【決定版】韓国伝統茶パーフェクトガイド|美容と健康に効くお茶の種類、効能、作り方を徹底解説
日本でお茶と言えば、緑茶やほうじ茶、麦茶など、お茶っ葉や穀物を煮出して飲むものが一般的ですよね。しかし、お隣の国、韓国には、私たちが「お茶」と聞いてイメージするものとは少し違う、多種多様な飲み物が「お茶(차:チャ)」として楽しまれています。韓国文化や韓国語を学ぶなら、この奥深いお茶の世界を知っておくと、より一層楽しめます。私たちの韓国語教室でも、こうした文化的な背景を交えながら、楽しく言語を学ぶことができますよ。
この記事では、韓国の伝統茶(전통차:チョントンチャ)のユニークな世界から、美容や健康といった目的別のおすすめ、ソウルで楽しめる伝統茶屋(찻집:タッピッ)、さらには自宅で簡単に作れるレシピまで、韓国茶のすべてを網羅したパーフェクトガイドをお届けします。
目次
日本とこんなに違う!韓国「伝統茶」のユニークな世界
現代の韓国、特にソウルでは、街の至る所にスターバックスをはじめとするモダンなカフェが溢れています。しかしその一方で、古くから受け継がれてきた伝統茶の文化も、人々の生活に深く根付いています。韓国で「お茶(차)」という言葉は、茶葉から淹れるお茶だけでなく、果物、穀物、根、種、薬草など、様々な自然の恵みを原料とした飲み物全般を指す、非常に幅広い概念です。
その作り方も多様で、大きく分けると以下のようになります。
- チョン(청)タイプ:果物などを砂糖や蜂蜜で漬け込んで作ったジャム状のシロップ(チョン)をお湯や水で溶かして飲む。例:柚子茶、梅茶。
- 粉末タイプ:穀物やナッツ類を炒って挽いた粉末をお湯で溶かして飲む。例:ユルム茶。
- 煎じ茶タイプ:乾燥させた根や実、薬草などを煮出して成分を抽出して飲む。例:ナツメ茶、高麗人参茶。
- 葉・花茶タイプ:日本の緑茶やハーブティーのように、乾燥させた葉や花にお湯を注いで飲む。例:菊花茶。
これらの伝統茶は、単なる嗜好品としてだけでなく、韓国の伝統医学である「韓方(ハンバン)」の思想に基づき、心と体のバランスを整えるための飲み物として、古くから親しまれてきたのです。
【目的別】おすすめ韓国伝統茶図鑑
数ある韓国伝統茶の中から、特におすすめの種類を「美容とリラックス」「元気と活力」「体に優しい」という3つの目的別に分けて、その特徴と効能を詳しくご紹介します。
美容とリラックスに嬉しい「果実・花のお茶」
柚子茶(유자차 / ユジャチャ)
刻んだ柚子を砂糖や蜂蜜に漬け込んだ「柚子チョン」をお湯で溶いて飲む、最もポピュラーな伝統茶。豊富なビタミンCが風邪予防や美肌効果をサポート。爽やかな香りはリラックス効果も抜群で、寝る前に飲むのもおすすめです。夏は炭酸水で割って「柚子エイド」にしても絶品です。
五味子茶(오미자차 / オミジャチャ)
五味子(オミジャ)という赤い実から作られる、ルビー色が美しいお茶。その名の通り、「甘味・酸味・苦味・塩味・辛味」の5つの味を持つのが特徴です。飲む人の体調によって感じる味が変わると言われ、例えば「苦味」を強く感じたら心臓が、「酸味」なら肝臓が疲れているサイン、などと言われています。クエン酸が豊富で疲労回復に効果的。特に女性に大人気です。

飲む人の体調を映す不思議なお茶、五味子茶。
菊花茶(국화차 / クックァチャ)
乾燥させた菊の花にお湯を注いで淹れる、見た目にも美しい花茶。ポットの中でお湯を注ぐと、閉じていた蕾がゆっくりと花開く様子は、まさに癒しの時間。上品な香りで、目の疲れや頭痛の緩和、気分の鎮静効果があると言われています。カフェインフリーなので、夜のリラックスタイムに最適です。
梅茶(매실차 / メシルチャ)
青梅を砂糖漬けにして作った「梅チョン」をお湯や水で割って飲むお茶。日本の梅ジュースに似ていますが、韓国では食後のお茶として定番です。クエン酸が豊富で、消化促進や食あたりの予防に効果があると言われ、特に脂っこい食事の後に好んで飲まれます。
元気と活力をチャージする「根・実のお茶」
ナツメ茶(대추차 / テチュチャ)
乾燥させたナツメをじっくり煮出して作る、とろりとした濃厚な甘みが特徴のお茶。体を温める効果が高く、冷え性の改善や精神安定、アンチエイジングに良いとされています。韓国では参鶏湯(サムゲタン)などの料理にも使われる、非常にポピュラーな韓方食材です。
高麗人参茶(인삼차 / インサムチャ)& 紅参茶(홍삼차 / ホンサムチャ)
韓国を代表する韓方薬材、高麗人参から作られるお茶。独特の土のような香りと苦味がありますが、滋養強壮、免疫力アップ、疲労回復の代名詞的存在です。「紅参」は高麗人参を蒸して乾燥させたもので、よりマイルドで栄養価が高まると言われています。エキスタイプや粉末タイプが一般的です。
サンファ茶(쌍화차 / サンファチャ)
芍薬や甘草など、数種類の韓方薬材を煮詰めて作る、黒くて濃厚な薬膳茶。風邪のひきはじめや、ひどい疲労を感じた時に飲む「飲む風邪薬」のような存在です。苦味が強いですが、ナツメや松の実、クルミなどがトッピングされ、伝統的な茶屋では生の卵黄を落として飲むのが特徴。栄養価が非常に高く、飲むと体がポカポカしてきます。

卵黄を落として飲むのが通!疲れた体に染み渡る韓方茶、サンファ茶。
体に優しく香ばしい「穀物・根菜のお茶」
ユルム茶(율무차 / ユルムチャ)
「ユルム」はハトムギのこと。ハトムギの粉をベースに、クルミやアーモンド、カボチャの種などのナッツ類を混ぜた、甘くて香ばしい粉末茶です。飲むというより「食べる」に近い満足感があり、朝食代わりにもなります。冬の寒い日に、自販機の紙コップでふうふう言いながら飲むのが韓国の冬の風物詩の一つです。
生姜茶(생강차 / センガンチャ)
薄切りにした生姜を蜂蜜や砂糖で漬け込んだ「生姜チョン」をお湯で割って飲むお茶。生姜のピリッとした辛味と蜂蜜の甘さが絶妙にマッチします。体を温める効果が非常に高く、喉の痛みや咳を和らげるため、風邪の初期症状にもよく飲まれます。
カボチャ茶(호박차 / ホバクチャ)
特に「늙은 호박(ヌルグンホバク)」という熟したカボチャから作られるお茶。自然な甘みととろみが特徴です。カリウムが豊富で利尿作用が高く、体の余分な水分を排出し、むくみを取る効果があるとして、特に女性に人気です。産後や美容整形後の腫れを引かせるためにも飲まれます。
とうもろこしのひげ茶(옥수수수염차 / オクスススヨムチャ)
日本のスーパーやコンビニでもお馴染みになりましたが、韓国では国民的なお茶の一つ。香ばしくてクセがなく、さっぱりとした味わいです。利尿作用があり、デトックスやむくみ解消に良いとされています。カフェインゼロなので、日常の水分補給に最適です。
ソウルの風情を感じる。伝統찻집(タッピッ)の楽しみ方
韓国伝統茶を最高の雰囲気で味わうなら、伝統家屋「韓屋(ハノク)」を改造した「찻집(タッピッ)」と呼ばれる伝統茶屋がおすすめです。
人気エリア:仁寺洞(インサドン)と三清洞(サムチョンドン)
ソウルで伝統茶屋を探すなら、骨董品店やギャラリーが並ぶ「仁寺洞(インサドン)」や、景福宮の東側に位置し、オシャレなカフェと韓屋が共存する「三清洞(サムチョンドン)」が二大エリアです。迷路のような路地裏に、隠れ家のような素敵な茶屋がたくさんあります。都会の喧騒を忘れ、タイムスリップしたかのような穏やかな時間を過ごせます。
伝統茶と一緒に楽しむ韓菓(ハングァ)
伝統茶屋では、お茶請けとして「한과(韓菓:ハングァ)」と呼ばれる伝統菓子も楽しめます。小麦粉を揚げて蜜をかけた「약과(薬菓:ヤックァ)」や、お米のパフを固めた「유과(油菓:ユグァ)」、焼いたお餅にあんこやナッツを挟んだものなど、素朴で優しい甘さのお菓子がお茶の味を一層引き立ててくれます。
自宅で楽しむ韓国伝統茶
韓国茶は、自宅でも手軽に楽しむことができます。お土産にもぴったりです。
スーパーで買える!お土産におすすめの商品
ロッテマートなどの大型スーパーに行けば、伝統茶コーナーが充実しています。柚子茶や生姜茶の瓶詰(チョン)、五味子茶のポーションタイプ、ユルム茶やサンファ茶のスティック粉末タイプなど、様々な形態で販売されています。かさばらないスティックタイプは、バラマキ用のお土産にも最適です。

季節の果物で自家製チョンを作れば、一年中韓国茶を楽しめます。
簡単!自家製「柚子茶(ユジャチョン)」の作り方
実は、人気の柚子茶は自宅でも簡単に作れます。
- 柚子を粗塩でよく洗い、ワックスを落とします。
- 柚子を半分に切り、果汁を絞り、種を取り除きます。
- 皮を薄く千切りにします。
- 消毒した瓶に、千切りにした皮と、皮と同量の砂糖(または蜂蜜)を交互に重ねて入れていきます。
- 最後に絞った果汁を注ぎ、冷蔵庫で1週間〜10日ほど寝かせれば完成です!
韓国茶に関する会話練習
スジ: 리사야! 나 오미자차를 만들었거든! 너가 좀 맛 봐줄 수 있어?
リサ!私、五味子茶を作ってみたの!あなたがちょっと味見してくれない?リサ: 와, 나 오미자차 처음 마셔봐! 어디보자……우왓 쓰다!
わぁ、私、五味子茶初めて飲むよ!どれどれ……うわっ、苦い!スジ:쓰다고? 그건 심장이 안 좋다는 건데? 요즘 스트레스 많이 받아?
苦いって?それは心臓が弱ってるってことよ?最近ストレス溜まってる?リサ:그래. 어쩐지 요즘 가슴이 답답하더라니. 따뜻한 대추차라도 마셔야겠다.
そうかも。どうりで最近胸が苦しかったわけだ。温かいナツメ茶でも飲まないと。
まとめ:一杯のお茶から広がる、奥深い韓国文化
今回は、多種多様な韓国の伝統茶について、その種類から効能、楽しみ方までを詳しくご紹介しました。甘い果実茶から、香ばしい穀物茶、そして体に染み渡る薬膳茶まで、その日の気分や体調に合わせて選べるのが韓国茶の大きな魅力です。
韓国を訪れた際には、賑やかな最新カフェだけでなく、ぜひ伝統家屋の趣ある茶屋にも足を運んでみてください。ゆっくりとお茶を味わう時間は、旅の疲れを癒し、韓国文化の奥深さに触れる貴重な体験となるはずです。そして、お土産に買ったり、自宅で作ったりして、日本でも韓国の優しい味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。