韓国ドラマやK-POPアイドルが挨拶をする場面で、「チョヌン(저는)~」という言葉を耳にしたことはありませんか?

「チョヌン」は、韓国語学習者が一番最初に覚えるべき、基本中の基本となるフレーズです。日本語でいう「私は」にあたる言葉ですが、実は単なる主語以上の大切な意味と、韓国文化特有の「相手への敬意」が込められています。

この記事では、韓国語教室でも最初の授業で必ず教わるこの「チョヌン」について、徹底的に深掘りしていきます。文法的な解説はもちろん、友達に使う「ナヌン」との明確な使い分け、そして明日からすぐに使える50個以上の自己紹介フレーズを網羅しました。

これを読み終える頃には、あなたはどんな場面でも自信を持って、堂々と韓国語で自己紹介ができるようになっているはずです。それでは、韓国語の第一歩を踏み出しましょう!

1. 「チョヌン(저는)」の正体を徹底解剖

まずは、「チョヌン」という言葉がどのように成り立っているのか、その構造を分解して見ていきましょう。意味をしっかり理解することで、記憶への定着率がグッと上がります。

「チョ(저)」と「ヌン(는)」の文法的意味

「チョヌン」は、一つの単語のように聞こえますが、実は「代名詞」+「助詞」の組み合わせです。

  • 저(チョ): 「わたくし」「私」という意味の代名詞。
  • 는(ヌン): 「~は」という意味の助詞。

つまり、「チョ(私)」+「ヌン(は)」=「私は(わたくしは)」となります。
ちなみに、韓国語の助詞「~は」には、「는(ヌン)」と「은(ウン)」の2種類がありますが、前の文字(この場合は『저』)にパッチム(子音の足)がないため、「는(ヌン)」がつきます。

なぜ「ナ(나)」ではなく「チョ(저)」なのか?謙譲語の心

韓国語には、自分を指す言葉として「チョ(저)」のほかに、「ナ(나)」があります。では、なぜ自己紹介の定番は「チョヌン」なのでしょうか?

それは、「チョ(저)」が「謙譲語(けんじょうご)」だからです。

「謙譲語」とは、自分を低めることで、相対的に相手を高めて敬意を表す言葉遣いです。日本語でも、目上の人に対して「僕」や「俺」と言わず、「わたくし」と言うのと同じ感覚です。

  • 저(チョ): 自分を低くした言い方。「わたくし」。
    ※初対面、目上の人、ビジネス、公の場で使用。
  • 나(ナ): 普通の言い方。「僕、おれ、私(対等)」。
    ※友達、年下、家族、独り言で使用。

韓国は「礼儀」を非常に重んじる国です。初対面の相手や、年齢がわからない相手に対しては、まず自分を低めた「チョ(저)」を使うのがマナーです。これにより、「あなたを尊重しています」というメッセージを言葉の端々から伝えることができるのです。

ネイティブっぽく聞こえる発音のコツ

「チョヌン」とカタカナで書いていますが、実際の発音はもう少し滑らかです。

コツは、「チョ」と「ヌン」を区切らずに、一息で言うことです。
「チョ・ヌン」と切ってしまうと、少しロボットのような不自然な響きになります。「チョヌン」と繋げて、さらに「ヌ」の音を少し弱めに発音すると、よりネイティブに近づきます。

「チョ(ヌ)ン」

また、文頭に来るときは、最初の「チョ」を低めのトーンで始めると、落ち着いた丁寧な印象を与えられます。

ビジネススーツの男性が丁寧に自己紹介をする様子

フォーマルな場面では、姿勢を正して「チョヌン」と言いましょう。

2. 「チョヌン」と「ナヌン」の使い分け完全ガイド

「チョヌン(私は)」と「ナヌン(僕は/俺は)」の使い分けは、人間関係のバロメーターです。ここを間違えると、馴れ馴れしいと思われたり、逆にいつまでも他人行儀だと思われたりします。

フォーマルな場面では絶対に「チョヌン」

以下のシチュエーションでは、迷わず「チョヌン(저는)」を使ってください。100%間違いありません。

  • 初対面の自己紹介
  • 面接、ビジネスの商談
  • 店員さんと話すとき
  • 年上の人(先輩、上司、年長の知人)と話すとき
  • 先生や講師と話すとき
  • 大勢の前で発表するとき

文末は必ず丁寧語の「~イムニダ(~입니다)」「~エヨ/イエヨ(~에요/이에요)」とセットになります。
例:「チョヌン タナカ イムニダ(私は田中です)」

友達同士や年下には「ナヌン(나는)」

逆に、以下の場面で「チョヌン」を使うと、少し堅苦しく感じられます。「ナヌン(나는)」、会話では短縮して「ナン(난)」を使うのが自然です。

  • 仲の良い友達(タメ口で話す間柄)
  • 明らかに自分より年下の子ども
  • 家族(親に対しては敬語を使う家庭もありますが、自分を指すときは『ナ』を使うことが多い)
  • 恋人同士
  • 日記や独り言

文末はタメ口である「パンマル(~ヤ/~オ)」などになります。
例:「ナヌン ハングゴ チョアヘ(私は韓国語が好きだよ)」

カフェで友人と笑い合うカジュアルな韓国語会話の様子

親しくなったら「チョヌン」から「ナヌン(ナン)」に切り替えるタイミングです。

ドラマで学ぶ!関係性の変化と一人称の切り替え

韓国ドラマを見ていると、最初は「チョヌン…」とよそよそしく話していた二人が、親しくなるにつれて「言葉を楽にしましょう(タメ口にしましょう)」という合意を経て、「ナヌン…」に変わる瞬間があります。

この「言葉の壁が崩れる瞬間」こそが、韓国語の面白さであり、人間関係が深まった証拠です。「チョヌン」を使っているうちは、まだ心の距離または社会的な礼儀の壁があると思ってください。

3. 【保存版】「チョヌン」から始まる自己紹介フレーズ集

ここからは、実際に使えるフレーズを大量にご紹介します。単語を入れ替えるだけで、あなただけのオリジナルの自己紹介が完成します。全て丁寧な「チョヌン」ベースで作っています。

基本の挨拶・名前・出身(これだけは覚えよう)

まずは基本中の基本。これさえ言えれば、存在を認識してもらえます。

日本語 韓国語(読み)
私は田中です。 저는 다나카입니다.
(チョヌン タナカ イムニダ)
私は日本人です。 저는 일본 사람입니다.
(チョヌン イルボン サラム イムニダ)
私は日本から来ました。 저는 일본에서 왔습니다.
(チョヌン イルボネソ ワッスムニダ)
私の名前は山田花子です。 제 이름은 야마다 하나코입니다.
(チェ イルムン ヤマダ ハナコ イムニダ)
※「チェ」は「私の(je)」という意味です。
東京に住んでいます。 저는 도쿄에 살고 있습니다.
(チョヌン トキョエ サルゴ イッスムニダ)

職業・身分を伝えるフレーズ(学生、会社員など)

何をしている人なのかを伝えると、相手も話題を振りやすくなります。

  • 저는 회사원입니다.
    (チョヌン フェサウォニムニダ)
    私は会社員です。
  • 저는 대학생입니다.
    (チョヌン テハクセンイムニダ)
    私は大学生です。
  • 저는 주부입니다.
    (チョヌン チュブイムニダ)
    私は主婦です。
  • 저는 일본어 선생님입니다.
    (チョヌン イルボノ ソンセンニム イムニダ)
    私は日本語の先生です。
  • 저는 엔지니어로 일하고 있습니다.
    (チョヌン エンジニアロ イラゴ イッスムニダ)
    私はエンジニアとして働いています。
  • 저는 미용사입니다.
    (チョヌン ミヨンサイムニダ)
    私は美容師です。

趣味・特技をアピールして会話を広げる

ここからが個性を出すチャンスです。「好き(チョアヘヨ)」を使って表現しましょう。

趣味や好きなことを表すアイコンと楽しそうに話す人物

趣味の話は万国共通で盛り上がるトピックです。

  • 저는 한국 드라마를 좋아합니다.
    (チョヌン ハングッ ドゥラマルル チョアハムニダ)
    私は韓国ドラマが好きです。
  • 저는 K-POP을 아주 좋아해요.
    (チョヌン ケイパブル アジュ チョアヘヨ)
    私はK-POPが大好きです。
  • 저는 여행이 취미입니다.
    (チョヌン ヨヘンイ チゥィミイムニダ)
    私は旅行が趣味です。
  • 저는 맛집 탐방을 좋아해요.
    (チョヌン マッチプ タムバンウル チョアヘヨ)
    私は美味しい店巡りが好きです。
  • 저는 요리하는 것을 좋아합니다.
    (チョヌン ヨリハヌン ゴスル チョアハムニダ)
    私は料理をすることが好きです。
  • 저는 한국 요리를 잘 만듭니다.
    (チョヌン ハングン ヨリルル チャル マンドゥムニダ)
    私は韓国料理を作るのが得意です。
  • 저는 매일 아침 조깅을 해요.
    (チョヌン メイル アチム チョギンウル ヘヨ)
    私は毎朝ジョギングをしています。
  • 저는 카페巡り(카페 투어)를 좋아해요.
    (チョヌン カペトゥオルル チョアヘヨ)
    私はカフェ巡りが好きです。

自分の性格や特徴を伝える

自分をどう見せたいか、あるいは実際の性格を伝えることで、相手との距離を縮めます。

  • 저는 성격이 밝은 편이에요.
    (チョヌン ソンキョギ パルグン ピョニエヨ)
    私は性格が明るい方です。
  • 저는 처음에는 낯을 좀 가려요.
    (チョヌン チョウメヌン ナチュル チョム カリョヨ)
    私は最初は少し人見知りをします。
  • 저는 호기심이 많아요.
    (チョヌン ホギシミ マナヨ)
    私は好奇心が旺盛です。
  • 저는 사람들과 이야기하는 것을 좋아해요.
    (チョヌン サラムドゥルグァ イヤギハヌン ゴスル チョアヘヨ)
    私は人とおしゃべりするのが好きです。
  • 저는 긍정적인 사람입니다.
    (チョヌン クンジョンチョギン サラミムニダ)
    私はポジティブな人間です。

韓国語学習のきっかけや動機を話す

韓国の人と話すとき、最も聞かれるのが「なぜ韓国語を勉強しているの?」という質問です。

  • 저는 한국 문화를 좋아해서 한국어를 공부하고 있습니다.
    (チョヌン ハングン ムヌァルル チョアヘソ ハングゴルル コンブハゴ イッスムニダ)
    私は韓国文化が好きで、韓国語を勉強しています。
  • 저는 자막 없이 드라마를 보고 싶어요.
    (チョヌン チャマク オプシ ドゥラマルル ポゴ シポヨ)
    私は字幕なしでドラマを見たいです。
  • 저는 한국 친구를 만들고 싶어서 공부를 시작했어요.
    (チョヌン ハングッ チングルル マンドゥルゴ シポソ コンブルル シジャッケッソヨ)
    私は韓国人の友達を作りたくて勉強を始めました。
  • 저는 아직 한국어가 서툴러요.
    (チョヌン アジク ハングゴガ ソトゥルロヨ)
    私はまだ韓国語が下手です。
  • 저는 더 열심히 공부하겠습니다.
    (チョヌン ト ヨルシミ コンブハゲッスムニダ)
    私はもっと一生懸命勉強します。

4. 韓国独特の「年齢」自己紹介を攻略する

自己紹介で避けて通れないのが「年齢」です。特に韓国では、年齢によって敬語を使うかどうかが決まるため、初対面でも早い段階で年齢の話になることがよくあります。

「韓国の歳(数え年)」と「日本の歳(満年齢)」の違いとは?

かつて韓国では「数え年(生まれた時が1歳、お正月に全員1歳年をとる)」が一般的でしたが、2023年6月から法律上「満年齢(誕生日で1歳年をとる)」に統一されました。

しかし、長年の習慣で、日常会話ではまだ「数え年」で話す人や、「早生まれ(1月・2月生まれ)」を気にする文化が残っています。そのため、単に「〇〇歳です」と言うと、相手と認識がズレる可能性があります。

誤解を避ける最強の自己紹介「~年生まれです」

そこで最も確実で、誤解を生まない自己紹介の方法が「生まれた年(西暦)」を言うことです。

  • 저는 95년생입니다.
    (チョヌン クシボニョンセン イムニダ)
    私は95年生まれです。
  • 저는 2000년생입니다.
    (チョヌン イチョンニョンセン イムニダ)
    私は2000年生まれです。

こう言えば、相手が勝手に年齢を計算してくれますし、同い年かどうかも即座に判別できます。「~ニョンセン(~年生)」という表現、ぜひ覚えてください。

「チョヌン」を使った年齢確認の会話例

A: 실례지만 나이가 어떻게 되세요?
(シルレシマン ナイガ オットケ デセヨ?)
失礼ですがおいくつですか?

B: 저는 1998년생입니다. 일본 나이로는 25살이에요.
(チョヌン チョンクベククシッパルリョンセン イムニダ. イルボン ナイロヌン スムルタソッサリエヨ)
私は1998年生まれです。日本の年齢では25歳です。

このように「日本年齢では(イルボン ナイロヌン)」と付け加えると非常に親切です。

5. 応用編:もっと自然に!助詞や主語を省略するテクニック

最後に、よりネイティブらしい会話のためのテクニックをお伝えします。

会話のスピード感を上げる「チョ…」の使い方

日本語でも「私は、ですね…」というように、「は」を強調したり、間を持たせたりすることがありますよね。韓国語でも「チョヌン…」と言いよどむことで、「自分の意見を言おうとしている」合図になります。

また、口語(話し言葉)では助詞の「ヌン(는)」が省略されて、単に「チョ(저)」だけで「私は」という意味で使われることも多々あります。

  • 저, 이거 주세요.
    (チョ、イゴ チュセヨ)
    (私は)これください。※お店などで呼びかける時にも使います。

文脈で察する文化:主語をあえて言わない美学

実は、韓国語は日本語以上に「主語を省略する」言語です。

ここまで「チョヌン、チョヌン」と練習してきましたが、実際の連続した会話の中で、全ての文の頭に「チョヌン」をつけると、自己主張が強すぎる、またはクドい印象を与えてしまいます。

例えば:
「(チョヌン)日本から来ました。(チョヌン)会社員です。(チョヌン)趣味は読書です。」

このように、最初の文で自分の話をすることが明確であれば、2文目以降は「チョヌン」を省くのが自然です。前後の文脈で「誰の話をしているか」が明らかな場合は、どんどん省略していきましょう。

まとめ:自信を持って「チョヌン」と言えば、韓国語の世界が広がる

いかがでしたか?たった3文字の「チョヌン(저는)」ですが、そこには韓国語の謙譲の精神や、相手への配慮が詰まっています。

自己紹介は、新しい出会いの扉を開く鍵です。
上手く言おうと緊張する必要はありません。「チョヌン…」と口に出した瞬間、相手はあなたが何かを伝えようとしていることに耳を傾けてくれます。

今回ご紹介した50個のフレーズの中から、自分にぴったりのものを組み合わせて、ぜひ実際に声に出して練習してみてください。鏡の前で、あるいは録音して聞いてみるのも良いでしょう。

あなたの「チョヌン」から始まる韓国語ライフが、素敵な出会いと経験で満たされることを心から応援しています!