【初心者完全ガイド】韓国語の母音をゼロからマスター!発音のコツと覚え方を徹底解説
「韓国ドラマを字幕なしで見たい!」「K-POPの歌詞の意味を理解したい!」そんな素敵な目標を胸に韓国語の勉強を始めたものの、最初のハングルの壁、特に「母音」でつまずいていませんか?
「似たような形の文字が多すぎる…」「日本語にない発音が難しくて、心が折れそう…」と感じるのは、あなただけではありません。実は、韓国語の母音は、多くの日本人学習者が最初に直面する大きなハードルなのです。しかし、ご安心ください。この母音こそが、あなたの韓国語能力を飛躍させるための最も重要な「鍵」となります。
この記事では、単なる母音の一覧表を提示するだけではありません。なぜその形でその音になるのかというハングルの成り立ちから、日本人学習者が特に苦手とする発音の具体的なコツ、そして科学的で楽しい記憶術まで、韓国語の母音をゼロから、そして完璧にマスターするための全てを凝縮しました。この記事を読み終える頃には、母音への苦手意識は消え、自信を持ってハングルを読めるようになっているはずです。
なぜ韓国語学習で「母音」が最初の壁であり、最も重要なのか?
韓国語学習の旅は、まず「ハングル」という文字を覚えることから始まります。そして、そのハングルの根幹をなすのが「母音」と「子音」です。特に母音は、単語の意味を決定づけるだけでなく、韓国語特有の響きやリズムを生み出す、いわば「言語の魂」とも言える部分です。
日本語の母音が「あ・い・う・え・お」の5つであるのに対し、韓国語には基本母音だけで10個、さらにそれらを組み合わせた合成母音(二重母音)が11個も存在します。この数の多さに加え、「ㅓ(eo)」や「ㅡ(eu)」といった日本語には存在しない発音が登場するため、多くの学習者が混乱し、挫折感を感じてしまうのです。
しかし、逆に言えば、この母音を正確に聞き分け、発音できるようになれば、あなたの韓国語は一気にネイティブらしくなり、リスニング力もスピーキング力も劇的に向上します。最初の壁だからこそ、時間をかけてじっくりと、そして正しく理解することが、後々の学習を何倍も楽にしてくれるのです。本格的に発音から学びたい方は、韓国語教室でネイティブの指導を受けるのも一つの有効な手段です。
ハングルの基本構造:文字はパーツの組み合わせでできている
複雑に見えるハングルですが、実は非常に論理的でシンプルな構造をしています。それは、まるでレゴブロックのように、いくつかの基本的なパーツ(子音と母音)を組み合わせて一つの文字(音節)を作るという仕組みです。
文字の組み立て方:「子音+母音」の大原則
韓国語の1文字は、必ず「子音」と「母音」のセットで構成されます。日本語の「か」が「k(子音)」と「a(母音)」から成るのと同じです。ハングルでは、これらのパーツを特定のルールに従って配置します。
例えば、「가(カ)」という文字は、
- ㄱ (k) という子音パーツ
- ㅏ (a) という母音パーツ
この2つが組み合わさってできています。母音の形によって、子音の隣に置かれたり(ㅏ, ㅓ, ㅣなど)、下に置かれたり(ㅗ, ㅜ, ㅡなど)します。このルールさえ覚えてしまえば、どんな文字でも読めるようになります。
発音しない子音「ㅇ(イウン)」が母音の学習に不可欠な理由
ここで一つ、非常に重要なパーツが登場します。それが「ㅇ(イウン)」という子音です。
この「ㅇ」は、母音の前にくっついた時、発音されない(無音)という特殊な役割を持っています。つまり、音価を持たない「飾り」のような子音なのです。
例:
「아」という文字は、「ㅇ(無音)」+「ㅏ (ア)」という構造です。
「ㅇ」は発音しないので、この文字は母音である「ㅏ」の音、つまり「ア」と発音されます。
先ほどの「子音+母音」のルールにより、母音は単独では文字になれません。そのため、「ア」という音を文字で表現したい場合は、無音の子音「ㅇ」を付けて「아」と表記する必要があるのです。これから母音を学ぶ上で、この「ㅇ」が必ずセットで出てくるのは、このためだと理解しておきましょう。
まずは6つだけ!韓国語「基本母音」の発音を完全マスター
韓国語の基本母音は10個ありますが、実はそのうち4つは他の母音の派生形です。そのため、最初に覚えるべき核となる母音は、たったの6つです。ここでは、覚えやすいように2つのグループに分けて、一つずつ丁寧に解説していきます。
グループ1:日本語に近くて簡単!4つの基本母音 (ㅏ, ㅣ, ㅗ, ㅜ)
最初のグループは、日本語の「ア・イ・オ・ウ」の音に非常に近いため、比較的簡単にマスターできます。ただし、よりネイティブらしい発音にするためのポイントがありますので、意識して練習しましょう。
ㅏ (ア) – 思いっきり口を縦に開けるのがコツ
「아 (ア)」は日本語の「ア」とほぼ同じ音です。ポイントは、恥ずかしがらずに、日本語の「ア」よりも少し大きく、顎を下げて口を縦に開けることです。歯医者さんで「あーんして」と言われる時をイメージすると分かりやすいでしょう。明るく、はっきりとした「ア」の音になります。
例文: 아이 (アイ) – 子供
例文: 아름답다 (アルムダプタ) – 美しい
ㅣ (イ) – 唇をしっかり横に引いて
「이 (イ)」も日本語の「イ」とほぼ同じです。コツは、唇の両端をキュッと引き、笑顔を作るようにして発音することです。これにより、よりシャープで明確な「イ」の音が出せます。
例文: 이야기 (イヤギ) – 話、物語
例文: 이유 (イユ) – 理由
ㅗ (オ) – 小さな円をイメージして唇を丸く突き出す
「오 (オ)」は日本語の「オ」に近いですが、発音方法が異なります。日本語の「オ」が無意識に発音されるのに対し、韓国語の「오」は唇をしっかり丸め、少し前に突き出して発音します。ろうそくの火を「ふーっ」と吹き消す時の口の形に似ています。この口の形を意識することで、後述する「ㅓ」との違いが明確になります。
例文: 오이 (オイ) – きゅうり
例文: 오늘 (オヌル) – 今日
ㅜ (ウ) – 「ㅗ」よりもさらに強く、鋭く突き出す
「우 (ウ)」も日本語の「ウ」に近いですが、「오」と同様に唇の形が重要です。「오」よりもさらに唇を小さく、そして強く前に突き出して「ウ」と発音します。口笛を吹く寸前のような、鋭い口の形をイメージしてください。
例文: 우유 (ウユ) – 牛乳
例文: 우리 (ウリ) – 私たち
グループ2:多くの学習者がつまずく!日本語にない2つの最難関母音 (ㅓ, ㅡ)
ここからが韓国語母音学習の山場です。この2つの母音は、日本語の音のシステムには存在しないため、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、口の形と音の出し方を理論的に理解すれば、必ずマスターできます。
ㅓ (オ) – 「ア」の口の形で、喉の奥から「オ」と響かせる
「어 (オ)」は、ローマ字では「eo」と表記され、日本語の「オ」とは全く異なる音です。発音のコツは、口の形は「ア」を発音するときのように縦に開き、声だけ「オ」を出すことです。唇は丸めず、リラックスさせた状態を保ちます。喉の奥から、少しこもったような、深みのある「オ」の音が出れば正解です。驚いた時に思わず「おぉ…」と声を漏らす時の音に近いかもしれません。
例文: 어머니 (オモニ) – お母さん
例文: 언제 (オンジェ) – いつ
ㅡ (ウ) – 唇を「イ」の形に保ったまま、喉から「ウ」と声を出す
「으 (ウ)」も非常に特殊な音で、ローマ字では「eu」と表記されます。これは、唇を「イ」の形に横一文字に引き、その口の形のまま「ウ」と発音します。唇は絶対に丸めたり突き出したりしてはいけません。歯を食いしばりながら「うーっ」と唸るような音をイメージすると近いです。最初は喉に力が入って難しいかもしれませんが、口の形を固定することが最も重要です。
例文: 음식 (ウムシク) – 食べ物
例文: 이름 (イルム) – 名前
【徹底比較】発音を視覚で理解!間違いやすい母音ペアの見分け方
特に混乱しやすいのが、「어/오」と「우/으」のペアです。これらの違いを明確に理解することが、リスニング力と発音の正確性を向上させる鍵となります。

「ㅓ」は口を縦に開き、「ㅗ」は唇を丸くすぼめるのが最大の違いです
「어(eo)」と「오(o)」- 顎の開きと口の丸みが決定的な違い
この2つの「オ」の音は、韓国人にとっては全く別の音です。その違いは口の形にあります。
- 어 (eo): 非円唇母音と呼ばれ、唇を丸めません。口を自然に、あるいは「ア」のように少し縦に開いた状態で、喉から音を出します。顎が下に下がる感覚です。
- 오 (o): 円唇母音と呼ばれ、唇をはっきりと丸めます。口先をすぼめて前に突き出すことで、明るくはっきりとした音が出ます。
鏡を見ながら、「어머니 (母)」と「오이 (きゅうり)」を交互に発音し、自分の口の形が正しく変わっているか確認する練習が非常に効果的です。

「ㅜ」は唇を突き出し、「ㅡ」は唇を横に引くという正反対の動きです
「우(u)」と「으(eu)」- 唇を突き出すか、横に引くか
こちらの「ウ」のペアは、唇の前後・左右の動きで区別されます。
- 우 (u): 円唇母音です。唇をしっかり丸めて、強く前に突き出します。「ちゅー」の口の形です。
- 으 (eu): 非円唇母音です。唇は丸めず、逆に「イー」と発音するときのように左右にぐっと引きます。
このペアも、「우리 (私たち)」と「으리 (義理)」のような単語で違いを意識しながら練習してみましょう。口の筋肉が正しい動きを覚えるまで、何度も繰り返すことが重要です。
基本母音を組み合わせるだけ!「合成母音(二重母音)」の世界へようこそ
6つの基本母音をマスターしたら、次のステップはそれらを組み合わせた「合成母音(二重母音)」です。難しそうに聞こえますが、実は基本母音の組み合わせなので、ルールを理解すれば怖くありません。
ステップ1:「y」の音を追加する合成母音 (ㅑ, ㅕ, ㅛ, ㅠ)
基本母音「ㅏ, ㅓ, ㅗ, ㅜ」に短い線が1本加わると、「y」の音がプラスされます。これは非常に分かりやすいルールです。
- ㅏ (ア) + ㅣ(yの音) → ㅑ (ヤ)
- ㅓ (オ) + ㅣ(yの音) → ㅕ (ヨ)
- ㅗ (オ) + ㅣ(yの音) → ㅛ (ヨ)
- ㅜ (ウ) + ㅣ(yの音) → ㅠ (ユ)
ポイントは、「여」と「요」の発音です。「여」は「ア」の口で「ヨ」、「요」は唇を丸めて「ヨ」と発音します。例えば、「여자 (ヨジャ – 女性)」と「요리 (ヨリ – 料理)」では、最初の「ヨ」の音が異なります。
例文: 야구 (ヤグ) – 野球
例文: 여름 (ヨルム) – 夏
ステップ2:2つの母音を合体させる合成母音 (ㅐ, ㅔ, ㅘ, ㅝ, ㅚ, ㅟ, ㅢ)
さらに、基本母音同士を組み合わせて作られる合成母音もあります。これらは一見複雑ですが、成り立ちを理解すると覚えやすくなります。
- ㅐ (エ) = ㅏ + ㅣ
- ㅔ (エ) = ㅓ + ㅣ
- ㅘ (ワ) = ㅗ + ㅏ
- ㅝ (ウォ) = ㅜ + ㅓ
- ㅚ (ウェ) = ㅗ + ㅣ
- ㅟ (ウィ) = ㅜ + ㅣ
- ㅢ (ウィ) = ㅡ + ㅣ
発音は同じ?「ㅐ(エ)」と「ㅔ(エ)」の微妙な違い
「ㅐ」は「ア」の口に近い、明るい「エ」、「ㅔ」は口をあまり開けない、少し暗めの「エ」とされますが、現代のソウル方言では、この2つの音はほとんど区別されません。 ですので、学習の初期段階では、どちらも日本語の「エ」に近い音として覚えて問題ありません。
複雑に見えて実は簡単!合成母音の覚え方のヒント
「ㅘ (ワ)」や「ㅝ (ウォ)」のような母音は、パーツとなっている母音を素早く連続して発音するイメージです。「ㅗ(オ)」と「ㅏ(ア)」を素早く言うと「ワ」になる、という感覚で練習すると良いでしょう。
もう挫折しない!科学的で楽しい韓国語母音の記憶術
理論を理解したら、あとは体に覚えさせるだけです。ここでは、記憶に定着させるための効果的な学習法をご紹介します。
単語とセットで覚えるのが記憶定着の最短ルート
母音を記号として単体で覚えようとすると、非常に無味乾燥で飽きてしまいます。最も効果的なのは、その母音を使った具体的な単語と一緒に覚えることです。音と意味が結びつくことで、脳は情報を長期記憶として保存しやすくなります。
練習例:
- 「오」を覚える → 「오이(きゅうり)」の絵を思い浮かべる
- 「우」を覚える → 「우유(牛乳)」のパッケージを思い浮かべる
- 「어」を覚える → 「어머니(お母さん)」の顔を思い浮かべる

イラストや写真と一緒に単語を覚えると、記憶への定着率が格段にアップします
見て、聞いて、書いて覚える!五感をフル活用した学習法
学習効果を高めるには、五感をバランスよく使うことが重要です。
- 見て覚える(視覚): ネイティブの口の形を動画で何度も確認する。自分の口の形を鏡でチェックする。
- 聞いて覚える(聴覚): ネイティブの発音を何度も聞く。自分の声を録音して、お手本と聞き比べる。
- 書いて覚える(触覚): ノートに何度もハングルを書き、形と音を結びつける。書き順も意識すると、美しい文字が書けるようになります。
スキマ時間を活用!おすすめの学習アプリとオンラインツール
現代では、スマートフォンアプリやウェブサイトを使えば、いつでもどこでも韓国語に触れることができます。
- 辞書アプリ (NAVER辞書など): 単語を調べるとネイティブの音声が聞けるので、発音確認に最適です。
- 言語交換アプリ (HelloTalkなど): ネイティブの友達を作り、実際の発音を教えてもらうことができます。
- ハングル練習アプリ: ゲーム感覚で母音や子音の暗記ができます。
これらのツールを日常生活に組み込むことで、学習を習慣化し、無理なく続けることができます。
韓国語の母音学習・よくある質問(Q&A)
最後に、学習者の皆さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. ローマ字表記(eo, euなど)は覚えた方がいいですか?
A1. ローマ字表記は、あくまでハングルを読めない初期段階での補助的なツールと考えるのが良いでしょう。発音の「目安」にはなりますが、完全に正確な音を表しているわけではありません。早い段階でハングルそのものの音を覚えることに集中し、ローマ字からは卒業することをおすすめします。最終的には、ハングルを見て直接音をイメージできる状態を目指しましょう。
Q2. 発音がどうしてもネイティブのようになりません。どうすればいいですか?
A2. 焦る必要はありません。発音の習得には時間がかかります。大切なのは、①お手本の音をよく聞くこと、②自分の声を録音して客観的に聞くこと、③口の形や舌の位置を意識することの3つです。特に、録音して聞き返す作業は、自分の発音の癖を発見するのに非常に効果的です。また、K-POPの好きな曲を歌詞を見ながら歌ってみるのも、楽しみながら発音を矯正できる良い練習法です。
Q3. 合成母音はどの順番で覚えるのが効率的ですか?
A3. まずは「y」がつく「ㅑ, ㅕ, ㅛ, ㅠ」をマスターしましょう。これらはルールが単純で覚えやすいです。次に、使用頻度の高い「ㅐ, ㅔ」を覚えます。その後に「ㅘ, ㅝ」などのW系の音に進むと、スムーズに学習を進められるでしょう。「ㅚ, ㅟ, ㅢ」はやや複雑で出現頻度も他に比べると低いので、後回しにしても問題ありません。
まとめ:母音を制する者は韓国語を制す!自信を持って次のステップへ
今回は、韓国語学習の土台となる「母音」について、その種類、発音のコツ、そして効果的な覚え方まで、徹底的に解説しました。
この記事の重要ポイント:
- ハングルは「子音+母音」の組み合わせでできている。
- 最初に覚えるべき核となる基本母音は6つ (ㅏ, ㅣ, ㅗ, ㅜ, ㅓ, ㅡ)。
- 日本語にない「ㅓ」と「ㅡ」は、口の形を意識して練習すれば必ずマスターできる。
- 母音は単体ではなく、単語とセットで覚えるのが最も効率的。
- 見て、聞いて、書いて、五感をフル活用することで記憶に定着する。
母音は、一見すると地味で退屈な学習に思えるかもしれません。しかし、この土台がしっかりしていればいるほど、今後の単語学習、文法学習、そして会話の実践が、驚くほどスムーズに進んでいきます。
今回学んだ知識を武器に、自信を持ってハングルの世界を冒険してください。母音をマスターしたあなたは、もう立派な韓国語学習者です。さあ、次は子音の世界へ、そしてさらに豊かな韓国語表現の世界へと、一緒にステップアップしていきましょう!