【韓国語】ㅅ変則活用を完全マスター!ルールと動詞・形容詞の活用例を徹底解説
韓国語の学習を進めていると、避けては通れないのが「変則活用」の壁ですよね。「ルールが複雑で覚えられない…」「いつㅅが消えるの?消えないの?」そんな悩みを抱えていませんか?韓国語の動詞や形容詞の中には、語尾が変化する際に予測不能な形に変わるものがいくつかあり、その中でも「ㅅ変則活用」は特に学習者を混乱させやすいポイントの一つです。でも、ご安心ください!この記事では、韓国語のㅅ変則活用について、基本的なルールから具体的な単語、豊富な例文、そして効率的な学習法まで、初心者にも分かりやすく徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたもㅅ変則活用をスッキリ理解し、自信を持って使いこなせるようになっているはずです!
目次
韓国語の変則活用とは?学習の最初の壁を乗り越えよう
韓国語の用言(動詞・形容詞)は、日本語と同じように語幹に様々な語尾がついて活用します。基本的には規則的な変化をするのですが、一部の用言は語幹の形が不規則に変わることがあり、これを「変則活用(불규칙 활용、プルギュチク ファリョン)」と呼びます。ㅅ変則以外にも、ㄷ変則、ㅂ変則、르変則、ㅎ変則など、いくつかの種類があります。
なぜ変則活用が存在するの?発音の便宜性から生まれたルール
では、なぜこのような複雑な変則活用が存在するのでしょうか?主な理由は「発音のしやすさ(便宜性)」にあると言われています。韓国語は発音の滑らかさやリズムを重視する言語であり、特定の音の並びが発音しにくい場合に、自然と発音しやすい形に変化してきた結果、それがルールとして定着したと考えられています。例えば、パッチムの後に直接母音が続くと発音が詰まったり、音が繋がりにくかったりすることがあります。そういった場合に、パッチムが脱落したり、別の音に変わったりすることで、よりスムーズな発音を可能にしているのです。
最初は「ややこしい!」と感じるかもしれませんが、一つ一つの変則ルールを丁寧に理解し、実際に声に出して練習することで、徐々にそのリズムや感覚が身についてきます。変則活用は、韓国語のネイティブスピーカーが自然で流暢な会話をするために不可欠な要素なので、避けることはできません。むしろ、これをマスターすることで、あなたの韓国語はより自然で美しい響きになるでしょう。
ㅅ変則活用とは?基本的なルールをスッキリ理解する
さて、本題の「ㅅ変則活用」です。これは、動詞や形容詞の語幹の最後が「ㅅ」パッチムで終わる一部の単語に見られる不規則な活用です。
基本的なルールは非常にシンプルです。
語幹末の「ㅅ」パッチムの後に、母音で始まる語尾が付くと、その「ㅅ」パッチムが脱落する。
逆に言えば、子音で始まる語尾が付く場合は、「ㅅ」パッチムは脱落せず、そのまま残ります。これが大原則です。まずはこのポイントをしっかりと頭に入れましょう。

ㅅパッチムが母音の前で脱落するのがㅅ変則活用の基本です。
ㅅ変則活用をする主要な動詞・形容詞一覧と見分け方
ㅅ変則活用をする単語は、それほど多くありません。代表的なものを覚えてしまえば、かなり対応できるようになります。ここでは、特によく使われる動詞と形容詞を紹介します。
覚えておきたい!ㅅ変則活用をする代表的な単語たち
以下の単語はㅅ変則活用の代表例です。意味と合わせて、ㅅパッチムで終わる語幹の形をしっかり確認しましょう。
動詞の例:긋다, 낫다 (治る), 붓다, 잇다, 젓다, 짓다
- 긋다 (クッタ):線を引く、劃く
- 例:선생님이 칠판에 선을 그어요. (先生が黒板に線を引きます。)
- 낫다 (ナッタ):(病気などが) 治る、良くなる
- 例:감기가 빨리 나으면 좋겠어요. (風邪が早く治ればいいですね。)
- 붓다 (プッタ):(顔などが) 腫れる、むくむ / (液体などを) 注ぐ、かける
- 例1 (腫れる):어젯밤에 라면을 먹어서 얼굴이 부었어요. (昨夜ラーメンを食べたので顔が腫れました。)
- 例2 (注ぐ):컵에 물을 부어 주세요. (コップに水を注いでください。)
- 잇다 (イッタ):継ぐ、続ける、結ぶ、繋ぐ
- 例:두 점을 선으로 이으세요. (二つの点を線で結んでください。)
- 젓다 (チョッタ):(液体などを) かき混ぜる / (首や手などを) 横に振る
- 例1 (かき混ぜる):커피에 설탕을 넣고 잘 저으세요. (コーヒーに砂糖を入れてよくかき混ぜてください。)
- 例2 (横に振る):아이가 싫다고 고개를 저었어요. (子供が嫌だと首を横に振りました。)
- 짓다 (チッタ):(家や服などを) 作る、建てる / (名前を) 付ける / (表情を) 浮かべる / (ご飯を) 炊く
- 例1 (作る):새 집을 지었어요. (新しい家を建てました。)
- 例2 (ご飯を炊く):저녁밥을 지어야 해요. (夕食のご飯を炊かなければなりません。)
形容詞の例:낫다 (より良い)
- 낫다 (ナッタ):(~より) ましだ、良い、優れている
- 例:이것보다 저것이 더 나아요. (これよりあれがもっと良いです。)
動詞の「낫다 (治る)」と形容詞の「낫다 (より良い)」は同じ形をしていますが、文脈で判断します。どちらもㅅ変則活用をする点は共通です。
要注意!ㅅパッチムでも規則活用する単語(例外をしっかり区別)
ここが学習者を悩ませるポイントです。語幹末がㅅパッチムだからといって、全てがㅅ変則活用をするわけではありません。規則通りに活用する単語も存在します。これらはㅅパッチムの後に母音が来ても、ㅅが脱落せずにそのまま残ります。
벗다, 웃다, 씻다 はなぜ変則しない?
代表的な規則活用の単語は以下の通りです。これらは使用頻度も高いので、変則活用の単語としっかり区別して覚えましょう。
- 벗다 (ポッタ):(服や靴などを) 脱ぐ
- 例:실내에서는 신발을 벗으세요. (室内では靴を脱いでください。) → 벗어요 (ポソヨ)、벗으면 (ポスミョン)
- 웃다 (ウッタ):笑う
- 例:그녀는 항상 밝게 웃어요. (彼女はいつも明るく笑います。) → 웃으면 (ウスミョン)
- 씻다 (シッタ):洗う
- 例:밥 먹기 전에 손을 씻으세요. (ご飯を食べる前に手を洗ってください。) → 씻어요 (シソヨ)、씻으면 (シスミョン)
- 빗다 (ピッタ):(髪を) とかす
- 例:머리를 예쁘게 빗었어요. (髪をきれいにとかしました。) → 빗어요 (ピソヨ)、빗으면 (ピスミョン)
- 솟다 (ソッタ):(太陽や泉などが) 솟아오르다、湧き出る
- 例:산 위로 해가 솟아요. (山の上に太陽が昇ります。) → 솟으면 (ソスミョン)
では、これらの単語はなぜㅅ変則をしないのでしょうか? 明確な文法規則があるわけではなく、「そういうもの」として覚えるのが基本です。しかし、傾向として、「긋다」や「짓다」のように一文字の語幹を持つものや、歴史的に発音が変化してきたものが変則活用しやすいのに対し、「벗다」「웃다」「씻다」のような日常的によく使われる基本的な動作を表す単語で、二文字以上の固有語(漢字語ではない言葉)の語幹を持つものは規則活用が多い、という大まかな傾向が見られることもありますが、絶対ではありません。結局のところ、単語ごとに覚えていくのが最も確実です。

「짓다(作る) → 지어요」のようにㅅが脱落する変則活用と、「웃다(笑う) → 웃어요」のようにㅅが残る規則活用を比較しましょう。
ㅅ変則活用を見分けるコツは?実践的なポイントと注意点
初見の単語がㅅ変則活用をするかどうかを100%見分けるのは難しいですが、いくつかのポイントがあります。
- 辞書で確認する: 最も確実な方法です。辞書には不規則活用をする単語の場合、その旨が記載されています(例:「ㅅ불규칙」など)。
- 代表的な変則単語を覚える: 上記で紹介したような使用頻度の高いㅅ変則単語と規則単語をまず覚えてしまいましょう。これだけでもかなりの場面で対応できます。
- 活用形に触れる: 韓国語の文章を読んだり聞いたりする中で、「나아요」「지어요」のような形に多く触れることで、だんだんと感覚的に「これはㅅ変則だな」とわかるようになってきます。
- 迷ったら母音語尾をつけてみる: もし辞書が手元になく、判断に迷う場合は、試しに「-아/어요」のような母音語尾をつけて発音してみると、どちらが自然か感じられるかもしれません。ただし、これはある程度学習が進んだ方向けの方法です。
注意点としては、自己判断で変則させないことです。特に書き言葉では正確さが求められます。不安な場合は必ず辞書で確認する習慣をつけましょう。
【実践編】語尾別!ㅅ変則活用の変化パターンを徹底ドリル
ここからは、具体的にどのような語尾がつくとㅅパッチムが脱落するのか、代表的な語尾ごとに活用パターンを見ていきましょう。例文もたくさん紹介するので、声に出して練習してみてくださいね。
パターン1:ヘヨ体 ~아/어요/여요 との結合(日常会話の基本)
日常会話で最もよく使われる丁寧な語尾「-아/어요/여요」は、母音で始まるため、ㅅ変則活用の対象となります。語幹の最後の母音が陽母音(ㅏ, ㅗ)の場合は「-아요」、陰母音(ㅏ, ㅗ以外)の場合は「-어요」が付きます。「하다」動詞の場合は「-여요」(해요)となりますが、ㅅ変則には「하다」動詞はありません。
낫다 (治る/より良い) → 나아요 の仕組みと例文
語幹「낫」のㅅが脱落し、「나」になります。最後の母音が「ㅏ」(陽母音)なので、「-아요」がついて「나 + 아요 → 나아요」となります。
- 이 약을 먹으면 감기가 금방 나아요. (この薬を飲めば風邪がすぐに治ります。)
- A: 어떤 색이 더 좋아요? B: 저는 파란색이 더 나아요. (A: どの色がもっと好きですか? B: 私は青色がもっと良いです。)
짓다 (作る) → 지어요 の仕組みと例文
語幹「짓」のㅅが脱落し、「지」になります。最後の母音が「ㅣ」(陰母音)なので、「-어요」がついて「지 + 어요 → 지어요」となります。
- 우리 할머니는 맛있는 음식을 잘 지어요. (私の祖母は美味しい料理を上手に作ります。) (※料理を作る場合は 보통 「만들다」を使いますが、「밥을 짓다 (ご飯を炊く)」からの派生で料理全般に使う文脈もあり得ます。より一般的なのは「옷을 짓다 (服を作る)」「집을 짓다 (家を建てる)」など)
- 그는 늘 웃는 얼굴을 지어요. (彼はいつも笑顔を浮かべます。)
붓다 (腫れる/注ぐ) → 부어요 の仕組みと例文
語幹「붓」のㅅが脱落し、「부」になります。最後の母音が「ㅜ」(陰母音)なので、「-어요」がついて「부 + 어요 → 부어요」となります。
- 넘어져서 무릎이 빨갛게 부었어요. (転んで膝が赤く腫れました。)
- 주전자에 뜨거운 물을 부어요. (やかんにお湯を注ぎます。)
잇다 (繋ぐ) → 이어요 の仕組みと例文
語幹「잇」のㅅが脱落し、「이」になります。最後の母音が「ㅣ」(陰母音)なので、「-어요」がついて「이 + 어요 → 이어요」となります。
- 끊어진 실을 다시 이어요. (切れた糸を再び繋ぎます。)
- 그 전통은 지금까지 이어요. (その伝統は今まで続いています。) (より自然なのは「이어져요 (이어지다)」)
긋다 (引く) → 그어요 の仕組みと例文
語幹「긋」のㅅが脱落し、「그」になります。最後の母音が「ㅡ」(陰母音)なので、「-어요」がついて「그 + 어요 → 그어요」となります。
- 중요한 부분에 밑줄을 그어요. (重要な部分に下線を引きます。)
젓다 (かき混ぜる) → 저어요 の仕組みと例文
語幹「젓」のㅅが脱落し、「저」になります。最後の母音が「ㅓ」(陰母音)なので、「-어요」がついて「저 + 어요 → 저어요」となります。
- 수프가 눋지 않도록 계속 저어요. (スープが焦げ付かないようにずっとかき混ぜます。)
重要ポイント:母音の非縮約ルール「나았어요」はOK、「났어요」はNG!
これはㅅ変則活用の過去形(パターン3で詳述)や、一部のヘヨ体で特に注意が必要な点です。例えば「낫다」の過去形は「나았어요 (ナアッソヨ)」となり、「ㅏ」の音が二つ重なります。これを縮約して「났어요 (ナッソヨ)」とはしません。もし「났어요」とすると、「나다 (出る、起こる)」の過去形と混同してしまいます。ㅅ変則では、ㅅが脱落した後に残った母音と、続く語尾の母音がそのまま結合すると覚えておきましょう(一部のㅡ変則などでは縮約が起こることもありますが、ㅅ変則では通常縮約しません)。
練習問題:他のㅅ変則単語をヘヨ体にしてみよう!
以下のㅅ変則単語をヘヨ体に活用させてみましょう。(解答はセクションの最後に)
- 짓다 (表情を浮かべる) → ?
- 잇다 (家業を継ぐ) → ?
- 붓다 (貯金する ※積立貯金) → ? (「적금을 붓다」という表現)
(練習問題 解答:1. 지어요 2. 이어요 3. 부어요)
パターン2:仮定・条件 ~(으)면 との結合
「~(으)면 (ウミョン/ミョン)」は「~なら、~れば」という仮定や条件を表す語尾です。語幹にパッチムがあれば「-으면」、なければ「-면」が付きます。ㅅ変則の場合、ㅅが脱落してパッチムがなくなるため、一見「-면」が付きそうですが、元々語幹にパッチムがあったことを考慮して「-으면」が接続されます。
낫다 → 나으면 の詳細解説と豊富な例文
語幹「낫」からㅅが脱落し「나」になります。しかし、元々パッチムがあったので「-으면」が付き、「나 + 으면 → 나으면」となります。
- 이 병이 다 나으면 여행을 가고 싶어요. (この病気が全部治ったら旅行に行きたいです。)
- 지금보다 상황이 나으면 다시 생각해 볼게요. (今より状況が良くなれば、また考えてみます。)
- 상처가 다 나으면 바다에서 수영하고 싶어요. (傷が完全に治ったら海で泳ぎたいです。) (元記事例文)
짓다 → 지으면 の活用と例文
同様に、語幹「짓」からㅅが脱落し「지」になりますが、元々パッチムがあったため「-으면」が付き、「지 + 으면 → 지으면」となります。
- 여기에 집을 지으면 경치가 좋을 거예요. (ここに家を建てれば景色が良いでしょう。)
- 그런 표정을 지으면 오해받기 쉬워요. (そんな表情を浮かべると誤解されやすいですよ。)
他のㅅ変則単語も同様に「부으면 (腫れれば/注げば)」「이으면 (繋げば)」「그으면 (引けば)」「저으면 (かき混ぜれば)」となります。
パターン3:過去形 ~았/었어요/였어요 との結合
過去を表す「-았/었어요/였어요」も母音で始まるため、ㅅ変則の対象です。ヘヨ体(パターン1)のルールと考え方は同じです。
낫다 → 나았어요 のポイント再確認と例文
語幹「낫」のㅅが脱落し「나」となり、陽母音なので「-았어요」がついて「나 + 았어요 → 나았어요」です。ここでも「났어요」と縮約しないように注意しましょう。
- 감기는 다 나았어요? (風邪はすっかり治りましたか?) (元記事例文)
- 수술 결과가 생각보다 나았어요. (手術の結果が思ったより良かったです。)
짓다 → 지었어요 の詳細解説と例文
語幹「짓」のㅅが脱落し「지」となり、陰母音なので「-었어요」がついて「지 + 었어요 → 지었어요」です。
- 그는 멋진 시 한 편을 지었어요. (彼は素敵な詩を一編作りました。)
- 어제 저녁에는 맛있는 밥을 지었어요. (昨日の夕食には美味しいご飯を炊きました。)
他の動詞・形容詞での過去形活用例
- 붓다 → 부었어요 (腫れました/注ぎました)
- 눈이 퉁퉁 부었어요. (目がパンパンに腫れました。)
- 잇다 → 이었어요 (繋ぎました)
- 두 회사의 관계를 이었어요. (二つの会社の関係を繋ぎました。)
- 긋다 → 그었어요 (引きました)
- 아이들이 땅에 그림을 그었어요. (子供たちが地面に絵を描きました(線を引きました)。)
- 젓다 → 저었어요 (かき混ぜました)
- 그는 고개를 저었어요. (彼は首を横に振りました。)
パターン4:丁寧な命令形 ~(으)세요 との結合
「~(으)세요 (ウセヨ/セヨ)」は「~してください」という丁寧な命令や勧誘を表す語尾です。これも「-(으)면」と同様に、元々語幹にパッチムがあったことを考慮して「-으세요」が接続されます。
나으세요 (治してください/良くなってください) の解説と例文
語幹「낫」からㅅが脱落し「나」になりますが、元々パッチムがあったので「-으세요」が付き、「나 + 으세요 → 나으세요」となります。「早く良くなってくださいね」というニュアンスでよく使われます。
- 걱정 마시고 푹 쉬어서 빨리 나으세요. (心配なさらずゆっくり休んで早く治ってください。)
- A: 요즘 몸이 안 좋아요. B: 어서 나으세요! (A: 最近体調が悪いです。 B: 早く良くなってください!)
지으세요 (作ってください) などの他の例
- 짓다 → 지으세요 (作ってください)
- 아이에게 예쁜 이름을 지으세요. (子供に可愛い名前を付けてください。)
- 붓다 → 부으세요 (注いでください)
- 찻잔에 차를 부으세요. (湯呑にお茶を注いでください。)
- 잇다 → 이으세요 (繋いでください)
- 다음 문장을 자연스럽게 이으세요. (次の文章を自然に繋いでください。)
- 긋다 → 그으세요 (引いてください)
- 여기에 빨간 선을 그으세요. (ここに赤い線を引いてください。)
- 젓다 → 저으세요 (かき混ぜてください)
- 설탕이 녹을 때까지 잘 저으세요. (砂糖が溶けるまでよくかき混ぜてください。)
パターン5:より丁寧な命令形 ~(으)십시오 との結合
「-(으)십시오 (ウシプシオ/シプシオ)」は「-(으)세요」よりもさらに丁寧でかしこまった命令・依頼の表現です。「-(으)세요」と同様に、元々語幹にパッチムがあったことを考慮して「-으십시오」が接続されます。
나으십시오 (お治りください/お良くなりください) の解説と例文
語幹「낫」からㅅが脱落し「나」になり、「-으십시오」が付いて「나 + 으십시오 → 나으십시오」となります。公的な場や目上の方に対して使います。
- 사장님, 하루빨리 나으십시오. (社長、一日も早くお治りください。)
- 부디 이 어려움을 이으십시오. (どうかこの困難を乗り越えて(継いで)ください。) (※この文脈では「이기십시오 (お勝ちください)」などがより自然ですが、活用の例として)
他のㅅ変則単語も「지으십시오 (お作りください)」「부으십시오 (お注ぎください)」のように活用します。
パターン6:理由・原因 ~(으)니까 との結合
「-(으)니까 (ウニッカ/ニッカ)」は「~ので、~から」という理由や原因を表す語尾です。これも元々語幹にパッチムがあったことを考慮して「-으니까」が接続されます。
나으니까 (治るので/より良いので) の解説と例文
語幹「낫」からㅅが脱落し「나」になり、「-으니까」が付いて「나 + 으니까 → 나으니까」となります。
- 이제 병이 다 나으니까 마음이 놓여요. (もう病気がすっかり治ったので安心です。)
- 이 방법이 훨씬 나으니까이걸로 합시다. (この方法がずっと良いので、これにしましょう。)
지으니까 (作るので) などの他の例
- 짓다 → 지으니까 (作るので)
- 정성껏 지으니까 분명 맛있을 거예요. (心を込めて作るのだからきっと美味しいでしょう。)
- 붓다 → 부으니까 (腫れるので/注ぐので)
- 얼굴이 부으니까 냉찜질을 하세요. (顔が腫れるので冷湿布をしてください。)
パターン7:連体形 ~(으)ㄴ / ~(으)ㄹ との結合(名詞を修飾する形)
名詞を修飾する連体形も、語尾が母音で始まるためㅅ変則の対象です。
過去連体形 ~(으)ㄴ:나은 사람 (治った人), 지은 집 (建てた家)
過去連体形は、語幹にパッチムがあれば「-은」、なければ「-ㄴ」が付きます。ㅅ変則では、ㅅが脱落しパッチムがなくなるものの、元々パッチムがあったことを考慮して「-은」が接続されます。
- 낫다 → 나은 (治った、より良かった)
- 例:병이 나은 사람이 많아요. (病気が治った人が多いです。)
- 例:그것보다 나은 선택은 없었어요. (それより良い選択はありませんでした。)
- 짓다 → 지은 (作った、建てた)
- 例:이것은 제가 지은 옷이에요. (これは私が作った服です。)
- 붓다 → 부은 (腫れた、注いだ)
- 例:부은 얼굴로 회사에 갔어요. (腫れた顔で会社へ行きました。)
未来連体形 ~(으)ㄹ:나을 병 (治るであろう病気), 지을 계획 (建てる計画)
未来連体形は、語幹にパッチムがあれば「-을」、なければ「-ㄹ」が付きます。これも過去連体形と同様に、元々パッチムがあったことを考慮して「-을」が接続されます。
- 낫다 → 나을 (治るであろう、より良いであろう)
- 例:이 약을 먹으면 나을 가능성이 높아요. (この薬を飲めば治る可能性が高いです。)
- 짓다 → 지을 (作るであろう、建てるであろう)
- 例:앞으로 지을 집의 설계도예요. (これから建てる家の設計図です。)
パターン8:変則しないケース!子音で始まる語尾との結合
これまで見てきたように、ㅅ変則は母音で始まる語尾の前で起こります。では、子音で始まる語尾の場合はどうなるでしょうか? 答えは簡単、ㅅパッチムは脱落せず、そのまま残ります。つまり、規則活用と同じ形になります。
現在連体形 ~는:짓는 중 (作っている最中) ※ㅅは脱落しない
動詞の現在連体形を作る「-는」は子音で始まるため、ㅅはそのまま残ります。
- 짓다 + 는 → 짓는 (집을 짓는 사람 – 家を建てている人)
- 낫다 + 는 → 낫는 (병이 낫는 과정 – 病気が治る過程) (※形容詞「낫다(良い)」には「-는」は付きません)
- 붓다 + 는 → 붓는 (물을 붓는 소리 – 水を注ぐ音)
ハムニダ体 ~ㅂ/습니다:낫습니다 (治ります), 짓습니다 (作ります) ※ㅅは脱落しない
フォーマルな場面で使われるハムニダ体「-ㅂ니다/습니다」も、語幹にパッチムがあれば「-습니다」、なければ「-ㅂ니다」が付きます。ㅅパッチムは子音の前に来るため、脱落しません。
- 낫다 + 습니다 → 낫습니다 (이제 다 낫습니다. – もうすっかり治ります。)
- 짓다 + 습니다 → 짓습니다 (저는 옷을 짓습니다. – 私は服を作ります。)
連結語尾 ~고, ~지만, ~거나 など:낫고 (治って), 짓지만 (作るけれど) ※ㅅは脱落しない
「~고 (~して)」「~지만 (~だけれど)」「~거나 (~したり)」などの子音で始まる連結語尾の前でも、ㅅパッチムはそのままです。
- 낫다 + 고 → 낫고 (병이 낫고 건강해졌어요. – 病気が治って元気になりました。)
- 짓다 + 지만 → 짓지만 (집을 짓지만 시간이 오래 걸려요. – 家を建てるけれど時間が長くかかります。)
- 붓다 + 거나 → 붓거나 (얼굴이 붓거나 아프면 병원에 가세요. – 顔が腫れたり痛かったりしたら病院へ行ってください。)
尊敬の接尾辞 ~시~ の前では?:나으시다 (お治りになる) ※ㅅは脱落する
ここで一つ注意が必要なのは、尊敬を表す接尾辞「-(으)시-」です。「-(으)시-」自体は「시」が母音で始まるため、その前ではㅅパッチムは脱落します。そして、元々語幹にパッチムがあったとみなして「-으시-」が付きます。
- 낫다 + -으시- + -다 → 나으시다 (お治りになる)
- 例:할아버지께서는 곧 나으실 거예요. (おじい様はすぐにお治りになるでしょう。)
- 짓다 + -으시- + -다 → 지으시다 (お作りになる)
- 例:왕비께서는 아름다운 노래를 지으셨습니다. (王妃様は美しい歌をお作りになりました。)
この「-(으)시-」が付いた形に、さらに「-고」や「-지만」などの子音語尾が付く場合は、当然「나으시고」「지으시지만」のように、脱落したままの形で活用が続きます。
ㅅ変則活用を効率的に覚えるための学習法と応用テクニック
ㅅ変則活用はルール自体はシンプルですが、どの単語が変則してどれがしないのか、そして様々な語尾とどう結合するのかを覚えるのが大変ですよね。ここでは、効率的にマスターするための学習法とコツをご紹介します。

難しい変則活用も、ポイントを押さえて練習すれば必ずマスターできます!
ステップ1:まずは代表的な単語を丸暗記!
何よりもまず、この記事で紹介したㅅ変則活用をする代表的な単語(긋다, 낫다, 붓다, 잇다, 젓다, 짓다)と、規則活用をする代表的な単語(벗다, 웃다, 씻다, 빗다, 솟다)をセットで覚えてしまいましょう。単語カードを作ったり、ノートに何度も書いたりして、確実に記憶に定着させることが大切です。
ステップ2:規則活用の単語とセットで比較しながら覚える
ㅅ変則単語を覚えるときは、必ず同じㅅパッチムを持つ規則活用の単語と比較しながら活用練習をすると効果的です。例えば、「짓다(作る) → 지어요」と「웃다(笑う) → 웃어요」を並べて発音し、違いを意識します。なぜ片方はㅅが消え、もう片方は残るのかを常に考えることで、ルールがより深く理解できます。
ステップ3:たくさんの例文に触れて音読する
ルールを頭で理解するだけでなく、実際に使われている形に慣れることが重要です。この記事の例文はもちろん、教科書や問題集、韓国のドラマや歌の歌詞など、様々な媒体でㅅ変則活用が使われている例文を探し、何度も音読しましょう。音読することで、正しい発音やイントネーション、そして活用のリズムが自然と身につきます。
ステップ4:実際に作文して使ってみる
覚えた単語や活用パターンを使って、自分で短い文章を作ってみるのも非常に効果的な練習法です。例えば、「昨日、顔が腫れたので病院へ行きました」「この線を引いてください」など、日常で使いそうなフレーズをㅅ変則活用を使って韓国語で表現してみましょう。間違えてもいいので、積極的にアウトプットすることが上達への近道です。
間違えやすいポイント総点検と克服法
間違えやすいポイントBEST3:
1. どの単語が変則するのか忘れてしまう: これは反復練習あるのみ!代表単語の暗記を徹底しましょう。
2. 母音語尾の前でㅅを脱落させ忘れる/子音語尾の前で脱落させてしまう: 「母音の前だけ!」と呪文のように唱えましょう。特に「-는」「-고」「-습니다」の前では脱落しないことを意識します。
3. 「나았어요」を「났어요」のように縮約してしまう: ㅅ変則では基本的に縮約しない、と覚えておきましょう。
これらのポイントを意識して学習を進めれば、ㅅ変則活用は決して怖くありません。焦らず、一つ一つ着実にマスターしていきましょう。
まとめ:ㅅ変則活用を克服して、あなたの韓国語をもっと自然に、もっと豊かに!
今回は、韓国語のㅅ変則活用について、その基本的なルールから具体的な活用パターン、そして効率的な学習法まで詳しく解説しました。最初は複雑に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえて練習を重ねれば、必ずスムーズに使いこなせるようになります。
ㅅ変則活用をする用言は数は限られていますが、日常会話や文章でよく使われる重要なものばかりです。これらを正しく活用できるようになることで、あなたの韓国語の表現力は格段に向上し、より自然で流暢なコミュニケーションが可能になるでしょう。また、他の変則活用を学ぶ上でも、今回の学習経験はきっと役立つはずです。
この記事が、あなたの韓国語学習の一助となり、ㅅ変則活用という一つの山を乗り越えるきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。諦めずに、楽しみながら学習を続けてくださいね!応援しています!