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はじめに:なぜ韓国語の「疲れた」はこんなに種類が多いのか?
「仕事が終わって疲れた」
「人間関係に疲れた」
「少し歩いただけで疲れた」
「勉強のしすぎで疲れた」
私たちは日常会話の中で、これら全ての状況を「疲れた」というたった一つの言葉で表現しています。日本語の「疲れた」は、まさに魔法の言葉。精神的なストレスも、肉体的な労苦も、単なる眠気も、すべてを包み込んでくれる便利な表現です。
しかし、この感覚のまま韓国語を話そうとすると、大きな壁にぶつかります。韓国語では、その「疲れ」が「困難」なのか、「消耗」なのか、「生理現象」なのかによって、明確に単語を使い分ける必要があるからです。
もし、あなたが韓国人の友人に「(ただ眠くて)疲れた」と伝えたつもりで、間違った単語を使ってしまったらどうなるでしょうか?友人は「えっ、何か深刻な悩みでもあるの?人生がつらいの?」と過剰に心配してしまうかもしれません。
この記事では、韓国語学習者が最も混同しやすい3大「疲れた」表現である「힘들다(ヒムドゥルダ)」「피곤하다(ピゴナダ)」「지치다(チチダ)」について、辞書的な意味だけでなく、ネイティブが感じる「温度感」や「重み」まで徹底的に深掘りして解説します。
さらに、記事の後半では、類似表現やスラング、そして実際の会話シチュエーションを使ったロールプレイングまで用意しました。これを読めば、もう二度と「疲れた」の使い分けに迷うことはなくなるでしょう。
日本語の「疲れた」の万能さと韓国語の具体性
日本語は「察する文化」の言語と言われます。「疲れた」と言えば、文脈から相手が「ああ、仕事が大変だったんだな」や「眠いんだな」と推測してくれます。対して韓国語は、感情や状態をより「具体的・直接的」に描写することを好む傾向があります。
韓国語で自分の状態を伝えるときは、「今の私の疲れの原因は何か?」「体はどういう状態か?」を一瞬自分に問いかける必要があります。このプロセスこそが、韓国語脳を作る重要なトレーニングにもなるのです。
韓国の「パッリパッリ(早く早く)」文化と疲労表現の関係
韓国社会を表す言葉として有名な「パッリパッリ(빨리빨리=早く早く)」。スピードと競争が重視される韓国社会では、人々は常に何かに追われているような感覚を持つことも少なくありません。
そんな背景もあってか、韓国語には「疲れ」に関する表現が非常に豊富です。「死にそうだ(죽겠다)」という強調表現とセットで使われることも多く、感情表現の豊かさがここにも表れています。単語の裏にあるこうした文化的背景も感じながら学習すると、より深く記憶に定着するはずです。
1. 「しんどい・つらい・大変だ」万能にして最難関「힘들다 (ヒムドゥルダ)」
힘들다は「力(힘)」が「入る(들다)」、つまり力が要る=大変だという語源があります。
語源から理解する「力が要る=大変だ」のロジック
まず最初にマスターすべきは、最も使用頻度が高く、かつ日本語話者が最も誤用しやすい「힘들다(ヒムドゥルダ)」です。
この単語の構造を分解してみましょう。
- 힘(ヒム):力、パワー
- 들다(トゥルダ):入る、かかる(費用や労力などが)
直訳すると「力が要る」「力がかかる」となります。つまり、「それを成し遂げるためには多くのエネルギーや労力が必要である」という状況を指します。
ここから転じて、「(行うのが)難しい」「(状況が)困難だ」「(精神的に)つらい」「(肉体的に)しんどい」という意味で使われます。単なる疲労感というよりは、「負荷がかかっている状態」とイメージするのが正解です。
【徹底解説】精神的な「つらさ」を表す5つのパターン
「힘들다」は、心の重荷を表す際によく使われます。「疲れた」と訳すよりも「つらい」「しんどい」と訳した方がしっくりくるケースが多いです。
직장 상사 때문에 너무 힘들어요.
(チクチャン サンサ ッテムネ ノム ヒムドゥロヨ)
訳:職場の司のせいでとてもつらいです(しんどいです)。
※単に体が疲れているのではなく、精神的なストレスがかかっている状態。
요즘 형편이 좀 힘들어서…
(ヨジュム ヒョンピョニ チョム ヒムドゥロソ…)
訳:最近(家計の)都合がちょっと厳しくて(苦しくて)…
※お金がない、生活が苦しいという状況も「힘들다」で表現します。
너랑 만나는 거, 이제 너무 힘들어.
(ノラン マンナヌン ゴ, イジェ ノム ヒムドゥロ)
訳:君と付き合うの、もうすごくしんどいよ。
※喧嘩ばかりで精神的に消耗している様子。別れ話の予兆となるフレーズです。
육아는 생각보다 훨씬 힘드네요.
(ユガヌン センガッポダ フォルッシン ヒムドゥネヨ)
訳:育児は思ったよりずっと大変ですね。
※肉体的な疲れと精神的な気苦労の両方を含んでいます。
마음이 힘들 때 어떻게 해요?
(マウミ ヒムドゥル ッテ オットケ ヘヨ?)
訳:心がつらい時、どうしますか?
※うつ的な気分や、落ち込んでいる状態を表すことができます。
【徹底解説】物理的な「困難」を表す5つのパターン
「힘들다」は、単なる肉体疲労だけでなく、タスクの難易度が高い(=Difficult)という意味でも頻繁に使われます。英語の “Hard” や “Difficult” に相当します。
- 仕事がきつい:「この仕事は肉体労働だから大変だ(이 일은 육체노동이라 힘들다)。」
-
スケジュールが厳しい:「一週間で終わらせるのは難しいです(일주일 안에 끝내는 건 힘들어요)。」
※ここでは「無理だ」「困難だ」という意味になります。 - 道が険しい:「山登りのコースが険しくて大変だった(등산 코스가 가파ら서 힘들었다)。」
-
勉強が難しい:「韓国語の発音は難しい(한국어 발음은 힘들다)。」
※一般的には「어렵다(難しい)」を使いますが、習得するのに苦労するというニュアンスで「힘들다」を使うこともあります。 - 状況が悪い:「今は予約を取るのが難しいです(지금은 예약하기 힘들어요)。」
文法応用:「〜するのが難しい(〜하기 힘들다)」の使い方
「힘들다」は動詞の語幹に「~기(〜すること)」をつけて、「〜するのが難しい(大変だ)」という複合表現を作ることができます。これは会話で非常によく使われるパターンです。
- 가기 힘들다(カギ ヒムドゥルダ):行くのが大変だ(交通が不便、時間がない等)
- 믿기 힘들다(ミッキ ヒムドゥルダ):信じがたい、信じるのが難しい
- 참기 힘들다(チャムギ ヒムドゥルダ):我慢するのがつらい、耐え難い
- 이해하기 힘들다(イヘハギ ヒムドゥルダ):理解に苦しむ
2. 「眠い・だるい・休息不足」生理的疲労の「피곤하다 (ピゴナダ)」
睡眠不足や運動後のだるさは、まさに피곤하다の出番です。
決定的な違い!「졸리다(眠い)」と「피곤하다(疲れた)」の境界線
「피곤하다(ピゴナダ)」は漢字で書くと「疲困」です。これは文字通り、体が疲れて困憊している状態を指します。
よく学習者から質問があるのが、「졸리다(チョルリダ=眠い)」との違いです。
「피곤하다」の状態の一つとして「眠気」が含まれることが多いですが、厳密には以下のように使い分けます。
| 単語 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|
| 졸리다 (眠い) | 単純な睡眠欲求。授業中や食後など、体が疲れていなくても眠い場合にも使う。 | 昼ご飯を食べたら眠い。 (점심 먹으니까 졸려.) |
| 피곤하다 (疲れた) | 体力の消耗、睡眠不足による体調不良。体が重い、だるい、休息が必要な状態。 | 昨日徹夜したから体がだるい。 (어제 밤새워서 피곤해.) |
つまり、「眠いけど元気」な場合は「졸리다」ですが、「疲れてぐったりして眠い」場合は「피곤하다」を使うのが自然です。
体の部位別で見る「疲れ」の表現(目が疲れた、足が疲れた)
「피곤하다」は体全体だけでなく、特定の部位の疲れにも使います。
- 눈이 피곤하다 (ヌニ ピゴナダ):目が疲れた(眼精疲労)。スマホの見過ぎなどでよく使います。
- 몸이 피곤하다 (モミ ピゴナダ):体がだるい、体調が優れない。
- 발이 피곤하다 (パリ ピゴナダ):(靴が合わなくて)足が疲れた。
- 간が 피곤하다 (カニ ピゴナダ):肝臓が疲れている(飲み過ぎなどで)。
このように、生理的なコンディションの低下を表現する際に最も適した単語です。
人間関係における「피곤하다」は「面倒くさい」?
本来は肉体的な疲れを表す「피곤하다」ですが、人間関係や性格に対して使うと、少し皮肉めいた「面倒くさい」「厄介だ」という意味になります。
例えば、細かいことにいちいち文句を言ってくる人に対して、陰でこう言います。
「아, 그 사람은 진짜 피곤한 스타일이야.(あ、あの人は本当に疲れるタイプだよ=面倒な性格だよ)」
また、複雑なトラブルに巻き込まれた時に、
「아, 피곤해지겠네.(あ、面倒なことになりそうだな)」
と独り言を言うこともあります。これは「귀찮다(面倒くさい)」に近いニュアンスです。
3. 「ヘトヘト・ガス欠・飽き」限界突破の「지치다 (チチダ)」
지치다は、心身のエネルギーが完全に枯渇した状態を表します。
マラソンのゴール直後?エネルギー枯渇のビジュアルイメージ
「지치다(チチダ)」のイメージを一言で言うなら、「Empty(空っぽ)」です。
「힘들다」が「重い荷物を持って頑張っている最中(Load)」だとすれば、「지치다」は「もう一歩も動けないほどエネルギーを使い果たした状態(Empty)」です。
日本語の「バテる」「くたびれる」「へばる」に相当します。
「피곤하다」は一晩寝れば治りそうな疲れですが、「지치다」はもっと深く、回復に時間がかかりそうな重たい疲労感を伴うことが多いです。
- 猛暑の中を歩き回ってバテた時:더위에 지쳤어 (トウィエ チチョッソ).
- 激しい運動の後:운동하고 나서 완전히 지쳤어 (ウンドンハゴ ナソ ワンジョニ チチョッソ).
恋愛や人間関係での「지치다」は別れのサイン?
この単語が人間関係で使われると、かなり危険な信号です。
相手に対して「怒っている」わけでも「悲しんでいる」わけでもなく、「もうエネルギーを使いたくない(諦め)」という境地に至っているからです。
例えば、何度も同じことで喧嘩を繰り返したカップルの会話。
「나 이제 지쳤어. 우리 그만하자.(私、もう疲れたの。私たち終わりにしよう。)」
ここでは、「힘들다(つらい)」を使うよりも、「지치다(気力が尽きた)」を使う方が、「もう頑張る気力も残っていない」という絶望的なニュアンスが強く伝わります。修復が難しい状態を示唆することが多いのです。
受動態のようなニュアンス?「自分」ではなく「状況」に負ける感覚
「지치다」はしばしば「〜に疲れる」という形で、原因となる名詞と一緒に使われます。
助詞は「~에(〜に)」を使うのが一般的です。
- 삶에 지치다 (サルメ チチダ):人生に疲れる(生活苦や生きづらさで)
- 공부에 지치다 (コンブエ チチダ):勉強に疲れる(受験勉強などの長期間のストレスで)
- 기다림에 지치다 (キダリメ チチダ):待つことに疲れる(待ちくたびれる)
このように、外部の要因によって自分のエネルギーが削ぎ落とされた、という受動的なダメージを感じさせる表現です。
【保存版】3大「疲れた」の活用形マスターテーブル
ニュアンスが分かったところで、実際に会話で使えるように「形」を覚えましょう。韓国語は相手との関係性によって語尾が変わります。この表をスクリーンショットして保存しておくと便利です!
現在形・過去形・未来形・連結語尾の完全活用表
| 基本形 | 時制 | 独り言・パンマル (〜だ/だよ) |
ヘヨ体 (〜です/ます) |
ハムニダ体 (〜でございます) |
|---|---|---|---|---|
| 힘들다 (形容詞) |
現在 | 힘들어 (ヒムドゥロ) |
힘들어요 (ヒムドゥロヨ) |
힘듭니다 (ヒムドゥムニダ) |
| 過去 | 힘들었어 (ヒムドゥロッソ) |
힘들었어요 (ヒムドゥロッソヨ) |
힘들었습니다 (ヒムドゥロッスムニダ) |
|
| 推測・未来 | 힘들겠어 (ヒムドゥルゲッソ) |
힘들겠어요 (ヒムドゥルゲッソヨ) |
힘들겠습니다 (ヒムドゥルゲッスムニダ) |
|
| 피곤하다 (形容詞) |
現在 | 피곤해 (ピゴネ) |
피곤해요 (ピゴネヨ) |
피곤합니다 (ピゴナムニダ) |
| 過去 | 피곤했어 (ピゴネッソ) |
피곤했어요 (ピゴネッソヨ) |
피곤했습니다 (ピゴネッスムニダ) |
|
| 推測・未来 | 피곤하겠어 (ピゴナゲッソ) |
피곤하겠어요 (ピゴナゲッソヨ) |
피곤하겠습니다 (ピゴナゲッスムニダ) |
|
| 지치다 (動詞) |
現在 | 지쳐 (チチョ) |
지쳐요 (チチョヨ) |
지칩니다 (チチムニダ) |
| 過去 | 지쳤어 (チチョッソ) |
지쳤어요 (チチョッソヨ) |
지쳤습니다 (チチョッスムニダ) |
|
| 推測・未来 | 지치겠어 (チチゲッソ) |
지치겠어요 (チチゲッソヨ) |
지치겠습니다 (チチゲッスムニダ) |
【注意点】
「힘들다」はㄹ変則活用をするので、ハムニダ体や連体形で形が変わることに注意してください(힘듭니다, 힘든 일)。
「지치다」は会話では過去形「지쳤어(요)」で使われることが圧倒的に多いです。「今まさにバテている」状態であっても、バテるプロセスが完了しているので過去形を使います。
実践ロールプレイング:会話の流れで覚える「疲れた」の使い分け
単語の意味を覚えたら、次は文脈の中での使い方を確認しましょう。3つのシチュエーションを用意しました。
シチュエーションA:残業続きの会社員同士の会話(피곤하다 vs 힘들다)
A(同僚):
顔色が悪いね。昨日も遅くまで残業したの?
얼굴 색이 안 좋네. 어제도 늦게까지 야근했어?
B(あなた):
うん、最近プロジェクトのせいで毎日終電だよ。正直、体が持たないよ。
응, 요즘 프로젝트 때문에 매일 막차야. 솔직히 너무 피곤해.
(解説:睡眠不足で体がきついので피곤해を使用)
A(同僚):
あのプロジェクト、部長の要求も細かいし大変そうだよね。
그 프로젝트, 부장님 요구도 까다롭고 힘들 것 같아.
(解説:業務の難易度や精神的負担が高いので힘들다を使用)
B(あなた):
そうなんだよ。仕事自体も大変だけど、人間関係がもっとストレスだよ。
맞아. 일 자체도 힘들지만, 인간관계가 더 힘들어.
(解説:精神的な苦労なので힘들어を使用)
シチュエーションB:登山中の友人同士の会話(힘들다 vs 지치다)
A(登山初心者):
はあはあ…このコース、思ったよりきついね。
하아 하아… 이 코스 생각보다 힘드네.
(解説:登るという行為が「困難・大変」なので힘드네)
B(登山経験者):
もう少しで頂上だよ!頑張れ!
조금만 더 가면 정상이야! 힘내!
A(登山初心者):
いや、もう一歩も動けない。完全にバテた…。
아니, 한 발짝도 못 움직이겠어. 나 완전히 지쳤어…
(解説:エネルギーが枯渇して動けないので지쳤어)
シチュエーションC:長く付き合ったカップルの修羅場(지치다の真意)
彼氏:
ごめん、次は絶対に約束守るから。
미안해, 다음엔 꼭 약속 지킬게.
彼女:
毎回同じこと言ってるよね。私、あなたを信じるのにもう疲れた。
매번 같은 말만 하잖아. 나 너 믿는 거 이제 지쳤어.
(解説:期待しては裏切られるプロセスに飽き飽きして、心が折れた状態。힘들어よりも冷たく、別れの意思が強い)
さらに語彙力を爆上げする!上級者向け「疲労」関連表現10選
基本の3つをマスターしたら、さらに細かいニュアンスを表現できる上級単語にも挑戦してみましょう。これらを使えると、韓国人に「おっ、韓国語上手だね!」と驚かれること間違いなしです。
肉体労働の過酷さを表す「고되다(コドェダ)」
意味:(肉体的な仕事や労働が)きつい、過酷だ、苦しい。
ニュアンス:「힘들다」と似ていますが、より「肉体労働の苦しさ」にフォーカスした言葉です。農作業、建設現場、激しいトレーニングなどの後に使います。
例文:
「今日は仕事がきつかった。」
→ 오늘 일이 참 고됐어. (オヌル イリ チャム コドェッソ)
体がだるく力が入らない「나른하다(ナルナダ)」と「맥이 풀리다」
① 나른하다(ナルナダ):
春のぽかぽか陽気で眠くなる時や、お風呂上がり、あるいは風邪の引き始めなどで「体がだるい」「気だるい」状態。
例:「春だからか、体がだるい。」→ 봄이라서 그런지 몸이 나른해.
② 맥이 풀리다(メギ プッリダ):
直訳は「脈が解ける」。緊張が解けてどっと疲れが出たり、ガッカリして力が抜けた状態(脱力感)。日本語の「気が抜ける」に近いです。
例:「試験が終わって気が抜けた。」→ 시험이 끝나서 맥이 풀렸어.
筋肉痛や凝りを表す「뻐근하다(ッポグナダ)」と「결리다(キョッリダ)」
デスクワークが多い人は必見の単語です。
① 뻐근하다(ッポグナダ):
筋肉が張って重苦しい、凝っている感じ。首や肩によく使います。
例:「昨日運動したから全身が痛い(張っている)。」→ 어제 운동해서 온몸이 뻐근해.
② 결리다(キョッリダ):
「凝る」という動詞。特に「肩が凝る」は「어깨가 결리다」と言います。
精神的な苦痛を伴う「괴롭다(クェロプタ)」との違い
「힘들다」よりもさらに精神的な苦痛が深い場合に「괴롭다(クェロプタ)」を使います。「苦しい」「悩ましい」と訳されます。
いじめられている、失恋した、借金で追いつめられているなど、心が痛むレベルのつらさです。
例:「君を忘れるのがつらい(苦しい)。」→ 너를 잊는 게 괴로워.
若者スラング「쩔다(チョルダ)」「녹초(ノクチョ)」再考
カジュアルな会話やSNSでは、以下のような表現が主流です。
-
😱 쩔다 (チョルダ)
「漬かる」という意味の方言から来たスラング。「피곤에 쩔다(疲れに漬かる=疲れ切っている)」の形でよく使います。ゲーム廃人や残業続きの人に対して使います。 -
🕯️ 녹초가 되다 (ノクチョガ テダ)
「溶けたロウソク(緑燭)になる」。熱でぐにゃぐにゃになったロウソクのように、疲れ果てて座り込む様子。「綿のように疲れた」という表現に近いです。 -
🥬 파김치가 되다 (パキムチガ テダ)
「ネギキムチになる」。漬け込まれてしんなりしたネギのように、くたくたになった状態。面白い比喩表現としてよく使われます。
ネイティブっぽく聞こえる「ねぎらい」と「返答」のフレーズ集
最後に、コミュニケーションを円滑にするためのフレーズ集です。相手が「疲れた」と言った時、ただ「そうですか」と返すのではなく、相手の状態に合わせた言葉をかけてあげましょう。
相手の「疲れた」の種類に合わせた最適なリアクション
相手:아, 오늘 일 너무 힘들었어.(あー、今日の仕事すごく大変だった。)
⭕️ 고생했어요. (苦労しましたね。)
⭕️ 수고 많았어요. (お疲れ様でした。)
※「努力」や「過程」を労う言葉がベストです。
相手:어제 못 자서 너무 피곤해.(昨日寝てなくてすごく疲れてる=眠い。)
⭕️ 얼른 가서 쉬세요. (早く帰って休んでください。)
⭕️ 오늘은 일찍 들어가요. (今日は早く帰りましょう。)
⭕️ 커피라도 한 잔 할래요? (コーヒーでも一杯どうですか?)
※休息を促したり、眠気覚ましを提案するのが自然です。
相手:이제 모든 게 다 지쳤어…(もう全てに疲れた…)
⭕️ 무슨 일 있어요? (何かあったんですか?)
⭕️ 힘내라는 말도 못 하겠네요. (頑張れとも言えませんね。)
⭕️ 내가 있잖아. 기운 내. (私がいるじゃない。元気出して。)
※深刻度が高いので、安易に「頑張れ」と言わず、話を聞こうとする姿勢が大切です。
自分が「疲れた」と言った後に付け足すべき一言
ただ「疲れた」と言うだけだと、ネガティブな印象を与えてしまうことがあります。ポジティブに会話を締めくくるための一言を添えましょう。
- 힘들지만 보람이 있어요.
(大変ですが、やりがいがあります。) - 피곤하지만 기분은 좋아요.
(疲れたけど、気分はいいです。) ※運動の後などに - 지쳤지만 끝까지 해볼게요.
(バテたけど、最後までやってみます。)
まとめ:感情の解像度を上げて、韓国語でのコミュニケーションを深めよう
長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。
日本語の「疲れた」がいかに広範囲をカバーする言葉か、そして韓国語がいかに「状態」を細分化して捉えているか、お分かりいただけたでしょうか。
最後に、3つの重要ポイントをおさらいしましょう。
【本日のまとめ】韓国語の「疲れた」使い分け
-
① 힘들다(ヒムドゥルダ)
キーワード:「困難・負荷・苦労」
精神的な「つらさ」、肉体的な「しんどさ」、作業の「難しさ」全てに使える万能かつ最重要単語。 -
② 피곤하다(ピゴナダ)
キーワード:「生理的疲労・睡眠不足」
体がだるい、眠い、休息が必要な状態。体のコンディション不良を表す。 -
③ 지치다(チチダ)
キーワード:「枯渇・消耗・飽き」
エネルギー切れ、ヘトヘト、うんざりした状態。回復に時間がかかる深い疲れ。
言葉は、単なる情報の伝達ツールではありません。あなたの今の状態や感情を、相手に正確に共感してもらうための大切な架け橋です。
「今日は힘들다だったけど、ぐっすり寝て피곤하다を解消しよう!」
そんなふうに、自分の心と体に対話しながら韓国語を使ってみてください。きっと、昨日よりも少しだけ、韓国語の世界が鮮やかに見えるはずです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。오늘도 공부하느라 수고 많으셨습니다!(今日も勉強お疲れ様でした!)

