【日韓コミュニケーション】韓国人が好きな日本語&喜ぶ言葉は?文化と国民性から徹底解説
韓国人の友人や同僚、あるいは好きなアイドルや俳優… 彼らとのコミュニケーションをもっと円滑に、もっと心を通わせるものにしたいと考えたとき、「どんな言葉を使えば喜んでくれるかな?」「韓国の人はどんな言葉が好きなんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
言葉は、単なる意思伝達のツールであるだけでなく、文化や国民性、個人の価値観を映し出す鏡でもあります。今回は、数名の韓国人へのインタビュー結果や、韓国の文化・社会背景などを踏まえながら、韓国人の心に響きやすい日本語や、コミュニケーションにおいて喜ばれる言葉、そして言葉選びの注意点などについて、深く掘り下げていきましょう。
目次
韓国人の心に響く?「好きな日本語」を調査!
記事の筆者が数名の韓国人に「好きな日本語」を尋ねてみたところ、興味深い答えが返ってきたようです。(※あくまで一部の方の意見であり、全ての韓国人に当てはまるわけではありません。)

言葉には力がある。ポジティブな響きや意味を持つ言葉は、国境を越えて好まれる?
「守る」「支える」「歩む」:前向き・意志的な言葉への共感?
比較的多かった答えが、「守る(韓国語:지키다 – チキダ)」、「支える(지탱하다 – チテンハダに近い)」、「歩む(걷다 – コッタ、걸어가다 – コロガダ)」といった言葉だったそうです。これらの言葉には、何かを大切に維持しようとする意志、困難な状況でも持ちこたえようとする力強さ、そして未来に向かって進んでいこうとする前向きな姿勢が感じられます。
韓国社会は、歴史的に多くの困難を乗り越え、急速な発展を遂げてきた背景があります。また、現代においても厳しい競争社会の中で、目標に向かって努力し続けることが重視される傾向があります。そうした社会で生きる人々にとって、これらの言葉が持つ「意志」「忍耐」「前進」といったニュアンスが、心に響きやすいのかもしれません。
意外?「ノリ」「やる気」など、ポジティブな響き
また、「ノリ」「やる気」「やる気スイッチ」といった、日本語特有の表現や比較的新しい言葉を挙げた人もいたようです。これらの言葉からは、物事に対するポジティブなエネルギーや、楽しもうとする姿勢が感じられます。韓国の人々は、一般的に感情表現が豊かで、場の雰囲気を大切にする傾向があるとも言われます。そうした気質と、これらの言葉が持つ明るい響きや意味合いが合致するのかもしれません。
言葉の響きや意味合い:日本人との感覚の違い
もちろん、言葉の好みは人それぞれです。日本語の特定の音の響きが好きだという人もいれば、言葉の意味に感銘を受ける人もいるでしょう。もしかしたら、日本人があまり意識しないような言葉や表現が、韓国の人々にとっては新鮮で魅力的に感じられる、ということもあるかもしれませんね。逆に、韓国人にとって発音しにくい日本語や、あまり好ましくない響きの言葉もあるかもしれません。
身近に韓国人の友人がいる方は、ぜひ「好きな日本語」や「嫌いな日本語(苦手な日本語)」について尋ねてみると、意外な発見や面白い文化の違いが見えてくるかもしれません。
背景にある?韓国人の勤勉さと自己啓発文化
前向きな言葉が好まれる背景には、韓国人の勤勉さも関係しているかもしれません。韓国では、学生時代はもちろん、社会人になってからも、語学や資格取得のために勉強を続ける人が多く、自己啓発への意欲が高いと言われています。「やる気」を持って目標に向かって「歩み」、困難があっても自分を「支え」、目標を「守る」といった言葉は、そうした努力を尊ぶ文化の中で、よりポジティブに受け止められる可能性があります。
(注意)これは一部の声:多様な好みがあることを忘れずに
繰り返しになりますが、ここで紹介したのはあくまで一部の意見です。「韓国人は皆こういう言葉が好きだ」と一般化することはできません。言葉の好みは、個人の経験や価値観、世代などによって大きく異なります。大切なのは、決めつけずに、目の前の相手とのコミュニケーションを通じて、相手がどんな言葉に関心を持ち、どんな言葉に心を動かされるのかを知ろうとすることです。
【会話例:好きな日本語】
가: 민수씨. 요즘 일본어 공부를 한다면서요?
ミンスさん!最近日本語の勉強をしてるんだって?나: 네. 일본어를 외우는 것이 재미있어요.
はい。日本語を覚えるのがおもしろいです。가: 그럼 좋아하는 일본어가 있어요?
では、好きな日本語がありますか?나: 제가 좋아하는 일본어는 지키다(마모루・守る)예요.
私の好きな日本語は、「守る」です。
言葉は文化を映す鏡:知っておきたい日韓言語の注意点
外国語を学ぶ際には、単語の意味だけでなく、その背景にある文化やニュアンスの違いを理解することが非常に重要です。特に、日本語と韓国語は語順が似ていたり、漢字語由来の単語が多かったりするため、学習しやすい反面、思わぬ落とし穴もあります。
母国語の語彙力が外国語学習の鍵
記事でも触れられているように、外国語を学ぶ上で、母国語(私たちにとっては日本語)の能力は非常に重要です。豊かな語彙力や表現力があれば、外国語の微妙なニュアンスを理解したり、適切な訳語を見つけたりする助けになります。逆に、母国語の理解が浅いと、外国語の習得にも限界が生じやすくなります。日頃から日本語の語彙や表現に意識的であることも、外国語学習に繋がるのです。
似て非なる単語に注意!「애인(エイン)」は「恋人」
日本語と韓国語で、同じ漢字を使っていても意味が全く異なる単語は少なくありません。記事で挙げられている「애인 (エイン:愛人)」はその代表例です。日本では「愛人」というと不倫相手などのネガティブなイメージがありますが、韓国語の「애인」は単純に「恋人」を意味する一般的な言葉です。この違いを知らないと、大きな誤解を生んでしまう可能性があります。
その他の注意すべき漢字語や表現
「애인」以外にも、注意が必要な単語や表現はたくさんあります。
- 공부 (コンブ:勉強): 日本語の「勉強」よりも広い意味で使われ、学生の学習だけでなく、大人が仕事や趣味に関して学ぶこと全般を指すことがあります。
- 약속 (ヤクソク:約束): ビジネス上のアポイントメントや公的な約束だけでなく、友人との会う約束など、よりカジュアルな場面でも使われます。
- 부탁 (プタク:付託): 日本語の「付託」は硬い言葉ですが、韓国語の「부탁하다」は「お願いする」「頼む」という意味で日常的に非常によく使われます。
- 고생 (コセン:苦生): 日本語の「苦労」に近いですが、苦労した人に対して「고생하셨습니다 (コセンハショッスムニダ:ご苦労様でした)」と労う言葉として頻繁に使われます。
- 괜찮아요 (ケンチャナヨ:大丈夫です): 肯定(Yes)と否定(No,結構です)の両方の意味で使われるため、状況判断が必要です。
これらの違いを意識せずに日本語の感覚で使ってしまうと、意図が正しく伝わらなかったり、相手に違和感を与えたりすることがあります。
ステレオタイプを超えて:韓国人の多様な側面
言葉について考えるとき、その言葉を使う人々の国民性や文化についても理解を深めることが役立ちます。ただし、ステレオタイプには注意が必要です。
「パリパリ」「ケンチャナ」だけじゃない?
韓国人というと、「빨리빨리 (パリパリ:早く早く)」のせっかちなイメージや、「괜찮아 (ケンチャナ:大丈夫)」の楽観的(悪く言えば大雑把)なイメージを持たれることがよくあります。確かにそうした側面もありますが、それが韓国人の全てではありません。
田舎暮らしに見る「のんびり」とした一面
記事で紹介されているように、都会の喧騒から離れ、田舎で自家菜園を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごす人々もいます。週末には別荘で自然を満喫するなど、スローライフを実践している人も少なくないのです。「パリパリ」文化だけが韓国ではない、多様なライフスタイルが存在します。
「情(ジョン)」に厚い国民性?
また、韓国人は「정 (ジョン:情)」に厚い、ともよく言われます。人と人との繋がりや温かい心の交流を大切にする文化は、確かに韓国社会の大きな特徴の一つです。困っている人がいれば親身になって助けたり、親しくなると家族のように接したりする情の深さは、多くの外国人をも魅了します。しかし、「情」の捉え方や表現方法も、人によって様々です。
一般化せず、個人を見ることの大切さ
大切なのは、「韓国人はこうだ」と一括りにせず、ステレオタイプなイメージにとらわれないことです。せっかちな人もいれば、のんびりした人もいます。情に厚い人もいれば、クールな人もいます。国籍や文化というフィルターを通して見るだけでなく、目の前にいる「個人」の性格や価値観を理解しようとすることが、真の異文化理解の第一歩です。
万国共通?韓国人が(も)喜ぶ言葉とは
文化や国民性に関わらず、言われて嬉しい言葉、心に響く言葉には、ある程度共通するものがあります。韓国人とのコミュニケーションにおいて、特に意識したい言葉を見ていきましょう。

感謝や共感の言葉は、文化を超えて相手の心に響くコミュニケーションの基本。
やはり最強?感謝の言葉「ありがとう」
記事でも強調されているように、「ありがとう」という感謝の言葉は、世界中の誰にとっても、言われて嫌な気持ちになることはありません。むしろ、感謝されることで、相手に対する好意や信頼感が増すものです。
- 韓国語での「ありがとう」: 丁寧な言い方には「고맙습니다 (コマッスムニダ)」と「감사합니다 (カムサハムニダ)」があります。どちらも広く使われますが、「감사합니다」の方がよりフォーマルでかしこまった場面に適しているとされます。「고맙습니다」の方がやや柔らかい響きです。親しい間柄では「고마워요 (コマウォヨ)」や「고마워 (コマウォ)」を使います。
- 具体的な感謝の伝え方: 何に対して感謝しているのかを具体的に伝えると、より気持ちが伝わります。「도와주셔서 감사합니다. (トワジュショソ カムサハムニダ:助けてくださってありがとうございます)」「신경 써 주셔서 고맙습니다. (シンギョン ソ ジュショソ コマッスムニダ:気遣ってくださってありがとうございます)」など。
些細なことでも、感謝の気持ちを言葉にして伝える習慣をつけましょう。
褒め言葉:具体的にどこが良いかを伝える
褒められて嬉しくない人はいません。ただし、褒め方には少し文化的な配慮が必要な場合もあります。一般的に、韓国では外見や持ち物などをストレートに褒めることも多いですが、相手によっては謙遜したり、照れたりすることもあります。
- 具体的に褒める:漠然と「素敵ですね」というよりも、「今日の髪型、とても似合っていますね」「その服、どこで買ったんですか?すごくおしゃれです」「プレゼン、とても分かりやすかったです」「〇〇さんのそういう優しいところ、尊敬します」など、具体的にどこが良いと思ったのかを伝えると、より相手に響きやすくなります。
- 結果だけでなく努力も褒める:「すごいですね」という結果だけでなく、「頑張りましたね」「大変だったでしょう」など、そこに至るまでの努力やプロセスを労う言葉も喜ばれるでしょう。
共感・理解を示す言葉
相手が悩んでいたり、困っていたりするときに、寄り添い、共感する言葉も大切です。「힘드시겠네요. (ヒムドゥシゲンネヨ:大変でしょうね)」「마음고생이 심했겠어요. (マウムコセンイ シメッケッソヨ:心労がひどかったでしょうね)」「저도 그 마음 알아요. (チョド ク マウム アラヨ:私もその気持ち分かります)」といった言葉は、相手に安心感を与え、心の距離を縮める助けになります。
謝罪の言葉は難しい?文化による受け止め方の違い
一方で、謝罪の言葉は文化によって受け止め方が異なり、難しい場合があります。日本では、円滑な人間関係のために、比較的気軽に「すみません」という言葉が使われる傾向がありますが、韓国では謝罪はより重い意味を持つとされ、多用するとかえって軽く見られたり、責任を認めたと捉えられたりする可能性も指摘されます。もちろん、非があれば誠心誠意謝罪することは重要ですが、状況に応じた適切な表現を選ぶ必要があります。
より良い関係を築くためのコミュニケーションのヒント
最後に、韓国の人々とより良い関係を築くためのコミュニケーションのヒントをいくつかご紹介します。
相手の文化や価値観を尊重する
繰り返しになりますが、これが最も基本であり、重要です。自分の価値観を押し付けず、相手の文化や考え方を理解しようと努め、尊重する姿勢を示しましょう。
感謝の気持ちを具体的に伝える
「ありがとう」は魔法の言葉です。小さな親切や助けに対しても、感謝の気持ちを具体的に、そして頻繁に伝えるようにしましょう。
ポジティブな言葉を選ぶことを意識する
批判的な言葉や否定的な言葉ばかりではなく、相手の良い点を見つけて褒めたり、前向きな言葉を選んだりすることを意識するだけで、コミュニケーションの雰囲気は格段に良くなります。
相手の話をよく聞き、共感を示す
自分の話ばかりするのではなく、相手の話に真剣に耳を傾け、適切な相槌を打ったり、共感を示したりすることが、信頼関係を築く上で非常に重要です。「聞く力」は万国共通のコミュニケーションスキルです。
まとめ:言葉を通じて心を通わせるために
韓国人が好きな日本語、喜ぶ言葉、そしてコミュニケーションにおける注意点について見てきました。「守る」「支える」といった意志的な言葉や、「ノリ」「やる気」といったポジティブな響きが好まれる傾向がある一方で、最も心に響くのは、やはり「ありがとう」という万国共通の感謝の言葉なのかもしれません。
大切なのは、特定の「ウケる言葉」を探すことよりも、相手の文化や個性を尊重し、感謝や共感の気持ちを持って誠実にコミュニケーションをとることです。言葉は、単なる記号ではなく、人と人との心を繋ぐための架け橋です。この記事を参考に、ぜひ韓国の人々とのより豊かで温かいコミュニケーションを楽しんでください。