます。
- 会話でも使われますが、新聞記事や論文、公式な文書などの書き言葉でもよく見られます。
- 動詞や形容詞の語幹に接続します。(例:가지 못해요 – 行けません)
- 「못」よりも、できなかったことに対する残念な気持ちや、状況の深刻さが少しだけ強くにじみ出る場合があります。
基本的に意味は同じなので、どちらを使っても間違いではありませんが、会話では「못」の方が自然でスピーディーに聞こえることが多いでしょう。
例文:チョルスは最近休めない。
철수가 요즘 못 쉰다. (チョルスガ ヨジュム モッスィンダ)
철수가 요즘 쉬지 못한다. (チョルスガ ヨジュム スィジモッタンダ)
どちらも「チョルスは最近(忙しいなどの理由で)休むことができない」という意味です。会話では上の「못 쉰다」がより一般的です。
例文:昨日本を読めなかった。
어제 책을 못 읽었다. (オジェ チェグル モッニルゴッタ)
어제 책을 읽지 못했다. (オジェ チェグル イルッチモッテッタ)
こちらも意味は同じですが、「읽지 못했다」の方が少し硬く、例えば報告書などで「読了できませんでした」というニュアンスに近いかもしれません。
使い分けのポイント1:品詞による制限
「못」と「-지 못하다」の使い分けで最も重要なのは、否定する単語の品詞(動詞か形容詞か)です。
動詞の場合:両方OK!
否定したい言葉が動詞であれば、前述の通り「못 + 動詞」と「動詞の語幹 + 지 못하다」のどちらの形も使えます。
動詞の例:만나다 (マンナダ – 会う)
오늘 친구를 못 만나요. (オヌル チングルル モンマンナヨ – 今日友達に会えません)
오늘 친구를 만나지 못해요. (オヌル チングルル マンナジモッテヨ – 今日友達に会えません)
動詞の例:이해하다 (イヘハダ – 理解する)
설명을 못 이해했어요. (ソルミョンウル モッニヘヘッソヨ – 説明を理解できませんでした) (※「名詞+하다」動詞の「못」の位置は後述しますが、この形も許容されることがあります)
설명을 이해하지 못했어요. (ソルミョンウル イヘハジモッテッソヨ – 説明を理解できませんでした)
形容詞の場合:「못 + 形容詞」は原則NG!
ここが非常に重要なポイントです。否定したい言葉が形容詞の場合、「못 + 形容詞」という形は基本的に使えません。「形容詞の語幹 + 지 못하다」の形を使います。
形容詞の例:예쁘다 (イェップダ – きれいだ、かわいい)
× 영희가 못 예뻐요. (ヨンヒガ モッ イェッポヨ)
○ 영희가 예쁘지 못해요. (ヨンヒガ イェップジモッテヨ – ヨンヒは(何らかの理由で能力的に)可愛くいられない/美しくいられない)
ただし、「예쁘지 못하다」は「美しくあるという能力がない」というような特殊なニュアンスになり、日常的には「예쁘지 않아요 (イェップジアナヨ – きれいではありません)」のように「-지 않다」を使った単純な否定が一般的です。
形容詞の例:행복하다 (ヘンボカダ – 幸せだ)
× 요즘 못 행복해요. (ヨジュム モッ ヘンボケヨ)
○ 요즘 행복하지 못해요. (ヨジュム ヘンボカジモッテヨ – 最近(状況などにより)幸せでいられません)
なぜ形容詞に「못」が使えないのでしょうか? それは、「못」が持つ「能力の欠如」や「外部からの障害による不可能」というニュアンスが、状態を表す形容詞とは意味的に結びつきにくいためです。「ある状態になれない」というよりは「ある状態ではない」と表現する方が自然だからです。形容詞の不可能を表したい場合は、意味合いをよく考え、本当に「-지 못하다」が適切なのか、あるいは「-지 않다」(単純否定)や他の表現が適切なのかを検討する必要があります。

形容詞に「못」は使えません!
使い分けのポイント2:「名詞 + 하다」動詞の「못」の位置
「공부하다(勉強する)」「운동하다(運動する)」「운전하다(運転する)」のように、「名詞 + 하다」で構成される動詞の場合、「못」をどこに置くか注意が必要です。これは会話でもよく使う形なので、しっかり押さえておきましょう。
原則として、「못 + 名詞 + 하다」という形は誤りとされることが多いです。正しくは、以下のいずれかの形を使います。
- 名詞 + を/が + 못 하다 (名詞に助詞「을/를」または「이/가」を付け、その後に「못 하다」)
- (名詞)하 + 지 못하다 (「名詞하다」全体の語幹に「-지 못하다」を付ける)
例:공부하다 (コンブハダ – 勉強する)
× 어제 못 공부했어요. (オジェ モッ コンブヘッソヨ)
○ 어제 공부를 못했어요. (オジェ コンブルル モッテッソヨ – 昨日勉強をできませんでした。)
○ 어제 공부하지 못했어요. (オジェ コンブハジ モッテッソヨ – 昨日勉強できませんでした。)
例:이사하다 (イサハダ – 引越しする)
× 내일 못 이사할 거예요. (ネイル モッ イサハル コエヨ)
○ 내일 이사를 못할 거예요. (ネイル イサルル モッタル コエヨ – 明日引越しできないでしょう。)
○ 내일 이사하지 못할 거예요. (ネイル イサハジ モッタル コエヨ – 明日引越しできないでしょう。)
例:이야기하다 (イヤギハダ – 話す)
× 사실대로 못 이야기할 것 같아요. (サシルデロ モッ イヤギハル コッ カタヨ)
○ 사실대로 이야기를 못할 것 같아요. (サシルデロ イヤギルル モッタル コッ カタヨ – 事実通りに話せなさそうです。)
○ 사실대로 이야기하지 못할 것 같아요. (サシルデロ イヤギハジ モッタル コッ カタヨ – 事実通りに話せなさそうです。)
会話では「名詞 + を/が + 못 하다」の形が短くて言いやすいため、よく使われます。ただし、「전화 못 했어요 (電話できませんでした)」のように、一部の「名詞+하다」動詞では「못+名詞+했어요」の形が慣用的に使われることもありますが、基本ルールとしては上記の形を覚えておくと間違いが少ないでしょう。

「名詞+하다」動詞は「못」の位置に注意!
使い分けのポイント3:叙述語の数と尊敬語「-(으)시-」
少し文法的な話になりますが、「못」と「-지 못하다」では、文中の叙述語(述語)の数が異なると考えることができます。これは、尊敬を表す「-(으)시-(ウシ)」をどこに入れるかに関わってきます。
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못 + 動詞:この場合、叙述語は「動詞」そのもの一つです。したがって、「-(으)시-」は動詞の語幹に付きます。
例文:ユジンが昨日病院に行けなかった。
유진이 어제 병원에 못 갔다. (ユジニ オジェ ビョンウォネ モッカッタ)
叙述語は「갔다 (カッタ – 行った)」
尊敬形:おじいさんが昨日病院にお行きになれなかった。
할아버지께서 어제 병원에 못 가셨다. (ハラボジッケソ オジェ ビョンウォネ モッ カショッタ)
「가다」の語幹「가-」に「-시-」が付いて「가시었다」→「가셨다」
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動詞の語幹 + 지 못하다:この場合、「-지」で接続された前の動詞と、後ろの補助用言「못하다」の二つの部分が叙述的な機能を持つと考えられます。そのため、尊敬の「-(으)시-」を入れる場所が理論上2箇所あり得ます。
例文:ユジンが昨日病院に行けなかった。
유진이 어제 병원에 가지 못했다. (ユジニ オジェ ビョンウォネ カジモッテッタ)
叙述部分は「가지」と「못했다」
尊敬形:おじいさんが昨日病院にお行きになれなかった。
할아버지가 어제 병원에 가시지 못하셨다. (ハラボジガ オジェ ビョンウォネ カシジ モッタショッタ)
最も一般的なのは、前の動詞「가다」の語幹「가-」に「-시-」を付け、さらに後ろの「못하다」にも「-시-」を付けて「못하셨다」とする形です。これで「お行きになることができなかった」という二重の尊敬が込められます。
(参考) 할아버지가 어제 병원에 가지 못하셨다. (カジ モッタショッタ)
「못하다」にのみ「-시-」を付ける形も文法的には可能ですが、上の形がより自然で丁寧です。
このように、「-지 못하다」は尊敬表現をより丁寧にしたい場合に、柔軟に対応できる構造を持っていると言えます。ただし、あまりに「-시-」を多用するとくどく聞こえることもあるので、バランスが大切です。
「안 / -지 않다」との決定的な違い:「できない」 vs 「しない」
韓国語の否定表現には、「못 / -지 못하다」の他に「안(アン)」や「-지 않다(チ アンタ)」があります。これらは意味が全く異なるので、混同しないように注意が必要です。
表現 | 意味 | ポイント |
---|---|---|
못 / -지 못하다 | ~できない | 不可能(能力不足、外部要因) |
안 / -지 않다 | ~しない | 意志否定(自分の意志でしない) |
例文で比較してみましょう。
例1:お酒を飲む
저는 술을 못 마셔요. (チョヌン スルル モッマショヨ)
→ 私はお酒を飲めません。(体質的に飲めない、医者に止められているなど、意志とは関係なく飲めない)
저는 술을 안 마셔요. (チョヌン スルル アンマショヨ)
→ 私はお酒を飲みません。(自分の意志で飲まない、飲みたくないから飲まない)
例2:宿題をする
어제 숙제를 못 했어요. (オジェ スクチェルル モッテッソヨ)
→ 昨日宿題をできませんでした。(難しくて解けなかった、時間がなかったなど)
어제 숙제를 안 했어요. (オジェ スクチェルル アネッソヨ)
→ 昨日宿題をしませんでした。(面倒でやらなかった、意図的にしなかった)
このように、「못/-지 못하다」と「안/-지 않다」は意味が全く異なります。文脈に応じて正しく使い分けることが非常に重要です。
類似表現「-(으)ㄹ 수 없다」との使い分け
「~できない」を表すもう一つの代表的な表現に「-(으)ㄹ 수 없다(ウル ス オプタ)」があります。これも「못」や「-지 못하다」と意味が非常に近く、多くの場合で置き換えが可能です。
では、ニュアンスの違いはあるのでしょうか?
- 「-(으)ㄹ 수 없다」は、「~する可能性がない」「~する方法・手段がない」というニュアンスをよりはっきりと示すことがあります。
- 「못」よりも少し長く、客観的で分析的な不可能を述べるときに使われる傾向があります。
- 「못」がやや話し言葉的なのに対し、「-(으)ㄹ 수 없다」は書き言葉でも自然に使われます。
例文:私は泳げません。
저는 수영을 못 해요. (チョヌン スヨンウル モッテヨ)
저는 수영을 할 수 없어요. (チョヌン スヨンウル ハル ス オプソヨ)
どちらもほぼ同じ意味ですが、「할 수 없어요」の方が「泳ぐという能力がない」という事実をより客観的に述べている印象があります。
例文:それは信じられない。
그것은 못 믿어요. (クゴスン モンミドヨ – それは信じられません(疑わしいなど))
그것은 믿을 수 없어요. (クゴスン ミドゥル ス オプソヨ – それは信じることができません(到底ありえないなど))
「믿을 수 없어요」の方が、「信じる可能性が皆無だ」というニュアンスが強く出ることがあります。
日常会話では、短くて言いやすい「못」が好まれる傾向にありますが、より具体的に「可能性がない」ことを伝えたい場合や、少し改まった場面では「-(으)ㄹ 수 없다」も使われます。
面白い用法:否定の形をした命令文「早く~できないの?!」
「못」と「-지 못하다」には、文字通りの意味とは異なる、少し変わった用法があります。それは、否定の形をとりながら、実際には強い命令や催促を表す使い方です。
相手が何かをモタモタしていたり、やるべきことをすぐにやらなかったりするときに、焦燥感やいらだちを込めて使われます。韓国ドラマなどで、母親が子供に「早く起きなさい!」と怒鳴るシーンなどで耳にすることがあるかもしれません。
例文:「早く出ていけないの?!(=早く出ていきなさい!)」
어서 나가지 못해! (オソ ナガジモッテ!)
어서 못 나가? (オソ モンナガ?)
語尾は感嘆符「!」でも疑問符「?」でも使われ、強い口調で発せられます。
例文:「早く食べられないの?!(=早く食べなさい!)」
빨리 먹지 못해! (パルリ モクチモッテ!)
빨리 못 먹어? (パルリ モッモゴ?)
この用法は、親しい間柄や、明らかに立場が上の人から下の人へ使われることがほとんどです。ユーモラスに聞こえることもありますが、基本的には相手を叱責したり、強く促したりするニュアンスなので、使う場面には注意が必要です。

「早くしなさい!」という強い命令・催促のニュアンス
練習問題で理解度チェック!
ここまでの内容を理解できたか、簡単な練習問題で確認してみましょう。
問題1:次の( )に「못」または「안」のどちらか適切なものを入れましょう。
- 오늘은 바빠서 친구를( )만나요. (今日は忙しくて友達に会えません。)
- 저는 매운 음식을( )먹어요. 좋아하지 않거든요. (私は辛い物を食べません。好きじゃないんです。)
- 어제 너무 피곤해서 숙제를( )했어요. (昨日とても疲れて宿題ができませんでした。)
問題2:次の韓国語の文が正しければ〇、間違っていれば×を選び、×の場合は正しい形に直してみましょう。
- 이 문제는 너무 못 어려워요.
- 저는 운전을 못해요.
- 그는 약속을 안 지켰어요. 그래서 못 만났어요.
解答と解説
問題1の解答:
- 못 (理由があって会えない → 不可能)
- 안 (好きじゃないから食べない → 意志否定)
- 못 (疲れてできなかった → 不可能)
問題2の解答:
- × → 이 문제는 너무 어렵지 못해요 (X) または 이 문제는 너무 어려워요 / 이 문제는 안 어려워요 (形容詞の「못」は不可。通常は「어렵지 않아요(難しくないです)」や、文脈によっては「풀 수 없어요(解けません)」など。ここでは「とても難しいです」または「難しくないです」が自然) ※訂正:形容詞に「-지 못하다」も意味的に不自然な場合が多いので、「어렵지 않아요」や「쉬워요」などがより自然です。この問題の意図としては「形容詞に못は使えない」ことを確認するものです。
- 〇 (「名詞+하다」動詞で「名詞+를/을 못하다」の形)
- 〇 (前半は意志否定、後半は結果としての不可能)
最後に:自信を持って「できない」を伝えよう!
いかがでしたでしょうか?「못」と「-지 못하다」、そして関連する否定表現について、理解を深めていただけたなら幸いです。最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、基本的なルールとニュアンスの違いを意識し、たくさんの例文に触れることで、自然と使い分けができるようになります。
特に、
- 形容詞には「못」を使わないこと
- 「名詞+하다」動詞の場合の「못」の位置
- 「안/-지 않다」(意志否定)との明確な区別
これらのポイントは、会話や作文で間違いやすい部分なので、重点的に復習してみてください。
韓国ドラマや映画を見ていると、これらの表現は本当に頻繁に登場します。今日学んだことを意識しながらセリフを聞いてみると、「あ、今のは『못』だったな」「ここは『-지 못했다』で、ちょっと残念な感じが出てるな」といった新しい発見があるはずです。そして何より、色々なシチュエーションで実際に使ってみることが上達への一番の近道です。間違いを恐れずに、積極的にアウトプットしていきましょう!