チマチョゴリの魅力を再発見!構造・歴史から現代の着こなしまで徹底ガイド

  1. 韓国歴史・文化

チマチョゴリの魅力を再発見!構造・歴史から現代の着こなしまで徹底ガイド

ふんわりと広がるスカートに、短く愛らしい上着…。韓国の伝統衣装「韓服(한복:ハンボク)」の中でも、特に女性用の「치마 저고리(チマチョゴリ)」は、その優雅で美しいシルエットと色彩で、多くの人々を魅了してきました。韓国ドラマや映画で目にする機会も多く、「一度は着てみたい!」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、「チマチョゴリって、どういう構造になっているの?」「どんな時に着るの?」「色や形に意味はあるの?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。また、「見た目は綺麗だけど、冬は寒そう…」なんてイメージを持っている方もいるかもしれませんね。

この記事では、そんなチマチョゴリの魅力を、その基本的な構造から歴史的な変遷、素材、装飾品、そして現代における楽しみ方まで、徹底的に解説します。知れば知るほど奥深い、チマチョゴリの世界を一緒に探求しましょう!

目次

チマチョゴリ(치마 저고리)とは?韓服の基本を知ろう

まず、チマチョゴリの基本的な知識から押さえていきましょう。

女性用韓服の総称:チマ(スカート)とチョゴリ(上衣)

「チマチョゴリ(치마 저고리)」とは、その名の通り、スカートにあたる「치마(チマ)」と、上衣(ジャケット)にあたる「저고리(チョゴリ)」を組み合わせた、**韓国の女性用伝統衣装**の総称です。韓服(ハンボク)全体を指す言葉ではなく、あくまで女性用の服装を指します。(男性用は「パジチョゴリ(바지 저고리)」と言います。)

チマは一枚の布を巻き付けて着る巻きスカート形式が基本で、チョゴリは短い丈で、胸元でリボン(コルム)を結んで合わせるのが特徴です。この基本的な組み合わせが、時代や身分、目的に応じて様々なデザインや色、素材で表現されてきました。

基本的な構造と各部位の名称

チマチョゴリは、いくつかのパーツから構成されています。主な部位の名称を知っておくと、より深く理解できます。

  • 저고리 (チョゴリ): 上半身に着る短い上衣。
    • 길 (キル): チョゴリの胴体部分。
    • 소매 (ソメ): 袖。直線的な形(直排래:チクペレ)や曲線的な形(두리소매:トゥリソメ)などがある。
    • 깃 (キッ): 襟の部分。首に沿って立つ形が特徴。
    • 동정 (トンジョン): 襟の汚れを防ぐために、キッの上に縫い付ける白い布。取り外して洗濯できる。清潔感の象徴。
    • 섭 (ソプ): チョゴリの前身頃の、重なり合う部分(衽)。
    • 고름 (コルム): チョゴリの胸元で結ぶリボン状の紐。結び方にも意味がある。
    • 끝동 (クットン): 袖口に付けられる別の色の布。装飾的な意味合いや、身分を示す場合もあった。
  • 치마 (チマ): 下半身に着るスカート。通常、肩紐が付いており、チョゴリの下で胸の高い位置で結びます。たっぷりと布を使った豊かなドレープが特徴。

見えない部分も重要?韓服の下着(ソクチマ, ソクパジなど)

「チマチョゴリって、特に冬は寒そう…」というイメージを持たれがちですが、実は韓服を着る際には、様々な種類の下着を重ねて着用するのが基本でした。これらは保温のためだけでなく、美しいシルエットを作る上でも重要な役割を果たしていました。

  • 속적삼 (ソクチョクサム): チョゴリの下に着る、薄い肌着。汗を吸い取る役割。
  • 속바지 (ソクパジ): チマの下に履くズボン型の下着。保温性を高める。
  • 단속곳 (タンソッコッ): ソクパジの上に履く、さらにゆったりとしたズボン型の下着。
  • 속치마 (ソクチマ): チマの下に着るスカート型の下着。これを重ねることで、チマのふんわりとした豊かなボリューム感を出します。
  • 무지기치마 (ムジギチマ): 宮廷女性などが着用した、何段にもなった構造のソクチマ。チマをより一層豊かに見せる効果がありました。

このように、複数の下着を重ね着することで、保温性を確保しつつ、韓服特有の優雅なラインを作り出していたのです。見た目ほど寒くはなかった、と言えるでしょう。

様々な色やデザインの美しいチマチョゴリ

鮮やかな色彩、優雅なライン。チマチョゴリのデザインは時代と共に変化してきた。

時代と共に変化したチマチョゴリの歴史

チマチョゴリの形は、常に同じだったわけではありません。時代の流れと共に、そのシルエットやデザインは変化してきました。

三国時代~高麗時代:活動的な原型

韓服の原型が見られる三国時代や高麗時代の女性の服装は、比較的活動的でした。チョゴリの丈は長く、腰やお尻が隠れるほどで、チマの下にはパジ(ズボン)を履くことも一般的でした。全体的にゆったりとしたシルエットが特徴です。

朝鮮時代の変遷:チョゴリ丈とチマのシルエットの変化

朝鮮時代に入ると、特にチョゴリの丈が大きく変化します。初期はまだ長めの丈でしたが、中期から後期にかけて徐々に短くなり、18世紀~19世紀頃には、胸元が露わになるほど極端に短く、体にフィットするデザインが流行しました。一方で、チマは腰の高い位置(胸の下)からふんわりと豊かに広がる、いわゆる「上薄下厚(상박하후:サンバカフ)」のシルエットが美しいとされました。

この変化の理由は定かではありませんが、当時の美意識の変化や、儒教的な規範の中で女性の身体性を強調(あるいは抑制)する意図があったなど、様々な説があります。

身分や状況を表した色と素材

朝鮮時代には、厳格な身分制度があり、服装の色や素材も身分や状況によって制限されていました。(詳しくは前回の記事『韓服(ハンボク)の色で身分がわかる?色に込められた意味と歴史を徹底解説』をご参照ください。)

  • 素材: 王族や両班(貴族階級)は、光沢のある美しい絹(비단:ピダン)を主に用いました。夏には風通しの良い麻(모시:モシ、삼베:サンベ)も着られました。一方、庶民は主に木綿(무명:ムミョン)や麻などの素朴な素材で作られた韓服を着ていました。
  • 色: 未婚女性は赤や黄色、新妻は緑と赤(緑衣紅裳)、既婚女性は藍色や玉色など、立場や状況を示す色が用いられました。庶民は主に染色されていない白や生成り色の服を着ることが多かったとされます。

チマチョゴリを彩る美しい装飾品

韓服の美しさをさらに引き立てるのが、様々な装飾品(アクセサリー)です。これらもまた、身分や状況に応じて使い分けられました。

ノリゲ(노리개):胸元を飾るアクセサリー

チョゴリのコルム(結び紐)やチマの腰部分に付けられる、房飾りや組紐、宝石などで作られた装飾品です。韓服全体のアクセントとなり、華やかさを添えます。様々な形や素材があり、福を願う縁起の良いモチーフ(蝶、蝙蝠、瓢箪など)が使われることもありました。ノリゲの種類や豪華さで、身分や富を示すこともありました。

ピニョ(비녀):髪をまとめるかんざし

既婚女性が、髷(まげ)を結った髪を固定するために使う、長いかんざしです。素材は、金、銀、玉、珊瑚、木、骨など様々で、身分によって使える素材が制限されていました。龍や鳳凰などの豪華な飾りが付いたものは、王族や貴族の女性が儀式の際に用いました。

チョクチ(족두리)・ファグァン(화관):婚礼用髪飾り

結婚式の際に新婦が頭に載せる伝統的な髪飾りです。「족두리(チョクチ)」は黒い絹で作られた小さな冠のような形、「화관(ファグァン)」は花などで華やかに飾られた冠です。婚礼衣装を一層引き立てます。

ポソン(버선)とコッシン(꽃신):足元のおしゃれ

버선(ポソン)」は、韓服を着る際に履く、足袋のような形をした靴下です。白が基本ですが、防寒用に綿が入ったものなどもあります。その上に履く靴としては、「꽃신(コッシン:花靴)」と呼ばれる、絹地に花の刺繍などを施した美しい靴や、「운혜(ウネ)」と呼ばれるかかとの低い靴などがありました。

結婚式で伝統的な婚礼韓服を着た新郎新婦

結婚式や名節、トルチャンチなど、特別な日に韓服は今も大切に着られている。

現代に息づくチマチョゴリ:いつ、どこで着る?

現代社会では、洋服が日常着となったため、チマチョゴリを着る機会は限られています。しかし、特別な日や行事においては、今もなお大切な民族衣装として着用されています。

特別な日のための礼装:結婚式(婚礼韓服、ペベク衣装)

現代の韓国の結婚式では、ウェディングドレスとタキシードを着ることが一般的ですが、式の前後や披露宴、そして伝統的な儀式である「幣帛(폐백:ペベク)」の際には、新郎新婦が華やかな婚礼用韓服を着ることが多いです。新婦は緑のチョゴリに赤いチマ(緑衣紅裳)や、豪華な刺繍が施された「ファルオッ(활옷)」や「ウォンサム(원삼)」などを着用します。また、両家の母親も韓服を着て式に参列するのが一般的です。

家族が集まる名節(旧正月・秋夕)

旧正月(ソルラル)や秋夕(チュソク)といった名節には、故郷に帰り、家族や親戚と過ごします。その際、特に子供たちに新しい韓服(설빔:ソルビム、추석빔:チュソクピム)を着せて、新年の挨拶(세배:セベ)をしたり、祭祀(チェサ)を行ったりする家庭もあります。大人も、祭祀や挨拶回りの際に韓服を着ることがあります。

赤ちゃんの最初の誕生日:トルチャンチ(トルボク)

赤ちゃんの満1歳の誕生日を盛大に祝う「돌잔치(トルチャンチ)」。この日の主役である赤ちゃんは、「돌복(トルボク)」と呼ばれる特別な韓服を着ます。男の子はパジチョゴリにベスト(배자:ペジャ)や帽子(복건:ポッコン、호건:ホゴンなど)、女の子は色とりどりのチマチョゴリ(セクトンチョゴリなど)を着て、将来を占う「トルチャビ」の儀式などを行います。

還暦(환갑:ファンガプ)などのお祝い

還暦(満60歳)や古希(70歳)など、長寿を祝う宴(잔치:チャンチ)でも、主役や家族が韓服を着てお祝いすることがあります。

新しい魅力!ファッションとしての韓服(ハンボク)

伝統的な行事だけでなく、近年、韓服は新しい形で注目され、楽しまれるようになっています。

日常で楽しめる「生活韓服(セファルハンボク)」の人気

特に若い世代の間で、「생활한복(セファルハンボク:生活韓服)」や「개량한복(ケリャンハンボク:改良韓服)」と呼ばれる、現代風にアレンジされた韓服の人気が高まっています。伝統的な韓服の美しさを活かしつつ、現代のライフスタイルに合わせて、より着やすく、動きやすくデザインされているのが特徴です。

モダンなデザインと多様な素材

生活韓服のデザインは様々です。

  • チョゴリ丈が長めになり、普段のブラウスのように着られるもの。
  • チマ丈が短くなり、活動しやすくなったもの。
  • チョゴリとチマが一体になったワンピース型のもの。
  • レースやシフォン、デニムなど、伝統的な素材(絹、麻、木綿)以外の多様な素材が使われているもの。
  • モダンな柄やプリントが施されているもの。

価格も、伝統的な韓服に比べて手頃なものが多く、数千円~数万円程度で購入できます。

若者を中心に広がる韓服ファッション

これらの生活韓服は、特別な日の衣装としてだけでなく、日常のおしゃれ着として、普段の洋服とコーディネートして楽しむ若者が増えています。SNSなどでも、生活韓服を着てカフェに行ったり、旅行に出かけたりする写真が多く投稿されており、新しい韓服ファッションのムーブメントとなっています。

韓国旅行の思い出に!韓服レンタル体験

韓国を訪れる観光客にとって、韓服を着て街を散策するのは人気の体験の一つです。

人気の体験エリア:古宮周辺、韓屋村など

ソウルの景福宮(キョンボックン)、昌徳宮(チャンドックン)といった古宮の周辺や、北村(プクチョン)韓屋村、仁寺洞(インサドン)など、歴史的な街並みが残るエリアには、たくさんの韓服レンタル店があります。全州(チョンジュ)韓屋村なども有名です。

レンタル店の選び方と注意点

レンタル店によって、韓服の種類(伝統的なもの、華やかなもの、改良韓服風のものなど)、サイズ、料金プラン(時間制が多い)、ヘアセットや小物のレンタルの有無などが異なります。事前にインターネットなどで情報を収集し、自分の好みや予算に合ったお店を選びましょう。特に週末や観光シーズンは混雑するので、予約をしておくとスムーズです。

写真映えするポーズや場所

せっかく韓服を着たら、素敵な写真をたくさん撮りたいですよね。古宮の美しい建物や庭園、韓屋村の趣ある路地などを背景に、少しおしとやかなポーズをとってみたり、友達と楽しそうにしている自然な表情を撮ったりするのがおすすめです。韓服を着ていると、古宮の入場料が無料になる場合が多いので、ぜひ訪れてみましょう。

まとめ:時代を超えて愛されるチマチョゴリの魅力

優雅なシルエット、鮮やかな色彩、そして長い歴史と文化が息づく韓国の伝統衣装、チマチョゴリ(女性用韓服)。かつては身分や年齢を示す厳格な服装でしたが、現代においては、結婚式などの特別な日を彩る礼装として、また、生活韓服やレンタル体験を通じてファッションとして、新しい形で愛され、受け継がれています。

その構造や歴史、色や装飾品に込められた意味を知ることで、チマチョゴリの魅力はさらに深まります。韓国ドラマを見るとき、あるいは実際に韓服に触れる機会があれば、ぜひそのディテールにも注目してみてください。きっと、新たな発見と感動があるはずです。

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ソヨン (서연) この記事を書いた人

講師歴20年超、ソウル出身のネイティブスピーカー。延世大学卒業後、明治大学で学ぶ。大阪朱友外語学院、アイザック外国語学校、龍谷大学外国語文化センター等での豊富な講師経験に加え、同時通訳経験も有する。
ネイティブならではの綺麗な標準語の発音指導。初級からビジネス、通訳レベルまで、学習者のレベルと目標に合わせた体系的かつ実践的なレッスン構築。
長年の指導経験に基づき、多くの学習者を目標達成(試験合格、流暢な会話力習得など)に導く。「使える」韓国語を確実に習得させる指導力に定評があり、教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。

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