韓国語の難関?「으変則活用」を分かりやすく解説!ルール・単語リスト・例文まとめ
韓国語の動詞や形容詞を活用させようとした時、「あれ?辞書で見た形と違うぞ?」と戸惑った経験はありませんか?韓国語には、特定の条件下で語幹や語尾の形が不規則に変化する「変則活用」というルールがいくつか存在します。ㄷ変則、ㅂ変則、ㅅ変則、ㄹ変則、ㅎ変則、르変則…など様々ですが、今回はその中でも特に基本的で重要な「으変則活用」について、ルールから対象となる単語、具体的な活用例まで、分かりやすく徹底解説していきます!
目次
「으変則活用(ㅡ脱落)」とは?基本ルールを理解しよう
まず、「으変則活用」とは何か、その基本的なルールを押さえましょう。簡単に言うと、語幹の最後の母音が「ㅡ」で終わる動詞や形容詞の一部が、後ろに「-아/어」で始まる語尾が付くときに、その「ㅡ」が脱落(消える)という現象です。「ㅡ脱落変則」とも呼ばれます。
なぜ変則活用が起こるのか?(発音の便宜上)
なぜこのような変化が起こるのでしょうか?主な理由は発音のしやすさのためと考えられています。母音「ㅡ」は、他の母音(特に아や어)と連続すると発音しにくくなるため、自然と脱落してよりスムーズな発音になった、というわけです。

基本ルール:「ㅡ」で終わる語幹に「-아/어〜」が付くと「ㅡ」が消える!
核心ルール:語幹末の「ㅡ」が「-아/어」の前で脱落する
으変則活用の最も重要なルールはこれです。
語幹末の母音「ㅡ」 + 「-아/어…」で始まる語尾 ⇒ 「ㅡ」が脱落!
例えば、「美しい」という意味の形容詞「예쁘다」の語幹は「예쁘」ですね。この語幹に、丁寧な現在形を作る語尾「-아요/어요」を付けたい場合、「-아요/어요」は母音「아/어」で始まっています。そのため、「예쁘」の最後の母音「ㅡ」が脱落します。
脱落した後に付く母音(-아/-어)の決め方:直前の母音をチェック!
「ㅡ」が脱落した後、その代わりに「-아요」が付くのか、「-어요」が付くのか(あるいは「-아서/어서」や「-았/었」など、他の「-아/어」で始まる語尾の場合も同様)を決めなければなりません。この決定ルールは以下の通りです。
- 語幹が一文字の場合(例:크다, 쓰다, 끄다)
⇒ 「ㅡ」が脱落した後、常に「-어」で始まる語尾が付きます。
例:크다 (大きい) → 크 + -어요 → 커요
쓰다 (書く、使う、苦い) → 쓰 + -어요 → 써요
끄다 (消す) → 끄 + -었어요 → 껐어요 - 語幹が二文字以上の場合(例:예쁘다, 바쁘다, 아프다, 슬프다)
⇒ 脱落する「ㅡ」の直前の文字の母音をチェックします。- 直前の母音が陽母音(ㅏ, ㅗ)の場合 → 「-아」で始まる語尾が付きます。
例:바쁘다 (忙しい) → 바빠 + -아요 → 바빠요
아프다 (痛い) → 아파 + -아요 → 아파요
고프다 (お腹が空く) → 고파 + -았어요 → 고팠어요 - 直前の母音が陰母音(ㅏ, ㅗ 以外の母音:ㅓ, ㅜ, ㅣ, ㅔ, ㅐ, ㅚ, ㅟ など)の場合 → 「-어」で始まる語尾が付きます。
例:예쁘다 (美しい) → 예뻐 + -어요 → 예뻐요
슬프다 (悲しい) → 슬퍼 + -어요 → 슬퍼요
기쁘다 (嬉しい) → 기뻐 + -어서 → 기뻐서
- 直前の母音が陽母音(ㅏ, ㅗ)の場合 → 「-아」で始まる語尾が付きます。
この「直前の母音を見て判断する」というルールが、으変則活用を理解する上で非常に重要です。
으変則活用をする主な動詞・形容詞リスト
では、どのような動詞や形容詞が으変則活用をするのでしょうか? ここでは、学習の初期段階でよく出会う基本的なものをリストアップします。(※これ以外にも存在します)
形容詞の例
- 예쁘다 (イェップダ):美しい、きれいだ → 예뻐요 (イェッポヨ)
- 바쁘다 (パップダ):忙しい → 바빠요 (パッパヨ)
- 아프다 (アップダ):痛い、具合が悪い → 아파요 (アパヨ)
- 배(가) 고프다 (ペ(ガ) コプダ):お腹が空く → 배(가) 고파요 (ペ(ガ) コパヨ)
- 슬프다 (スルプダ):悲しい → 슬퍼요 (スルポヨ)
- 기쁘다 (キップダ):嬉しい → 기뻐요 (キッポヨ)
- 나쁘다 (ナップダ):悪い → 나빠요 (ナッパヨ)
- 크다 (クダ):大きい → 커요 (コヨ)
- 쓰다 (スダ):苦い → 써요 (ソヨ)
- -(으)면 좋겠다 (~なら嬉しい) の -겠다 (ケッタ)の語幹 -겠- に ㅡ が付いた-겠으- は으変則はしないが、関連表現として参考までに
- -(으)로부터 (~から) の -브터 (ブト)の語幹 -븥- に ㅡ が付いた-븥으- は으変則はしないが、関連表現として参考までに
- -(으)로서 (~として) の -로서 (ロソ)の語幹 -롯- に ㅡ が付いた-롯으- は으変則はしないが、関連表現として参考までに
- -(으)로써 (~で、~をもって) の -로써 (ロソ)の語幹 -롯- に ㅡ が付いた-롯으- は으変則はしないが、関連表現として参考までに
動詞の例
- 쓰다 (スダ):書く、使う、(帽子などを)かぶる → 써요 (ソヨ)
- 끄다 (ックダ):消す → 꺼요 (ッコヨ)
- 뜨다 (ットゥダ):(目が)覚める、(太陽/月が)昇る、浮かぶ → 떠요 (ットヨ)
- 담그다 (タムグダ):(液体に)つける、漬ける → 담가요 (タムガヨ)
- 따르다 (ッタルダ):(液体を)注ぐ、従う → 따라요 (ッタラヨ)
- 잠그다 (チャムグダ):(鍵・蛇口などを)閉める、かける → 잠가요 (チャムガヨ)
- 치르다 (チルダ):(試験などを)受ける、(代金などを)支払う → 치러요 (チロヨ)
- 들르다 (トゥルルダ):立ち寄る → 들러요 (トゥルロヨ) ※르変則にも注意
- 모으다 (モウダ):集める → 모아요 (モアヨ) ※으変則ではなく、ㅜ とㅓ が縮約
※「모으다」のように、語幹末がㅡでなくても、-아/어が付く際に母音が縮約するケースもありますが、ここでは典型的な으変則の単語を中心に紹介しています。
一文字語幹の場合(쓰다, 끄다, 크다, 뜨다…)
前述の通り、「크다」「쓰다」「끄다」「뜨다」のように語幹が一文字の用言は、直前の母音を気にする必要がなく、常に「-어」系の語尾が付きます。
- 크다 (大きい) → 커요, 커서, 컸어요
- 쓰다 (書く/使う/苦い) → 써요, 써서, 썼어요
- 끄다 (消す) → 꺼요, 꺼서, 껐어요
- 뜨다 (浮かぶ/昇る) → 떠요, 떠서, 떴어요

日常でよく使う単語に「으変則」はたくさん!例文で慣れていきましょう。
語尾別!으変則活用の具体例を見てみよう
으変則活用のルールが分かったところで、様々な語尾が付く場合の具体的な活用形を例文で確認しましょう。
ヘヨ体(-아요/어요)の場合:日常会話の基本
最もよく使う丁寧な現在形です。
- 바쁘다 (忙しい) + -아요 → 바빠요 (忙しいです)
저는 요즘 너무 바빠요. (私は最近とても忙しいです。)
- 예쁘다 (美しい) + -어요 → 예뻐요 (美しいです)
이 꽃 정말 예뻐요! (この花、本当にきれいですね!)
- 쓰다 (書く) + -어요 → 써요 (書きます)
저는 매일 일기를 써요. (私は毎日日記を書きます。)
- 끄다 (消す) + -어요 → 꺼요 (消します)
자기 전에 불을 꺼요. (寝る前に電気を消します。)
過去形(-았/었어요)の場合
過去の出来事を表します。
- 아프다 (痛い) + -았어요 → 아팠어요 (痛かったです)
어제 머리가 너무 아팠어요. (昨日、頭がとても痛かったです。)
- 기쁘다 (嬉しい) + -었어요 → 기뻤어요 (嬉しかったです)
선물을 받아서 정말 기뻤어요. (プレゼントをもらって本当に嬉しかったです。)
- 담그다 (漬ける) + -았어요 → 담갔어요 (漬けました)
어머니께서 김치를 담그셨어요. (お母さんがキムチを漬けられました。)
- 크다 (大きい) + -었어요 → 컸어요 (大きかったです)
어렸을 때는 키가 작았는데 지금은 많이 컸어요. (幼い頃は背が低かったけれど、今はとても大きくなりました。)
理由・原因(-아/어서)の場合
「~なので」「~くて」という理由や原因を表します。
- 배(가) 고프다 (お腹が空く) + -아서 → 배(가) 고파서 (お腹が空いて)
배가 고파서 아무것도 할 수가 없어요. (お腹が空いて何もできません。)
- 슬프다 (悲しい) + -어서 → 슬퍼서 (悲しくて)
그 영화는 너무 슬퍼서 눈물이 났어요. (その映画はとても悲しくて涙が出ました。)
- 나쁘다 (悪い) + -아서 → 나빠서 (悪くて)
건강이 나빠서 회사를 쉬었어요. (体調が悪くて会社を休みました。)
仮定・条件(-(으)면)の場合 ※変則しない例として
「-(으)면」(~なら、~れば)のように、**子音で始まる語尾**が付く場合は、語幹末の「ㅡ」は脱落しません。
- 바쁘다 (忙しい) + -면 → 바쁘면 (忙しければ)
바쁘면 내일 만나요. (忙しければ明日会いましょう。)
- 예쁘다 (美しい) + -면 → 예쁘면 (美しければ)
마음이 예쁘면 얼굴도 예뻐 보여요. (心が美しければ顔も美しく見えます。)
- 쓰다 (書く) + -면 → 쓰면 (書けば)
편지를 쓰면 기분이 좋아져요. (手紙を書けば気分が良くなります。)
並列(-고)の場合 ※変則しない例として
「-고」(~して、~くて)も子音で始まる語尾なので、脱落しません。
- 크다 (大きい) + -고 → 크고 (大きくて)
그 집은 크고 넓어요. (その家は大きくて広いです。)
- 기쁘다 (嬉しい) + -고 → 기쁘고 (嬉しくて)
기쁘고 또 설레는 마음이에요. (嬉しくて、またワクワクする気持ちです。)
パンマル(タメ口)の現在形(-아/어)の場合
ヘヨ体から「-요」を取った形、つまり「-아/어」で終わるパンマル(タメ口)でも、으変則が起こります。
- 아프다 → 아파 (痛いよ)
- 예쁘다 → 예뻐 (きれいだよ)
- 쓰다 → 써 (書いて/使って/苦いよ)
- 바쁘다 → 바빠 (忙しいよ)
その他の母音で始まる語尾(-(으)ㄹ까요?, -(으)ㅂ시다など)
으変則は「-아/어」で始まる語尾が付く場合に起こります。「-(으)면」「-고」のように子音で始まる語尾や、「-(으)ㄹ까요?」(~しましょうか?)、「-(으)ㅂ시다」(~しましょう)、「-(으)세요」(~してください)のように「으」で始まる語尾が付く場合は、ㅡは脱落しません。これらの場合は、語幹末の「ㅡ」の直前にパッチムがないため、「으」は付かずに「ㄹ까요?」「ㅂ시다」「세요」などがそのまま付きます。
- 쓰다 + -ㄹ까요? → 쓸까요? (書きましょうか?)
- 끄다 + -ㅂ시다 → 끕시다 (消しましょう) ※ㅂ니다体と同じ形
- 담그다 + -세요 → 담그세요 (漬けてください)
으変則活用の注意点と間違いやすいポイント
変則しない場合:子音で始まる語尾
繰り返しになりますが、最も重要な注意点は、語幹末の「ㅡ」は、後ろに**母音「-아/어」で始まる語尾が付くときだけ脱落する**ということです。「-고」「-(으)면」「-지만」「-네요」「-군요」「-(스)ㅂ니다」など、子音で始まる語尾や、母音でも「-아/어」以外で始まる語尾(例:「-으니」は「으」で始まるが으変則対象外)が付く場合は、「ㅡ」は脱落しません。
- 바쁘다 + -지만 → 바쁘지만 (忙しいけれど)
- 예쁘다 + -네요 → 예쁘네요 (きれいですね)
- 크다 + -(스)ㅂ니다 → 큽니다 (大きいです)
他の変則活用との区別(特に르変則)
韓国語には他にも変則活用があります。特に「르」で終わる用言(모르다, 빠르다, 부르다 など)の「르変則」は、後ろに「-아/어」が付くと「르」が「ㄹㄹ」に変わるというルールがあり、으変則と混同しやすいかもしれません。
- 으変則:따르다 (従う) + -아요 → 따라요 (従います) ※「ㅡ」が脱落し、前の「ㅏ」に合わせて「-아요」が付く
- 르変則:모르다 (知らない) + -아요 → 몰라요 (知りません) ※「르」が「ㄹ라」に変わる
語幹の終わりが「ㅡ」なのか「르」なのかをしっかり区別することが大切です。
例外的な単語?
으変則活用には、ほとんど例外はありません。語幹末が「ㅡ」で終わり、後ろに「-아/어」で始まる語尾が付けば、基本的にこのルールが適用されます。
으変則活用をマスターするための練習方法
ルールは分かっても、実際に使いこなすには練習が必要です。効果的な練習方法をいくつかご紹介します。
活用表を作ってみる
으変則活用をする動詞・形容詞をいくつかピックアップし、「-아요/어요」「-았/었어요」「-아/어서」「-(으)면」「-고」など、様々な語尾を付けた活用表を自分で作ってみましょう。ルールを確認しながら手を動かすことで、理解が深まります。
短い文章を作ってみる練習
覚えた으変則活用の単語を使って、簡単な文章をたくさん作ってみましょう。「今日は忙しいです (오늘 바빠요)」「お腹が空いたのでご飯を食べます (배고파서 밥을 먹어요)」「このカバンは大きいです (이 가방은 커요)」など、身近なことから表現してみます。
音読して耳と口に慣らす
活用形を覚えたら、例文を何度も音読して、正しい発音とリズムを耳と口に覚え込ませましょう。音声教材などを活用するのも効果的です。自然に口から出てくるようになるまで繰り返すことが大切です。
まとめ:ㅡ脱落ルールを理解して、自信を持って活用しよう!
今回は、韓国語の変則活用の中でも特に重要な「으変則活用(ㅡ脱落)」について解説しました。
- 語幹末の「ㅡ」は、後ろに「-아/어」で始まる語尾が付くと脱落する。
- 脱落後に付く母音は、語幹が一文字なら「-어」、二文字以上なら直前の母音(陽母音→「-아」、陰母音→「-어」)によって決まる。
- 子音で始まる語尾や、「-아/어」以外で始まる母音語尾の前では脱落しない。
この3つのポイントをしっかり押さえれば、もう으変則活用は怖くありません!最初は少し難しく感じるかもしれませんが、基本的なルールを理解し、よく使われる単語の活用形を覚えてしまえば、あとは慣れです。たくさんの例文に触れ、実際に使ってみることで、自然と身についていきます。自信を持って韓国語の表現力を豊かにしていきましょう!