【完全ガイド】韓国語「한다体」を徹底解説!新聞・論文もスラスラ読める使い方マスター法
日本語の新聞記事や論文、学術的な書籍を読むとき、文章の末尾が「~だ」や「~である」といった断定的な表現で締めくくられていることに気づきますね。実は、韓国語にも同様の文末表現が存在し、これを「한다체(ハンダ体)」と呼びます。この한다体は、主に書き言葉で用いられる格調高い表現スタイルです。韓国のニュース記事、専門書、公式な文書、さらには小説の地の文など、幅広い場面で目にすることができます。
しかし、한다体は書き言葉専用というわけではありません。独り言をつぶやく時や、場合によっては親しい友人や目下の人に対して使われることもあります。この記事では、韓国語の理解を一段と深めたいあなたのために、한다体の基本的な作り方から、現在形、過去形、未来形、さらには意志や推測を表す表現まで、網羅的に解説します。豊富な例文とともに、具体的な使い方やニュアンスを掴んでいきましょう。この記事を読み終える頃には、今まで難解に感じていた韓国語の文章も、よりスムーズに読解できるようになるはずです。
目次
한다体とは? その特徴と使われる場面
한다体は、韓国語の文末表現の一つで、日本語の「~だ」「~である」に相当する断定的なニュアンスを持ちます。主に以下のような特徴があります。
- 客観性と公式性: 事実を客観的に記述する際や、公式な文書でよく用いられます。そのため、ニュース記事、学術論文、報告書、説明書などで頻繁に見られます。
- 簡潔さと断定: 情報を簡潔に、そして断定的に伝える効果があります。余計な装飾を排し、事実をストレートに表現するのに適しています。
- 書き言葉中心: 基本的には書き言葉で使われる文体ですが、後述するように話し言葉でも限定的に使用されることがあります。
- 中立性: 話し手や書き手の感情をあまり表に出さず、中立的な立場から情報を伝えるのに役立ちます。
具体的にどのような場面で한다体が使われるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
1. 新聞・ニュース記事
事件や出来事を報道するニュース記事では、客観性と迅速な情報伝達が求められるため、한다体が標準的に用いられます。
정부는 새로운 경제 정책을 발표한다.
政府は新しい経済政策を発表する。
어제 서울에서 큰 화재가 발생했다.
昨日ソウルで大きな火災が発生した。
2. 論文・学術書
研究結果や考察を論理的に記述する学術的な文章でも、한다体が基本です。著者の中立的な立場と、内容の客観性を担保する役割があります。
본 연구는 한국어 학습자의 오류를 분석한다.
本研究は韓国語学習者の誤りを分析する。
이러한 결과는 기존의 이론을 뒷받침하는 것으로 보인다.
これらの結果は既存の理論を裏付けるものと思われる。
3. 小説・物語の地の文
小説や物語の中で、登場人物の会話ではなく、状況や背景を描写する「地の文」にも한다体がよく使われます。これにより、物語の進行を客観的かつ淡々と描写することができます。
그는 천천히 문을 열었다. 방 안은 어두웠다.
彼はゆっくりとドアを開けた。部屋の中は暗かった。

新聞や専門書で頻繁に目にする한다体
4. 独り言
意外かもしれませんが、独り言を言うときにも한다体は自然に使われます。自分自身に向かって考えを整理したり、感想を述べたりする際に用いられます。
(혼잣말로) 오늘 정말 피곤하다.
(独り言で)今日は本当に疲れたなあ。
(혼잣말로) 내일은 뭘 해야 할까?
(独り言で)明日は何をすべきだろうか。
5. 親しい間柄や目下の人に対して(注意が必要)
親しい友人や年下の人、あるいは家族間で、ぞんざいな話し方(パンマル)の一環として한다体が使われることがあります。ただし、この用法は相手との関係性や状況を慎重に考慮する必要があります。場合によっては、相手に冷たい印象や権威的な印象を与えてしまう可能性もあるため、乱用は避けるべきです。
(친한 친구에게) 너 요즘 바빠 보인다.
(親しい友人に)お前、最近忙しそうだね。
한다体で使われる人称代名詞
한다体は、文末の表現だけでなく、文中での人称代名詞の使い方も해요体などとは異なる場合があります。한다体を用いる文章、特に書き言葉では、以下の一人称代名詞が基本となります。
- 「私」: 나 (ナ)
- 「私の」: 내 (ネ)
- 「私が」: 내가 (ネガ)
- 「私たち」: 우리 (ウリ)
해요体(~です・ます体)で使われる「저(チョ/私)」、「제(チェ/私の)」、「제가(チェガ/私が)」は、한다体の文脈では通常使用されません。これは、한다体が持つ客観的・中立的な性格と、저系統の謙譲のニュアンスが馴染まないためと考えられます。
한다体の作り方:現在形
ここからは、한다体の具体的な作り方を見ていきましょう。まずは基本となる現在形です。動詞、形容詞、名詞で活用ルールが異なります。
動詞の한다体:語幹 + ㄴ/는다
動詞の現在形を한다体にする場合、語幹の最後にパッチムがあるかないか、またそのパッチムがㄹであるかによって接続する形が変わります。
- 語幹の最後が母音で終わる場合:語幹 + ㄴ다
- 語幹の最後がㄹパッチムで終わる場合:ㄹパッチムが脱落し + ㄴ다
- 語幹の最後がㄹ以外のパッチムで終わる場合:語幹 + 는다
例文で確認しましょう。
例1:가다 (カダ – 行く) → 語幹 가 (母音終わり)
나는 학교에 간다.
私は学校へ行く。
例2:만들다 (マンドゥルダ – 作る) → 語幹 만들 (ㄹパッチム終わり)
요리사가 요리를 만든다. (ㄹ脱落 + ㄴ다)
有名な料理人が料理を作る。
例3:먹다 (モクタ – 食べる) → 語幹 먹 (ㄹ以外のパッチム終わり)
아이가 밥을 먹는다.
子供がご飯を食べる。
また、「~(으)려고 한다」(~しようと思う)や「~아/어/여야 된다」(~しなければならない)のように、他の文法と組み合わさる場合も、動詞の部分は同様に「~ㄴ/는다」の形を取ります。
내일부터 일찍 일어나려고 한다.
明日から早起きしようと思う。
숙제를 오늘까지 끝내야 된다.
宿題を今日までに終えなければならない。
形容詞の한다体:語幹 + 다
形容詞の場合は非常にシンプルです。語幹にそのまま「다」を付けます。パッチムの有無は関係ありません。
例1:예쁘다 (イェップダ – きれいだ) → 語幹 예쁘
꽃이 참 예쁘다.
花が本当にきれいだ。
例2:작다 (チャクタ – 小さい) → 語幹 작
이 방은 매우 작다.
この部屋はとても小さい。
例3:복잡하다 (ポクチャパダ – 複雑だ)
절차가 복잡하다.
手続きが複雑だ。
「~고 싶다」(~したい)、「~는/(으)ㄴ/(으)ㄹ 것 같다」(~ようだ、~そうだ)、「~(으)ㄹ 수 있다」(~することができる)といった、形容詞のように活用する文法表現も、語幹にそのまま「다」を付けて한다体とします。
나는 한국에 가고 싶다.
私は韓国へ行きたい。
비가 올 것 같다.
雨が降りそうだ。
그는 수영할 수 있다.
彼は泳ぐことができる。

品詞ごとの한다体への活用ルール
名詞の한다体:名詞 + (이)다
名詞を「~だ」と断定する場合には、「이다」(イダ)を付けます。これは日本語の「~だ」とほぼ同じ感覚で使えます。
- 名詞の最後がパッチムで終わる場合:名詞 + 이다
- 名詞の最後が母音で終わる場合:名詞 + 다 (이다の이が省略されることが多いですが、이다とそのまま付けても間違いではありません)
厳密には、母音で終わる名詞にも「이다」をつけ、会話やくだけた文体では「이」が省略されて「다」となることが多いです。書き言葉の한다体では、パッチムなし名詞にも「이다」をしっかりつけるのがより正式とされます。
例1:학생 (ハクセン – 学生) → パッチムあり
그는 학생이다.
彼は学生だ。
例2:도쿄 (トキョ – 東京) → パッチムなし
도쿄는 일본의 수도이다. (または 수도다)
東京は日本の首都だ。
例3:친구 (チング – 友達) → パッチムなし
나의 가장 친한 친구이다. (または 친구다)
私の最も親しい友達だ。
現在形の否定表現
否定形「~ない」を作る場合も、品詞によって形が変わります。
- 動詞の否定:語幹 + 지 않는다 (~しない)
- 形容詞の否定:語幹 + 지 않다 (~くない)
- 名詞の否定:名詞 + 이/가 아니다 (~ではない)
- 名詞がパッチムで終わる場合:名詞 + 이 아니다
- 名詞が母音で終わる場合:名詞 + 가 아니다
ここでのポイントは、動詞の否定の場合のみ「않다」が「않는다」と活用する点です。形容詞の場合は「않다」のままです。
(動詞) 요즘 나는 아내와 싸우지 않는다.
最近僕は妻とケンカしない。
(形容詞) 이 음식은 맵지 않다.
この食べ物は辛くない。
(名詞・パッチムあり) 이것은 책이 아니다.
これは本ではない。
(名詞・パッチムなし) 우리는 바보가 아니다.
私たちはバカではない。
한다体の作り方:過去形
次に、過去「~だった」「~した」を表す한다体の作り方です。
動詞・形容詞の過去形:語幹 + 았/었/였다
動詞と形容詞の過去形は、語幹の最後の母音によって接続する形が変わります。これは해요体の過去形(했어요体)の作り方と同じルールです。
- 語幹の最後の母音がㅏまたはㅗ(陽母音)の場合:語幹 + 았다
- 語幹の最後の母音がㅏ、ㅗ以外(陰母音・中性母音)の場合:語幹 + 었다
- 「하다」で終わる動詞・形容詞の場合:하였다 (縮約形:했다 が一般的)
例1:가다 (行く) → 語幹 가 (陽母音ㅏ)
나는 어제 부산에 갔다.
私は昨日釜山へ行った。
例2:먹다 (食べる) → 語幹 먹 (陰母音ㅓ)
점심으로 비빔밥을 먹었다.
昼食にビビンバを食べた。
例3:공부하다 (勉強する) → 하다動詞
어제 밤늦게까지 공부했다. (または 공부하였다)
昨日夜遅くまで勉強した。
例4:예쁘다 (きれいだ) → 語幹 예쁘 (陰母音ㅡ)
그녀는 어렸을 때 정말 예뻤다. (예쁘 + 었다 → 예뻤다)
彼女は幼い頃本当にきれいだった。
例5:있다 (ある、いる)
옛날에는 여기에 작은 집이 있었다.
昔はここに小さな家があった。
名詞の過去形:名詞 + 이었다/였다
名詞の過去形「~だった」は、名詞の最後にパッチムがあるかないかで形が変わります。
- 名詞の最後がパッチムで終わる場合:名詞 + 이었다
- 名詞の最後が母音で終わる場合:名詞 + 였다
例1:선생님 (ソンセンニム – 先生) → パッチムあり
그는 우리의 선생님이었다.
彼は私たちの先生だった。
例2:의사 (ウィサ – 医者) → パッチムなし
나의 꿈은 의사였다.
私の夢は医者だった。
過去形の否定表現
過去の否定「~しなかった」「~くなかった」「~ではなかった」は以下のようになります。
- 動詞・形容詞の否定:語幹 + 지 않았다 (~しなかった、~くなかった)
- 名詞の否定:名詞 + 이/가 아니었다 (~ではなかった)
- 名詞がパッチムで終わる場合:名詞 + 이 아니었다
- 名詞が母音で終わる場合:名詞 + 가 아니었다
(動詞) 그는 약속을 지키지 않았다.
彼は約束を守らなかった。
(形容詞) 날씨가 그닥 춥지 않았다.
天気はそれほど寒くなかった。
(名詞) 그 당시 나는 학생이 아니었다.
その当時、私は学生ではなかった。
한다体の作り方:未来・推測の表現
未来の行動や出来事、あるいは現在の状況からの推測を表す「~つもりだ」「~だろう」という表現も、한다体でよく使われます。代表的なものに「(으)ㄹ 것이다」があります。
語幹 + (으)ㄹ 것이다
この表現は、動詞や形容詞の語幹に接続します。名詞の場合は「名詞 + 일 것이다」の形になります。
- 語幹の最後が母音で終わるか、ㄹパッチムで終わる場合:語幹 + ㄹ 것이다 (ㄹパッチムの場合はㄹが脱落)
- 語幹の最後がㄹ以外のパッチムで終わる場合:語幹 + 을 것이다
例1:가다 (行く) → 語幹 가 (母音終わり)
나는 내년에 유학을 갈 것이다.
私は来年留学へ行くつもりだ。
例2:만들다 (作る) → 語幹 만들 (ㄹパッチム)
새로운 앱을 만들 것이다. (만들 + ㄹ 것이다 → 만들 것이다)
新しいアプリを作るだろう。
例3:어렵다 (難しい) → 語幹 어렵 (ㅂ変則 → 어려우)
기말고사가 중간고사보다 훨씬 어려울 것이다.
期末テストは中間テストよりはるかに難しいだろう。
例4:(名詞) 성공 (成功)
이 프로젝트는 분명 성공일 것이다.
このプロジェクトはきっと成功だろう。
「(으)ㄹ 것이다」は、話し手の意志を表す「~するつもりだ」という意味と、客観的な状況や根拠に基づく推測「~だろう」という意味の両方で使われます。文脈によってどちらの意味になるか判断します。

「(으)ㄹ 것이다」で未来や推測を表現
意志や強い推定を表す「겠다」
未来や推測を表すもう一つの重要な表現として「겠다」があります。これは主に話し手の意志や、比較的確信度の高い推定・推測を表す際に用いられます。한다体では、動詞や形容詞の語幹にそのまま「겠다」を付けます。
- 意志の表明: 「~するつもりだ」「~するぞ」という話し手の強い意志を表します。
앞으로는 더 열심히 공부하겠다.
これからはもっと熱心に勉強するぞ。
제가 그 일을 하겠다.
私がその仕事をします。(私がやります、という意志)
- 推定・推測: 「~だろう」「~そうだ」という意味で、特に話し手が何らかの根拠に基づいて判断しているニュアンスがあります。(으)ㄹ 것이다よりも主観的な判断や、現在の状況から見てそうなるだろうという確信度が高い場合に用いられる傾向があります。
(음식을 보고) 정말 맛있겠다!
(食べ物を見て)本当においしそうだ!
(하늘을 보며) 곧 비가 오겠다.
(空を見て)もうすぐ雨が降りそうだ。
「겠다」は、特に一人称の意志を表す際に「(으)ㄹ 것이다」よりも直接的で強い意志を示すことがあります。また、相手の気持ちを推し量る「~でしょうね(例:힘들겠다 – 大変でしょうね)」のような使い方もします。
한다体と他の文末表現の比較(簡単に)
韓国語には多様な文末表現があり、それぞれニュアンスや丁寧さが異なります。한다体の位置づけを理解するために、他の代表的な表現と簡単に比較してみましょう。
文末表現 | 主な特徴 | 例 (行く) |
---|---|---|
해요체 (ヘヨ体) | 日常会話で最も一般的に使われる丁寧な表現。「~です・ます」 | 가요 (カヨ) |
해체 (ヘ体) / 반말 (パンマル) | 親しい間柄で使われるぞんざいな表現。「~だ・~だよ」 | 가 (カ) |
한다체 (ハンダ体) | 主に書き言葉。客観的、断定的。「~だ・~である」 | 간다 (カンダ) |
하십시오체 (ハシプシオ体) | 非常に丁寧な公式的表現。ニュースのアナウンサー、プレゼンなど。「~でございます・~なさいます」 | 갑니다 (カムニダ) |
このように、한다体は客観的で中立的な情報を伝えるのに適した文体であり、他の表現とは異なる役割を持っています。
学習のポイントと注意点
한다体を効果的に使いこなすためには、いくつかのポイントと注意点を押さえておくことが大切です。
- 文脈の理解: 한다体は主に書き言葉で使われるため、会話で多用すると不自然に聞こえたり、冷たい印象を与えたりすることがあります。特に目上の人との会話では、해요体や하십시오体を使うのが適切です。
- 一貫性の維持: 一つの文章や段落の中で、한다体と他の文体(해요体など)を混ぜて使うのは避け、文体の一貫性を保つようにしましょう。
- 動詞と形容詞の区別: 現在形の否定(-지 않는다 / -지 않다)や、一部の活用で動詞と形容詞の扱いが異なる点をしっかり区別しましょう。
- 多くの文章に触れる: 韓国語の新聞、ニュースサイト、専門書、小説など、한다体が使われている実際の文章をたくさん読むことが、自然な使い方を身につける一番の近道です。どのような文脈で、どのようなニュアンスで使われているかを意識しながら読み進めましょう。
- 実際に書いてみる: 簡単な日記や報告文などを한다体で書いてみる練習も効果的です。学んだルールを実際にアウトプットすることで、理解が深まります。
まとめ
今回の記事では、韓国語の終結語尾表現の一つである「한다体」について、その特徴、使われる場面、人称代名詞、そして現在形・過去形・未来形・意志/推定表現の作り方を詳しくご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか?
한다体は、一見すると硬い印象を受けるかもしれませんが、韓国語の文章をより深く、正確に理解するためには避けて通れない重要な文法項目です。新聞記事や専門書、文学作品などを読み解く上で必須の知識と言えるでしょう。また、独り言や特定の状況下での話し言葉としても使われるなど、意外と活躍の場は広いのです。
最初は動詞・形容詞・名詞それぞれの活用ルールや、時制による形の変化に戸惑うかもしれません。しかし、基本的なパターンを掴み、たくさんの例文に触れることで、徐々に慣れていくはずです。特に、動詞の現在形「~ㄴ/는다」や否定形の「~지 않는다/않다」の使い分けは、意識して練習してみてください。
この記事が、あなたの韓国語学習の一助となり、한다体への理解を深めるきっかけとなれば幸いです。今度韓国語の文章を読む機会があれば、ぜひ文末の表現に注目し、한다体がどのように使われているかを確認してみてくださいね。さらなる韓国語の世界が、あなたを待っています!