【完全ガイド】韓国語の意志表現を使い分け!「겠」「ㄹ게」「ㄹ래」「ㄹ까」ニュアンスの違いを徹底解説
「私がやります」「~するつもりです」「~しますね」… 日常会話で自分の意志や未来の行動について話す場面は数多くあります。韓国語を学んでいると、こうした意志を表す文法が「~겠습니다」「~(으)ㄹ 거예요」「~(으)ㄹ게요」「~(으)ㄹ래요」など、たくさんあることに気づき、「一体どれを使えばいいの?」と混乱してしまった経験はありませんか?
実は、これらの表現は決してランダムに使われているわけではなく、それぞれが持つ微妙なニュアンス、フォーマル度、そして聞き手との関係性によって、ネイティブスピーカーは自然に使い分けています。この使い分けをマスターすることこそ、あなたの韓国語をより自然で、より豊かにするための鍵なのです。この記事では、それぞれの表現の核心的な意味を解き明かし、豊富な例文と共にその違いを、これ以上ないほど徹底的に解説していきます。より深い文法の理解と会話練習には、韓国語教室での学習も効果的ですよ。
目次
なぜこんなに多い?韓国語の意志表現の全体像と3つの判断軸
韓国語に意志表現が多いのは、聞き手との関係性や、その場の状況を非常に重視する言語だからです。自分の意志を伝える際にも、単に「~する」と事実を述べるだけでなく、そこに込められた様々なニュアンスを語尾で表現し分けます。この繊細なニュアンスこそが、韓国語の面白さであり、難しさでもあります。これから学ぶ表現を選ぶ上で重要になるのは、主に以下の3つの判断軸です。
- フォーマル度:相手は目上か、親しい友人か。公的な場か、私的な場か。
- 聞き手との関連性:自分の行動が、聞き手の言葉や状況と関係があるか、ないか。
- 意志の種類:固い決意なのか、漠然とした計画なのか、相手への約束なのか、個人的な意向なのか。
この記事を通して、この3つの軸を常に意識することで、なぜネイティブがその場面でその表現を選んだのかが、クリアに理解できるようになります。
【徹底比較】4大意志表現「겠」「ㄹ게」「ㄹ래」「ㄹ 거」の使い分け
それでは、最も重要で混同しやすい4つの意志表現について、それぞれの核心的なニュアンスを、豊富な例文と共にじっくりと見ていきましょう。
① ~겠습니다 / ~겠어요 : フォーマルな強い意志・公的な約束
「~겠습니다」は、意志表現の中で最もフォーマル度が高い表現です。聞き手に対して、自分の強い意志や覚悟を表明する際に使われます。そのため、個人的な会話よりも、公的な場やビジネスシーン、サービス業、軍隊などで頻繁に耳にします。「겠」は話者の主観的な判断や意志を強く反映するため、客観的な事実というよりは「私が責任をもって~します」という話者の心構えを示すニュアンスが強いです。
主な使われ方:
- 強い意志の表明:面接やスピーチなどで「必ず~します」という固い決意を表す。
최선을 다하겠습니다. (ベストを尽くします。)
반드시 성공시키겠습니다. (必ず成功させます。) - 公的な宣言・約束:大勢の前や、会社の代表として何かを約束する時。
지금부터 2025년도 사업 계획 발표를 시작하겠습니다. (今から2025年度事業計画の発表を始めます。)
내일 오전까지 보고서를 제출하겠습니다. (明日の午前中までに報告書を提出いたします。) - サービス業での決まり文句:お客様への対応として、丁寧かつ確実な行動を示す。
네, 알겠습니다. 잠시만 기다려 주십시오. (はい、かしこまりました。少々お待ちくださいませ。)
다녀오겠습니다. (行ってまいります。)
注意点:
親しい友人との日常会話で「(友達とカフェで) 제가 커피를 사겠습니다(私がコーヒーを買います)」のように使うと、非常に堅苦しく、大げさで不自然に聞こえます。軍隊のような口調に聞こえてしまうこともあるため、私的な場面での使用は避けましょう。
② ~(으)ㄹ게요 : 聞き手を意識した「約束」の「~しますね」
「~(으)ㄹ게요」は、意志表現の中でも最も聞き手との関連性が強い表現です。この文法の核心は、自分の行動が聞き手の言葉や反応、状況を受けてのものであることを示し、「(あなたがそう言うなら/そういう状況なら)私が~しますね」という、相手への配慮や約束のニュアンスを含む点にあります。相手に許可を求めたり、相手の反応を伺ったりする気持ちも含まれています。
核心的なポイント:
- 聞き手の反応が前提:相手の発言や状況が「きっかけ」となって自分の行動が決まります。
(相手が「寒い」と言ったので →)그럼 제가 창문을 닫을게요. (では私が窓を閉めますね。)
(相手が「荷物が重そう」に見えたので →)무거워 보이는데 제가 좀 들어 드릴게요. (重そうに見えますが、私が少しお持ちしますね。) - 約束のニュアンス:相手に対して「~するからね(心配しないで)」と約束する意味合いが強いです。
걱정 마세요. 내일 꼭 전화할게요. (心配しないでください。明日必ず電話しますね。)
먼저 갈게요. 내일 봐요. (お先に失礼しますね。また明日。)
注意点:主語と文の種類の制約
聞き手への約束なので、主語は必ず一人称(私、私たち)になります。疑問文や命令文の形では使えません。
(誤) 민수 씨가 갈게요. (ミンスさんが行きますね) → 主語が三人称なので間違い。
(誤) 제가 갈게요? (私が行きましょうかね?) → 疑問文なので間違い。この場合は「제가 갈까요?」を使う。

相手の言葉や状況がきっかけになるのが「~(으)ㄹ게요」のポイントです。
③ ~(으)ㄹ래요 : 親しい間の「個人的な意向」の「~するよ」
「~(으)ㄹ래요」は、親しい間柄で使われる、カジュアルな意志表現です。聞き手への配慮や約束というよりは、話している本人の、その場の個人的な意向や好みを表明する時に使われます。「私は(他の人は知らないけど)~するよ」「私は~がいいな」といった、主観的で少し柔らかなニュアンスです。
核心的なポイント:
- 個人的な選択・好み:メニューを選ぶ時や、複数の選択肢から一つを選ぶ場面で多用されます。
저는 그냥 집에 있을래요. 먼저들 가세요. (私はもう家にいますよ。お先に行ってください。)
난 커피 안 마실래요. 대신 주스 마실래요. (僕はコーヒー飲まないよ。代わりにジュースを飲むよ。) - 疑問形はカジュアルな勧誘・意向確認:「~(으)ㄹ래요?」の形で、親しい相手に「~しない?」「~する?」と意向を尋ねる表現として非常によく使われます。
우리 같이 영화 볼래요? (私たち、一緒に映画観る?)
점심 뭐 먹을래요? (お昼、何食べる?)
注意点:
非常にカジュアルで、少し子供っぽい響きを持つこともあるため、目上の人やフォーマルな場では絶対に使えません。主語は必ず一人称(平叙文)か二人称(疑問文)になります。

「私はこうするよ」という個人的でカジュアルな意向が「~(으)ㄹ래요」です。
④ ~(으)ㄹ 거예요 : 客観的な「予定・計画」の「~するつもりです」
「~(으)ㄹ 거예요」は、最も中立的で客観的な未来・意志表現です。聞き手との関係性やその場の状況に左右されず、話者が以前から持っている計画や、ほぼ確実な未来の予定を淡々と述べる時に使われます。ある意味、最も汎用性が高く、迷ったらこれを使えば大きな間違いにはなりにくい表現とも言えます。
核心的なポイント:
- 客観的な予定・計画:すでに決まっている未来の行動について話す時に使います。
저는 다음 주에 부산으로 여행을 갈 거예요. (私は来週、釜山へ旅行に行く予定です。)
그 건물은 내년에 완공될 거예요. (その建物は来年、完工される予定です。) ※主語が三人称でも使える - 強い確信を伴う推測:「きっと~でしょう」という、何らかの根拠に基づいた推測を表す時にも使われます。
지금 출발했으니까 30분 후에 도착할 거예요. (今出発したので、30分後に到着するでしょう。)
이 약을 먹으면 괜찮아질 거예요. (この薬を飲めば大丈夫になるでしょう。)
フォーマル度:
「~(으)ㄹ 거예요」は日常会話で使われる丁寧語です。「거」は「것」の口語形なので、よりフォーマルな場では「~(으)ㄹ 겁니다」や「~(으)ㄹ 것입니다」が使われます。

すでに決まっている客観的な計画を伝えるのが「~(으)ㄹ 거예요」です。
【便利】意志表現の使い分け早見チャート
表現 | フォーマル度 | 聞き手との関連性 | 核心的なニュアンス | 主語 |
---|---|---|---|---|
~겠습니다 | ★★★★★ | 低い | 公的な場での強い意志・覚悟の表明 | 私 |
~(으)ㄹ게요 | ★★★☆☆ | 非常に高い | 聞き手への反応としての約束・配慮 | 私 |
~(으)ㄹ래요 | ★☆☆☆☆ | 中くらい | 個人的・自発的な意向・好み | 私/あなた(疑問文) |
~(으)ㄹ 거예요 | ★★★☆☆ | 低い | 客観的な予定・計画の伝達 | 誰でもOK |
【提案・勧誘】相手の意志を尋ねる表現のバリエーション
自分の意志を伝えるだけでなく、相手の意向を尋ねたり、一緒に何かをしようと提案したりする表現も、円滑なコミュニケーションには不可欠です。
~(으)ㄹ래요? : 親しい相手へのカジュアルな提案「~しない?」
前述の通り、「~(으)ㄹ래요」は疑問形にすると、親しい相手へのカジュアルな提案・勧誘になります。「Wanna ~?」のニュアンスに近く、相手に選択肢を与えつつ、気軽に誘うことができます。
~(으)ㄹ까요? : 丁寧な提案・意見伺い「~しましょうか?」
「~(으)ㄹ까요?」は、相手の意向を丁寧に尋ねたり、一緒に何かをすることを提案したりする時に用いる表現です。「Shall we ~?」に近く、相手の意見を尊重する姿勢が示せます。目上の人にも使える丁寧な表現です。
~(으)시겠어요? : 最も丁寧に意向を尋ねる「~なさいますか?」
尊敬の「시」と意志の「겠」が組み合わさった形で、相手の意向を非常に丁寧に尋ねる表現です。レストランやお店などで、店員がお客さんに対して使うことが非常に多いです。「Would you like to ~?」のニュアンスで、最高の敬意を示します。
【新規】否定的な意志の伝え方「~しないつもりです」
「~する」という肯定的な意志だけでなく、「~しない」という否定的な意志を伝えることも重要です。これも、肯定文と同じようにニュアンスによって形が変わります。
- フォーマルな否定:~지 않겠습니다
「決して~いたしません」という強い否定の意志を表します。
例:다시는 이런 일이 없도록 하겠습니다. (二度とこのようなことがないようにいたします。) - カジュアルな否定:~지 않을래요 / 안 ~(으)ㄹ래요
「~しないよ」「~する気はないよ」という個人的な否定の意向。
例:미안, 오늘은 술 안 마실래요. (ごめん、今日は酒飲まないよ。) - 予定の否定:~지 않을 거예요 / 안 ~(으)ㄹ 거예요
「~しない予定です」「~しないでしょう」という客観的な否定。
例:이번 주말에는 아무 데도 안 갈 거예요. (今週末はどこへも行かないつもりです。)
【実践会話】場面別ロングダイアログでニュアンスを体感!
SCENE 1:友達と夕食の約束をする時
A: 배고프다. 오늘 저녁 뭐 먹을까요? (お腹すいた。今日の夕食、何にしましょうか?)
B: 글쎄요… 저는 매운 게 먹고 싶으니까 떡볶이 먹을래요. (さあ…私は辛いものが食べたいから、トッポッキにするよ。)
A: 좋아요! 그럼 저기 새로 생긴 가게에 가 볼까요? (いいですね!じゃあ、あそこに新しくできたお店に行ってみましょうか?)
B: 네. 그럼 제가 먼저 가서 자리 잡고 있을게요. (はい。では私が先に行って席を取っておきますね。)
A: 고마워요. 저도 5분 안에 도착할 거예요. (ありがとう。私も5分以内に到着すると思います。)
まとめ:聞き手と状況を意識して、表現の達人になろう
今回は、韓国語の多彩な意志表現について、その微妙なニュアンスの違いと使い分けを、これ以上ないほど徹底的に解説しました。最後に重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- ~겠습니다:フォーマルな場で、強い意志や覚悟を表明する時。
- ~(으)ㄹ게요:相手の言葉や状況を受けて、「~しますね」と約束する時。主語は常に「私」。
- ~(으)ㄹ래요:親しい間で、個人的な意向や好みを「~するよ」と表明する時。
- ~(으)ㄹ 거예요:客観的な予定や計画を「~するつもりです」と伝える時。
最初は難しく感じるかもしれませんが、会話の「状況」と「相手」を意識する癖をつけることで、自然と適切な表現が選べるようになります。たくさんのドラマを見たり、実際に韓国人と話したりする中で、それぞれの表現が持つ「温度感」をぜひ肌で感じてみてください。この使い分けができるようになれば、あなたの韓国語は間違いなく一段階レベルアップします。