【悪用厳禁】韓国語の悪口・スラング25選!ドラマで聞く言葉の意味から使い方、注意点まで専門家が徹底解説
目次
なぜ「韓国語の悪口」を知る必要があるのか?【知識としての重要性】
「わざわざ外国語の汚い言葉を覚える必要なんてあるの?」――そう思われるかもしれません。しかし、韓国の文化や言語を真に深く理解するためには、光の部分だけでなく、影の部分、つまり「悪口」や「スラング」といった非公式な言葉の世界を知ることも、実は非常に重要です。決して、他人を傷つけるために学ぶのではありません。その目的は、大きく分けて3つあります。
言葉の裏にある文化や感情を理解する
悪口やスラングには、その国の文化、価値観、そして人々の生々しい感情が凝縮されています。どのような状況で、どのような対象に、どのような言葉が使われるのかを知ることで、教科書だけでは学べない、韓国社会のリアルな一面を垣間見ることができます。それは、人間関係の「距離感」や「許容範囲」を測る上での一つの指標にもなり得ます。
韓国ドラマや映画をより深く楽しむために
韓国のドラマや映画を観ていると、登場人物が感情を爆発させるシーンで、字幕では表現しきれない強烈な言葉が飛び交うことがあります。これらの言葉の意味を知っていると、キャラクターの感情の機微や、その場の緊迫感をよりダイレクトに感じ取ることができ、作品鑑賞の解像度が格段に上がります。「ああ、あのシーンで言っていた悪口はこんなに強い意味だったのか!」と理解することで、ストーリーへの没入感が一層深まるでしょう。
万が一の際に自分を守るための知識
残念ながら、海外で生活したり旅行したりする中で、意図せずトラブルに巻き込まれ、悪口を言われてしまう可能性はゼロではありません。そんな時、相手が発している言葉がどの程度の悪意を持っているのかを理解できれば、状況を冷静に判断し、適切に対応するための一助となります。危険を察知し、その場を離れるべきか、あるいは助けを求めるべきかを判断するためにも、護身術として「知っておく」ことには大きな価値があるのです。
【最重要】この記事で紹介する悪口を使用する際の絶対的注意点
本記事で紹介する言葉は、あくまで韓国文化と言語を深く理解するための「知識」として提供するものです。実際の会話での安易な使用は、取り返しのつかない事態を招く危険性があります。
- 人間関係の破壊: どんなに親しい間柄でも、一度発した悪口は相手の心を深く傷つけ、関係性を完全に破壊する力を持っています。
- 法的な問題: 内容によっては、韓国の法律で「侮辱罪」などに問われ、法的な罰則を受ける可能性もゼロではありません。
- 自己責任の原則: 本記事の情報を利用して生じたいかなるトラブルや損害についても、当方は一切の責任を負いません。言葉の使用は、すべて自己責任であることを固く肝に銘じてください。
繰り返しになりますが、ここでの目的は「悪口の推奨」ではなく「文化理解と自己防衛のための知識の提供」です。
【レベル別】韓国語の悪口・スラング辞典
それでは、いよいよ具体的な言葉を見ていきましょう。ここでは、言葉の強さや攻撃性のレベルに応じて「初級編」「中級編」「上級編」の3段階に分けて紹介します。それぞれの言葉が持つニュアンスや使われる文脈を正しく理解することが重要です。

言葉の強さを理解し、段階的に知識を深めていきましょう。
【初級編】比較的軽めの表現・親しい間柄で使われる(かもしれない)言葉
ここに分類される言葉は、比較的軽度なものが多く、親しい友人同士のじゃれ合いや、ドラマなどで愛情表現の裏返しとして使われることもあります。しかし、あくまで「親しい間柄」という前提があり、関係性を見誤ると相手を不快にさせるので注意が必要です。
1. 바보 (パボ)
意味: アホ、バカ
解説: 韓国語の悪口としては最も基本的で、最もマイルドな表現の一つです。日本語の「おバカさん」や「アホだなぁ」に近いニュアンスで、親しい友人や恋人同士で愛情を込めて使われることもあります。深刻な侮辱の意味合いはほとんどありませんが、もちろん面と向かって初対面の人に使うべき言葉ではありません。
使用例: “아휴, 너 정말 바보구나!” (アヒュ, ノ チョンマル パボグナ!) – 「まったく、君は本当にアホだなぁ!」
2. 멍청이 (モンチョンイ)
意味: まぬけ、おろか者
解説: 「바보(パボ)」よりも少しだけ侮辱の度合いが強まります。頭の回転が鈍い、状況が読めないといったニュアンスを含みます。友人同士で冗談で使うこともありますが、「바보」よりは少しトゲのある響きになります。
使用例: “이런 것도 모르다니, 멍청이.” (イロン ゴット モルダニ, モンチョンイ) – 「こんなことも知らないなんて、まぬけだな。」
3. 짜증나 (チャジュンナ)
意味: ムカつく、イライラする
解説: 特定の人物に対する直接的な悪口というよりは、状況や事柄に対する不満やイライラを表す言葉です。「짜증(チャジュン)」が「苛立ち」を意味する名詞で、「나다(ナダ)」が「出る」を意味します。独り言として使われることも非常に多い表現です。
使用例: “아, 진짜 짜증나! 버스를 놓쳤어.” (ア, チンチャ チャジュンナ! ボスルル ノチョッソ) – 「あー、まじムカつく!バスに乗り遅れた。」
4. 찐따 (チンタ)
意味: イケてない人、陰キャ、ぼっち
解説: 元々は少し違う意味でしたが、現代では主に若者の間で「空気が読めない人」「友達がいなくて一人でいる人」「ファッションセンスがダサい人」などを指すスラングとして定着しています。日本語の「陰キャ」に非常に近いニュアンスです。かなり侮辱的なので、使うべきではありません。
使用例: “쟤는 왜 맨날 혼자 있어? 완전 찐따 같아.” (チェヌン ウェ メンナル ホンジャ イッソ? ワンジョン チンタ カタ) – 「あいつなんでいつも一人なの?マジで陰キャみたい。」
5. 변태 (ピョンテ)
意味: 変態
解説: 日本語の「変態」とほぼ同じ意味、同じ漢字語(変態)です。性的に異常な行動や嗜好を持つ人を指します。冗談で使われることもありますが、基本的には強い非難の意味を込めて使われます。
使用例: “그만 좀 쳐다봐, 이 변태야!” (クマン ジョム チョダボァ, イ ピョンテヤ!) – 「もうジロジロ見るな、この変態!」
6. 재수 없어 (チェス オプソ)
意味: 気に食わない、ついてない、縁起が悪い
解説: 「재수」は漢字で「財數」と書き、元々は「運」や「縁起」を意味します。それが「ない(없다)」ので、「運が悪い」「ついてない」という意味になります。また、そこから転じて、人の言動が「気に食わない」「鼻につく」といった意味でも使われます。
使用例: “쟤는 잘난 척해서 진짜 재수 없어.” (チェヌン チャルナン チョッケソ チンチャ チェス オプソ) – 「あいつは偉ぶってて本当に気に食わない。」
【中級編】明確な悪意を持つ侮辱的な言葉
ここから紹介するのは、明確な悪意と攻撃性を持った言葉です。冗談で使うことはほぼなく、喧嘩や本気で相手を侮辱する際に使われます。これらの言葉を耳にしたら、そこには深刻な対立があると理解すべきです。
7. 병신 (ピョンシン)
意味: 身体障がい者、マヌケ、役立たず
解説: 元々は身体障がいを持つ人々を指す差別用語であり、非常に侮辱的な言葉です。相手を「五体不満足な人間」「役立たず」と罵る際に使われる、極めて強い悪口です。放送などでは自主規制音が入るレベルの言葉であり、絶対に使用してはいけません。
使用例: “이것도 못하냐? 이 병신아!” (イゴット モタニャ? イ ピョンシナ!) – 「こんなこともできないのか?この役立たずが!」
8. 미친놈/미친년 (ミッチンノム/ミッチンニョン)
意味: 狂った男/女
解説: 「미치다(ミチダ)」が「狂う」を意味する動詞で、「놈(ノム)」は男性を卑しめて呼ぶ言葉、「년(ニョン)」は女性を卑しめて呼ぶ言葉です。つまり、「狂った野郎」「狂った女」という意味になります。常軌を逸した言動をする相手に対して、強い非難と軽蔑を込めて使われます。
使用例: “저 미친놈이 지금 뭐라고 하는 거야?” (チョ ミッチンノミ チグム ムォラゴ ハヌン ゴヤ?) – 「あのキチガイ野郎、今なんて言ってるんだ?」
9. 닥쳐 (タクチョ)
意味: 黙れ
解説: 「입 닥쳐(イプ タクチョ)=口を閉じろ」の略で、非常に強い命令口調の「黙れ」です。相手の話を強制的に遮り、侮辱するニュアンスがあります。ドラマの喧嘩シーンなどでは頻繁に登場します。
使用例: “시끄러워, 좀 닥쳐!” (シクロウォ, ジョム タクチョ!) – 「うるさい、黙れ!」
10. 꺼져 (コジョ)
意味: 消えろ、失せろ
解説: 「불이 꺼지다(プリ コジダ)=火が消える」のように、「消える」を意味する動詞ですが、人に対して使うと「目の前から消えろ」「失せろ」という非常に強い拒絶・侮辱の言葉になります。相手の存在そのものを否定するような、冷たく突き放すニュアンスです。
使用例: “내 눈앞에서 당장 꺼져!” (ネ ヌナペソ タンジャン コジョ!) – 「俺の目の前から今すぐ消えろ!」
【上級編】放送禁止レベルの最も強い罵倒語
【警告】ここから紹介する言葉は、韓国語における最上級の罵倒語です。公共の場では決して使われず、使えば深刻な事態に発展します。知識としてのみ留め、決して口にしないでください。
15. 씨발 (シバル)
意味: クソ、畜生、F**k
解説: 韓国語の悪口の中で最も有名かつ代表的な言葉です。元々は性的な行為を意味する言葉から来ており、英語の「F**k」とほぼ同じような使われ方をします。怒り、不満、驚きなど、あらゆるネガティブな感情を表す感嘆詞のように使われますが、その侮辱の度合いは計り知れません。
19. 애미/애비 없다 (エミ/エビ オプタ)
意味: 母親/父親がいない(=ろくな育てられ方をしていない)
解説: 相手の親を侮辱することは、多くの文化で最悪のタブーとされています。この言葉は、単に「親がいない」という意味ではなく、「親の教育がなっていなかったせいで、お前はこんな人間になったんだ」という、相手の出自や育ち、そして人格の全てを否定する最悪の侮辱です。絶対に使ってはならず、もし言われたら最大限の侮辱を受けたと認識すべきです。
【シーン別】韓国ドラマ・映画で頻出の悪口フレーズ
個別の単語だけでなく、実際の会話(主に喧嘩ですが…)でよく使われるフレーズを知っておくと、ドラマの理解度がさらに深まります。

「あのセリフ、こういう意味だったのか!」という発見は、韓ドラ鑑賞の醍醐味です。
喧嘩シーンの定番「야, 장난하냐? (ヤ、チャンナナンニャ?)」
直訳すると「おい、冗談してるのか?」ですが、実際のニュアンスは「ふざけてんのか?」「なめてんのか?」という非常に攻撃的なものです。相手の言動が到底受け入れがたい、馬鹿にしていると感じた時に使われます。財閥の御曹司が相手を威圧するシーンなどで頻出です。
怒りを表現する「아, 진짜 열 받네! (ア、チンチャ ヨル バンネ!)」
「열 받다(ヨル パッタ)」は「頭に熱を受ける」=「頭にくる、腹が立つ」という意味の慣用句です。ここに「진짜(チンチャ)=本当に」がつくことで、「あー、マジで頭きた!」という強い怒りを表現します。比較的広い場面で使われる、感情表現の基本フレーズです。
呆れた時の「어이가 없네 (オイガ オンネ)」
「어이(オイ)」は「呆れること、とんでもないこと」を意味し、それが「없다(オプタ)=ない」なので、「呆れて言葉も出ない」という状況を表します。映画『ベテラン』の名台詞として有名になりました。相手の理不尽な言動や、信じられない状況に直面した時の「ありえないんだけど」という気持ちが込められています。
もし韓国人に悪口を言われたら?【冷静な対処法】
知識として悪口を知っていても、いざ自分がその対象になると、冷静でいるのは難しいものです。しかし、感情的に反応することは事態を悪化させるだけです。万が一の時のために、冷静な対処法を心に留めておきましょう。

言葉の暴力に対しては、冷静な判断と対処が何よりも重要です。
相手にしない、その場を離れるのが最善
最も重要かつ効果的なのは、「反応しないこと」そして「物理的に距離を取ること」です。相手はあなたを挑発し、感情的な反応を引き出そうとしているのかもしれません。無視してその場を静かに立ち去ることが、自分を最も安全に守る方法です。
意味を理解し、状況を判断する
この記事で学んだ知識が役立つのはここです。相手が発した言葉がどのレベルの悪口なのかを理解することで、危険度を測ることができます。初級レベルの「바보」と、上級レベルの「씨발」では、相手の敵意のレベルが全く異なります。危険を察知したら、ためらわずに逃げてください。
助けを求める、通報するという選択肢
身の危険を感じたり、脅迫や名誉毀損にあたるような執拗な罵倒を受けたりした場合は、一人で抱え込まずに助けを求めましょう。周囲の人に助けを求める、店員や駅員に知らせる、そして必要であれば警察(韓国の警察番号は112)に通報することも正当な権利です。
まとめ:言葉は両刃の剣。知識を正しく使いこなそう
今回は、「取扱要注意」な韓国語の悪口・スラングについて、その意味や背景、そして危険性について詳しく解説してきました。
繰り返しになりますが、これらの言葉を学ぶ目的は、決して他人を攻撃するためではありません。
- ✅ 韓国文化の多面性をより深く理解するため
- ✅ ドラマや映画のセリフのニュアンスを掴み、より楽しむため
- ✅ 万が一の際に自分を守るための「護身術」として
という、ポジティブな側面にあります。
言葉は、人を繋ぐ架け橋にもなれば、人を傷つける鋭い剣にもなります。特に、今回学んだような攻撃性の高い言葉の威力は絶大です。その力を正しく理解し、自制心を持って知識として活用することこそが、真の言語学習者であり、国際人としての成熟した姿勢と言えるでしょう。
この記事が、あなたの韓国語と韓国文化への理解を、より一層深めるきっかけとなれば幸いです。