韓国語「アッパ」「オモニ」徹底解説!父母の呼び方使い分け・家族文化・両親の日まで完全ガイド
日本では「お母さん」「ママ」「おふくろ」「かあちゃん」など、家族内での呼び方は実に多様ですよね。それはお隣の国、韓国でも同じです。韓国ドラマや映画を見ていると、「アッパ!」「オモニ!」といった呼びかけを耳にする機会が多いのではないでしょうか?
この記事では、韓国語の基本的な「お父さん」「お母さん」の呼び方である아빠(アッパ)と아버지(アボジ)、엄마(オンマ)と어머니(オモニ)の違いや使い分け、さらには韓国特有の家族文化、そして日本とは異なる「両親の日」어버이날(オボイナル)について、深く掘り下げて解説します。韓国の家族観に触れながら、言葉のニュアンスと文化への理解を一緒に深めていきましょう。

韓国の家族:伝統と現代が融合する温かい絆
目次
呼び方の背景を探る:韓国の家族文化と価値観
言葉の使い分けを理解するためには、その背景にある文化を知ることが不可欠です。韓国の家族観は、伝統的な儒教の価値観と、急速な近代化による変化が混在しており、非常に興味深い特徴を持っています。日本との共通点や違いを見つけながら、韓国社会における「家族」の意味合いを探ってみましょう。
絶対的な「孝」の精神:효도 (ヒョド) の実践
韓国社会において、親に対する「효도(ヒョド)」、すなわち親孝行は、個人の最も重要な徳目の一つとされています。これは単に親を敬うという精神的な側面だけでなく、経済的な援助、頻繁な連絡、老後の世話といった具体的な行動を通じて感謝を示すことが強く期待されます。この価値観は、歴史的に深く根付いた儒教思想の影響を色濃く反映しており、家族間の強い連帯感の基盤となっています。
特に、旧正月(ソルラル)や秋夕(チュソク)といった名節(ミョンジョル)や、親の誕生日、還暦などの家族イベントにおけるヒョドの実践は非常に重視されます。時には、親孝行のあり方をめぐる期待値の違いが、嫁姑問題(고부갈등 / コブカルトゥン)の引き金になることもあるほどです。例えば、祭祀(チェサ)の準備負担、両親への贈り物の内容や頻度、金銭的援助の額などが、家族間のデリケートな問題となるケースも少なくありません。
「私たち」意識の強さ:運命共同体としての家族
韓国では、家族は単なる個人の集合体ではなく、「운명 공동체(ウンミョン コンドチェ / 運命共同体)」として捉えられる傾向が根強くあります。喜びも悲しみも家族全員で共有し、困難な状況に直面した際には互いに助け合うことが当然と考えられています。日常会話で頻繁に使われる「우리(ウリ / 私たち)」という言葉は、この強い一体感を象徴しています。「우리 집(ウリ チプ / 我が家)」「우리 엄마(ウリ オンマ / うちの母)」のように、個人よりも「私たち」という集団を主語にすることが多いのです。家族の成功は個人の成功以上に価値があり、家族の名誉を守ることが重要視される文化です。
家族が集う祝祭と行事:絆を深める時間
韓国には、家族や親戚が一堂に会する祝祭や行事が年間を通じて数多く存在します。中でも最も重要なのが、二大名節と呼ばれる旧正月の「설날(ソルラル)」と秋夕(旧盆)の「추석(チュソク)」です。これらの時期には、多くの人々が故郷へ帰省し(民族大移動とも呼ばれます)、家族と共に時間を過ごします。先祖を祀る祭祀(チェサ)を行ったり、ソンピョン(松餅)やジョン(チヂミ)などの伝統料理を一緒に作って食べたりすることを通じて、家族の絆を再確認し、世代間の繋がりを深める大切な機会となっています。
これらの行事は、前述した「ヒョド」が実践される典型的な場面でもあります。特にチュソクの膨大な料理の準備は、伝統的には女性、中でも長男の嫁(맏며느리 / マンミョヌリ)が中心的な役割を担うとされてきました。しかし、近年ではライフスタイルの変化や男女平等意識の高まりから、こうした慣習に対する疑問の声も上がり、家族内での役割分担にも変化が見られるようになっています。
伝統的な性別役割分担と現代の変化
伝統的な韓国社会においては、性別による役割分担が比較的明確でした。男性は家長(가장 / カジャン)として外で働き家計を支え、女性は家庭を守り育児や家事を主に担うという考え方が一般的でした。チュソクの料理準備が良い例で、ソンピョン、多種多様なジョン(チヂミ)、チャプチェ、カルビチム(骨付きカルビの煮込み)など、数えきれないほどの料理を女性たちが中心となって準備する光景は、かつての韓国の典型的な姿でした。
しかし、現代の韓国では女性の社会進出が目覚ましく、共働き家庭(맞벌이 부부 / マッポリ プブ)が一般的になったことで、こうした伝統的な役割分担は大きく見直されています。若い世代を中心に、家事や育児を夫婦で協力して行うという意識が浸透しつつあります。それでもなお、名節などの行事の際には、依然として女性側の負担が大きいと感じる声も聞かれます。
食事は絆の証:「食口(식구 / シック)」の文化
韓国において、食事を共にすることは、家族の絆を深める上で非常に重要な意味を持ちます。「家族」を意味する言葉として「식구(シック)」が日常的に使われますが、これは文字通り「食口=食べる口」を意味します。つまり、「同じ釜の飯を食べる仲間=家族」という考え方が根底にあるのです。

食卓を囲む時間は家族の絆を深める大切なひととき
韓国ドラマで、母親や姑が大量の手作りのおかず(반찬 / パンチャン)やキムチをタッパーにぎっしり詰めて、離れて暮らす子供や息子の家に差し入れするシーンをよく見かけませんか? あれはまさに、食事を通して愛情を表現する「シック」文化の表れです。また、親が子供のスプーンにおかずを乗せてあげながら「많이 먹어(マニ モゴ / たくさんお食べ)」と言うのも、韓国ならではの深い愛情表現の一つと言えるでしょう。
「家族のため」の努力と教育熱
韓国社会では、個人の成功や達成が、そのまま家族全体の喜びや誇り(가문의 영광 / カムネ ヨングァン – 家門の栄光、と少し大げさに表現されることも)に繋がると考えられる傾向があります。そのため、子どもたちは良い教育を受けて社会的に成功することが、家族への貢献、ひいては親孝行の一環であると期待されることが多いです。親もまた、子どもの教育のためには莫大な時間、労力、そして経済的投資を惜しまないことが一般的で、その教育熱の高さは世界的に知られています。「家族のため」という強い意識が、学業や仕事に対する強力なモチベーションとなっている側面があります。
これらの要素は、韓国の家族文化を理解する上で重要な側面ですが、あくまで一般的な傾向です。社会の変化は急速であり、価値観も多様化しています。特に都市部や若い世代の間では、より個人を尊重する考え方や、伝統的な家族観にとらわれない新しい関係性が広がっています。また、家庭ごとの雰囲気や親子間の親密度には当然ながら差があることも、心に留めておく必要があります。
韓国語の「お父さん」:아버지 (アボジ) vs 아빠 (アッパ)
さて、いよいよ本題である「お父さん」の呼び方について詳しく見ていきましょう。韓国語でお父さんを呼ぶ際、主に使われるのは「아버지(アボジ)」と「아빠(アッパ)」の二つです。これらの言葉が持つニュアンスの違いと、どのような状況で使い分けられるのかを解説します。
公的・一般的な呼び方: 아버지 (アボジ)
아버지(アボジ)は、日本語の「父」「お父さん」に相当する、最も一般的で、ややフォーマルな響きを持つ呼び方です。子供がある程度成長してからも使われ続け、特に他人に対して自分の父親について話す際には、この「아버지」を用いるのが一般的です。敬意を含むニュアンスがあり、公の場や目上の人と話す際、手紙や公式な文書など、改まった状況に適しています。
「아버지」という言葉には、家長としての威厳や尊敬の念が含まれることが多いですが、同時に深い愛情や感謝の気持ちを込めて使われることもあります。
親密・愛情表現の呼び方: 아빠 (アッパ)
아빠(アッパ)は、日本語の「パパ」に感覚的に近い、より親密で愛情のこもった、砕けた呼び方です。主に幼い子供が父親を呼ぶ際に使われる言葉として知られていますが、大人になっても、特に家庭内や親しい間柄では「아빠」と呼ぶ人が非常に多いのが特徴です。これは、親子間の距離の近さや甘え、親しみを表現したい時にぴったりの言葉だからです。感情を込めて呼びかける際にも自然に出てくることが多いでしょう。

愛情を込めて「アッパ!」と呼ぶ、親密な親子の関係
使い分けのポイントと文化的背景
基本的な使い分けは、状況や相手、そして伝えたいニュアンスによって決まります。
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아버지 (アボジ) が適切な場面:
- 成人した子供が、特に公の場や改まった状況で父親を呼ぶ時。
- 友人や同僚、目上の人など、他人に対して自分の父親について話す時。(例:「제 아버지는… / チェ アボジヌン… / 私の父は…」)
- 手紙、メール、公式な文章などで父親に言及する時。
- 少し距離を置いた、敬意を強調したい時。
-
아빠 (アッパ) が適切な場面:
- 幼い子供が父親を呼ぶ時。
- 大人でも、家庭内やプライベートな空間で、親しみを込めて父親を呼ぶ時。
- 甘えたい時や、感情的に呼びかけたい時。(例:「아빠, 보고 싶어요! / アッパ, ポゴ シポヨ! / パパ、会いたいです!」)
- 親しい友人との会話で、自分の父親を指す時。(例:「우리 아빠가… / ウリ アッパガ… / うちのパパが…」)
前述の通り、韓国では儒教文化の影響から、年長者や目上の人に対する敬意(예의 / イェイ – 礼儀)が重んじられます。そのため、公的な場やフォーマルな状況では、たとえ実の親子であっても、敬意を示すために「아버지」を使うのが一般的とされています。一方、家庭内では「아빠」が広く使われますが、これも家庭の方針や親子関係の親密度によって異なります。例えば、非常に厳格な家庭では、子供が成人してからは「아버지」で統一するように教えられることもありますし、逆に非常にフランクな家庭では、成人した息子でさえも「아빠」と呼ぶことも珍しくありません。
【例文】아버지 (アボジ)
아버지께서는 매일 아침 일찍 출근하십니다.
(父は毎朝早く出勤されます。)저는 아버지를 존경합니다.
(私は父を尊敬しています。)제 친구가 저희 아버지께 인사를 드렸습니다.
(私の友人が、私の父に挨拶をしました。)
【例文】아빠 (アッパ)
아빠! 오늘 저녁 같이 먹어요!
(パパ!今日の夜、一緒にご飯食べようよ!)우리 아빠는 세상에서 제일 멋있어.
(うちのパパは世界で一番かっこいい。)아빠, 사랑해요!
(パパ、愛してる!)
韓国語の「お母さん」:어머니 (オモニ) vs 엄마 (オンマ)
次はお母さんの呼び方です。こちらも主に「어머니(オモニ)」と「엄마(オンマ)」の二つが使われます。基本的な考え方や使い分けのニュアンスは、お父さんの場合(아버지/아빠)と非常に似ています。
公的・一般的な呼び方: 어머니 (オモニ)
어머니(オモニ)は、日本語の「母」「お母さん」に相当する、一般的でややフォーマルな響きを持つ呼び方です。「아버지」と同様に、成人してからも使われ、他人に対して自分の母親について話す際によく用いられます。敬意のこもった表現であり、公の場や目上の人との会話、手紙など改まった状況に適しています。「어머니」という言葉には、慈愛に満ちた母親像や、家族を支える存在への感謝の気持ちが込められていることが多いです。
親密・愛情表現の呼び方: 엄마 (オンマ)
엄마(オンマ)は、日本語の「ママ」に感覚的に近い、より親密で愛情のこもった、砕けた呼び方です。幼い子供が母親を呼ぶ際の定番の言葉ですが、「아빠」と同様に、大人になっても家庭内など親しい間柄では「엄마」と呼ぶことが非常に一般的です。特に女性は、成人してからも母親を「엄마」と呼び続けることが多い傾向にあります。
親しい友人との会話で、お互いの母親の話をする際にも「うちのオンマがね…(우리 엄마가 말이야… / ウリ オンマガ マリヤ…)」のようにカジュアルに使われます。「엄마」は、親子間の温かい愛情や深い絆を表現する、優しい響きを持つ言葉として広く親しまれています。
使い分けのポイントと文化的背景
使い分けのポイントは、「아버지/아빠」の場合とほぼ同じです。
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어머니 (オモニ) が適切な場面:
- 成人した子供(特に男性)が、公の場や改まった状況で母親を呼ぶ時。
- 他人に対して自分の母親について話す時。(例:「저희 어머니는… / チョイ オモニヌン… / 私どもの母は…」)
- 手紙、メール、公式な文章などで母親に言及する時。
- 敬意を強調したい場面。
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엄마 (オンマ) が適切な場面:
- 幼い子供が母親を呼ぶ時。
- 大人でも、家庭内やプライベートな空間で、親しみを込めて母親を呼ぶ時(特に女性に多いが、男性でも使う人はいる)。
- 親しい友人との会話で、自分の母親を指す時。(例:「우리 엄마가 제일 예뻐 / ウリ オンマガ チェイル イェッポ / うちのママが一番きれい」)
- 愛情や親しみを込めて呼びかけたい時。(例:「엄마, 보고 싶었어요! / オンマ, ポゴ シポッソヨ! / ママ、会いたかったです!」)
日本語の「お母さん」と「ママ」の使い分けの感覚と似ている部分が多いため、日本人学習者にとっては比較的理解しやすいかもしれません。しかし、「아버지/아빠」と同様に、TPOをわきまえることが大切です。「어머니」を使うべきフォーマルな場面で「엄마」を使ってしまうと、場合によっては少し幼稚に聞こえたり、状況にそぐわないと受け取られたりする可能性もあります。特に、相手(友人、恋人、配偶者など)の母親に対して話す際には、「어머님(オモニム)」という、さらに敬意を高めた表現を使うのが一般的ですので注意しましょう(詳しくは後述します)。
【例文】어머니 (オモニ)
어머니의 요리는 언제나 최고입니다.
(母の料理はいつも最高です。)어제 백화점에서 우연히 어머니를 만났습니다.
(昨日、デパートで偶然母に会いました。)저는 어머니로부터 많은 것을 배웠습니다.
(私は母から多くのことを学びました。)
【例文】엄마 (オンマ)
엄마, 저 배고파요. 밥 주세요!
(ママ、お腹すいたよ。ご飯ちょうだい!)엄마, 고마워요. 항상 제 편이 되어 주셔서요.
(ママ、ありがとう。いつも私の味方でいてくれて。)오늘 친구 엄마가 만들어주신 김밥 먹었어.
(今日、友達のママが作ってくれたキンパ(韓国風海苔巻き)食べたよ。)
実践!会話例で見る呼び方の使い分け
「아버지/아빠」、「어머니/엄마」の使い分けを、より具体的な会話シチュエーションで確認してみましょう。話している相手や場面によって、呼び方が自然に変化することに注目してください。
【シチュエーション1:家族との電話(成人した娘)】
娘: 여보세요? 엄마! 잘 지내시죠? 아빠는 옆에 계세요?
(もしもし? ママ!元気にしてる? パパは隣にいる?)母: 어, 우리 딸! 잘 지내지. 아빠? 잠깐만, 바꿔줄게. 아버지! 전화 왔어요!
(あら、うちの娘!元気よ。パパ?ちょっと待って、代わってあげる。あなた!電話ですよ!)※母が父に呼びかける際に「아버지」を使うこともある父: 오, 그래. 무슨 일이야?
(おお、そうか。どうしたんだ?)娘: 아니요, 그냥 목소리 듣고 싶어서요. 아빠, 주말에 뭐 하세요?
(ううん、ただ声が聞きたくて。パパ、週末は何するの?)
【シチュエーション2:会社での会話(同僚と自分の親について)】
同僚A: 이 대리님, 주말에 고향 내려가신다고 들었어요. 부모님 뵈러 가시는 거죠?
(イ代理、週末に故郷に帰られると聞きました。ご両親(プモニム)に会いに行かれるんですよね?)イ代理 (自分): 네, 맞아요. 저희 아버지께서 곧 생신이셔서, 어머니랑 같이 식사라도 하려고요.
(はい、そうです。私の父がもうすぐ誕生日なので、母と一緒に食事でもしようと思いまして。)同僚A: 와, 좋으시겠네요! 아버님, 어머님께서 정말 기뻐하시겠어요.
(わあ、いいですね!お父様(アボニム)、お母様(オモニム)が本当に喜ばれるでしょうね。) ※相手の親に対しては敬称を使う
【シチュエーション3:友人とのカジュアルな会話】
友人A: 야, 너네 엄마 김치 진짜 맛있더라! 지난번에 얻어먹고 완전 반했잖아.
(ねえ、あなたのママのキムチ、本当に美味しかった!この前もらって食べて、完全に惚れちゃったよ。)友人B (自分): 그치? 우리 엄마 음식 솜씨 최고야. 아빠도 맨날 엄마 밥만 찾으셔.
(でしょ?うちのママの料理の腕は最高だよ。パパも毎日ママのご飯ばかり探してるんだ。)友人A: 부럽다~ 우리 아빠는 요리 전혀 안 하시는데.
(羨ましいな〜。うちのパパは料理全然しないんだけど。)
このように、話す相手や状況、そして親子間の親密度によって、同じ人物を指す場合でも呼び方が柔軟に使い分けられていることがわかりますね。特に会社のような公の場では、自分の親であっても敬意を込めて「아버지」「어머니」を使うのがビジネスマナーとして一般的です。
もっと知りたい!両親や他の家族の呼び方バリエーション
「아버지/아빠」「어머니/엄마」以外にも、両親や他の家族を指す際に使われる便利な言葉や、敬意を表す表現があります。関係性によって使い分ける、様々な呼び方を見ていきましょう。
両親をまとめて呼ぶ丁寧語: 부모님 (プモニム)
부모님(プモニム)は、「ご両親」という意味を持つ、非常に丁寧で一般的に使われる言葉です。この言葉の便利な点は、自分の両親について話す時にも、相手(他人)の両親について尋ねたり話したりする時にも使えることです。会話の中で頻繁に登場する重要な単語なので、ぜひ覚えておきましょう。
【例文】부모님 (プモニム)
저는 부모님과 함께 서울에 살고 있습니다.
(私は両親と一緒にソウルに住んでいます。) ※自分の両親김 선생님의 부모님께서는 건강하시지요?
(キム先生のご両親はお元気でいらっしゃいますか?) ※相手の両親이번 명절에는 부모님께 용돈을 드릴 거예요.
(今回の名節(旧正月/秋夕)には両親にお小遣いを差し上げるつもりです。) ※自分の両親
相手への敬意を込めて: 아버님 (アボニム) / 어머님 (オモニム)
아버님(アボニム)と어머님(オモニム)は、それぞれ「아버지」「어머니」に、「様」にあたる敬称の接尾辞「-님(ニム)」がついた形です。これにより、さらに敬意の高い表現となります。主に以下の二つの状況で使われます。
- 友人、知人、会社の同僚や上司など、他人の父親・母親を呼ぶ時、またはその人たちの親について話す時。
例:「민지 씨, 아버님께서는 요즘 건강 어떠세요?」(ミンジさん、お父様は最近お元気ですか?)
例:「부장님 어머님께서 편찮으시다고 들었습니다.」(部長のお母様がご病気だと伺いました。) - 結婚相手(配偶者)の父親・母親(=義理の両親)を呼ぶ時。
これは伝統的で最も丁寧な呼び方とされています。ただし、後述するように、最近では関係性に応じて呼び方が変化する傾向もあります。
結婚したらどう呼ぶ? 義理の両親の呼び方
結婚すると、配偶者の両親、つまり義理の両親(義父・義母)を呼ぶ機会が生まれます。伝統的な呼び方と、近年の傾向について見てみましょう。
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夫から見て妻の両親:
- 義父: 장인어른(チャンインオルン) または 아버님(アボニム)
- 義母: 장모님(チャンモニム) または 어머님(オモニム)
- ※「장인어른」は直訳すると「匠人(義父)の大人」、「장모님」は「丈母(義母)様」。一般的には「아버님」「어머님」と呼ぶことが多いです。
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妻から見て夫の両親:
- 義父: 시아버지(シアボジ) または 아버님(アボニム)
- 義母: 시어머니(シオモニ) または 어머님(オモニム)
- ※「시아버지/시어머니」の「시(シ)」は夫の家(媤家)を意味します。こちらも「아버님」「어머님」が一般的。
伝統的には上記の呼び方が基本ですが、近年、特に若い世代の間では、関係性が深まるにつれて、実の親と同じように「아버지/어머니」と呼ぶケースが増えています。さらに親密になれば、義理の親の方から「편하게 아빠, 엄마라고 불러라(ピョナゲ アッパ, オンマラゴ プルロラ / 気楽にパパ、ママと呼びなさい)」と言われることもあります。これは、より本当の家族に近づいた証と捉えられることもあります。
ただし、最初からいきなり「아버지/어머니」や「아빠/엄마」と呼ぶのは避け、まずは敬意を込めて「아버님/어머님」と呼ぶのが最も無難で礼儀正しいとされています。関係性の変化や相手の意向を見ながら、呼び方を調整していくのが良いでしょう。
祖父母・兄弟姉妹など、その他の家族の呼び方
参考までに、祖父母と兄弟姉妹の基本的な呼び方もご紹介します。こちらも関係性や状況によって様々な呼び方がありますが、まずは基本を押さえておきましょう。
- 祖父: 할아버지 (ハラボジ)
- 父方の祖父: 친할아버지 (チナルァボジ)
- 母方の祖父: 외할아버지 (ウェハラボジ) ※「외(ウェ)」は「外=母方」を意味します。
- 祖母: 할머니 (ハルモニ)
- 父方の祖母: 친할머니 (チナルァモニ)
- 母方の祖母: 외할머니 (ウェハルモニ)
- 兄弟姉妹: ※自分の性別によって年上の呼び方が変わるのがポイント!
- 男性から見て:
- 兄: 형 (ヒョン) (例: 형, 어디 가? / ヒョン、オディ カ? / 兄さん、どこ行くの?)
- 姉: 누나 (ヌナ) (例: 누나, 이거 좀 도와줘. / ヌナ、イゴ チョム トワジョ. / お姉さん、これちょっと手伝って。)
- 女性から見て:
- 兄: 오빠 (オッパ) (例: 오빠! 같이 영화 볼래? / オッパ!カチ ヨンファ ポルレ? / お兄ちゃん!一緒に映画観ない?)
- 姉: 언니 (オンニ) (例: 언니, 이 옷 어때? / オンニ、イ オッ オッテ? / お姉ちゃん、この服どう?)
- 弟/妹 (男女共通): 동생 (トンセン)
- 弟: 남동생 (ナムドンセン)
- 妹: 여동생 (ヨドンセン)
- (例: 내 동생은 아직 학생이야. / ネ トンセンウン アジク ハクセンイヤ. / 私の弟/妹はまだ学生だよ。)
- 男性から見て:
特に「오빠(オッパ)」や「누나(ヌナ)」は、血縁関係のない年上の親しい異性(先輩や恋人など)に対しても使われることがある、韓国独特の文化を持つ言葉です。
感謝を伝える特別な日:韓国の「両親の日」 어버이날 (オボイナル)
日本では5月の第2日曜が「母の日」、6月の第3日曜が「父の日」と、別々に祝いますが、韓国にはこれらを合わせた「어버이날(オボイナル / 両親の日)」があります。日付は毎年5月8日と定められており、この日は全国的に両親への感謝の気持ちを伝え、家族の絆を再確認する大切な日とされています。
「어버이(オボイ)」は「父」と「母」を合わせて敬っていう古語に由来する言葉で、両親への深い尊敬と愛情が込められています。祝日ではありませんが、多くの人々がこの日を特別な日として意識し、様々な形でお祝いをします。
어버이날 の定番!過ごし方と贈り物
어버이날の過ごし方は家庭によって様々ですが、一般的に見られる習慣や贈り物のトレンドには以下のようなものがあります。
- カーネーションを贈る: 어버이날の最も象徴的な贈り物はカーネーションです。親の胸にカーネーションを一輪つけてあげるのが伝統的なスタイル。花の色にも意味があり、赤は健康と長寿、ピンクは感謝と愛、白は亡くなった親への追悼を表します。花束やフラワーボックス、鉢植えなども人気です。
- 心のこもったプレゼント: 花以外にも、様々なプレゼントが贈られます。定番は手書きの手紙やカード。そして実用的なものとして現金(용돈 / ヨンドン – お小遣い)も根強い人気があります。その他、健康食品(特に紅参 / ホンサム製品)、化粧品、衣類、小型家電、マッサージ器具などもよく選ばれます。
- 一緒に食事を楽しむ: 家族みんなで外食したり、家でご馳走を用意して食卓を囲んだりするのも定番の過ごし方です。この日は母親を日頃の家事から解放するという意味も込めて、子供たちが料理を準備したり、人気のレストランを予約したりすることが多いようです。
- 感謝の言葉を伝える: プレゼントや食事も大切ですが、何よりも「사랑해요(サランヘヨ / 愛しています)」「감사합니다(カムサハムニダ / ありがとうございます)」「오래오래 건강하세요(オレオレ コンガンハセヨ / いつまでも元気でいてください)」といった感謝や労いの言葉を直接伝えることが非常に重要視されます。
- 共に過ごす時間: プレゼントや食事だけでなく、一緒に公園を散歩したり、映画を観に行ったり、温泉や小旅行に出かけたり、あるいは家でゆっくりお茶を飲みながら語らったりと、家族水入らずの時間を大切にする家庭も多いです。
- 近年のトレンド: 最近では、健康診断のギフト券や、マッサージ、エステなどの体験型ギフト、両親の趣味に関連するもの、家族旅行なども人気が高まっています。また、遠方に住んでいて直接会えない場合は、電話やビデオ通話で気持ちを伝え、プレゼントは配送サービスを利用するのが一般的です。コロナ禍を経て、非対面でのお祝い方法も定着しました。

感謝の気持ちを込めてカーネーションを贈る 어버이날
韓国では、小学校などで어버이날に合わせて両親への感謝の手紙を書く宿題が出されることも多く、幼い頃から親孝行の精神が育まれています。日本の母の日・父の日以上に、어버이날は韓国社会全体で親への感謝を示す重要な日として位置づけられており、家族の絆と「孝」の精神を再確認する、心温まる一日となっています。
まとめ:呼び方から見える韓国の家族観
今回は、韓国語での「お父さん」「お母さん」の代表的な呼び方である아버지 (アボジ) / 아빠 (アッパ) と 어머니 (オモニ) / 엄마 (オンマ) の使い分けを中心に、関連する家族の呼称、背景にある文化、そして韓国独自の어버이날 (オボイナル) について詳しく解説しました。
【呼び方のポイント振り返り】
- お父さん:
- フォーマル/一般的: 아버지 (アボジ)
- インフォーマル/親密: 아빠 (アッパ)
- お母さん:
- フォーマル/一般的: 어머니 (オモニ)
- インフォーマル/親密: 엄마 (オンマ)
- 両親(丁寧): 부모님 (プモニム)
- 相手の親/義親(敬称): 아버님 (アボニム) / 어머님 (オモニム)
- 両親の日: 5月8日 어버이날 (オボイナル)
単に単語の意味を覚えるだけでなく、その言葉が使われる文化的背景(儒教の影響、家族の一体感、「孝」の精神)や、会話の状況、相手との関係性を理解することで、より自然で心の通ったコミュニケーションが可能になります。言葉は文化を映す鏡であり、呼び方一つにも韓国社会の価値観や人間関係のあり方が色濃く反映されているのです。
もちろん、現代の韓国では家族の形も多様化し、世代間のギャップや個人主義の広がりも見られます。親子関係も、より友だちに近いフラットな関係が増えています。しかし、その根底には、依然として家族を大切にする心、親への敬意と感謝の念が、形を変えながらも受け継がれています。
これから韓国ドラマや映画を観る際には、登場人物たちがどのような場面で「아버지/어머니」と「아빠/엄마」を使い分けているか、また義理の両親や兄弟姉妹をどう呼んでいるかに注目してみてください。きっと、今回学んだ知識が、より深い作品理解と韓国文化への興味に繋がるはずです。そして、もし韓国人の友人ができたり、韓国を訪れたりする機会があれば、実際の会話の中でこれらの呼び方を意識して使ってみることで、よりスムーズで温かい人間関係を築く一助となるでしょう。