カンテク制度の背後にある物語:朝鮮王室の花嫁選びの真実

  1. 韓国歴史・文化

以前、韓国で似たような時期に放映を終えた「屋根部屋の皇太子」と「太陽を抱いた月」という2つの作品で、王と皇太子の配偶者を選抜する方法が相反していたことに興味をかきたてられました。

その方法とは、どんなものなのでしょうか?

カンテク制度の背後にある物語:朝鮮王室の花嫁選びの真実

朝鮮王と皇太子の花嫁選び

カンテク

朝鮮の王と皇太子は、一種の公開オーディションを通して配偶者を選抜しました。

간택」(カンテク)と呼ばれる候補者たちを宮殿の広間に一列に並ばせて審査するもので、朝鮮王室が発案した前代未聞の制度でした。

屋根部屋の皇太子で見るカンテク

しかし、「屋根部屋の皇太子」でのように、政治的影響力が絶大な家はカンテクに積極的に参加しましたが、このような積極的な家はごくまれだったようです。

なぜなら、王室と取引できるほどの政治的パワーを有する家柄であって初めてこのような反応を表すことができたからです。

太陽を抱いた月で見るカンテク

カンテクを忌避したドラマ「太陽を抱いた月」でホ・ヨンウ(ハン・ガイン)の父母は、自分の娘にカンテクから落ちる「秘訣」を教えます。

ほとんどの人はヨンウの父母のような反応を見せました。

なぜなら、カンテクの参加費用は婚礼費用と同じぐらいかかる上、王室と親戚関係を結ぶことにより、政治的な問題に巻き込まれる恐れもあったからですね。

カンテク制度自体に対する不快感

このような二つの反応と異なる、時代劇で紹介されなかった第三の反応があります。

それはカンテク制度自体に対する不快感です

特に사대부(サデブ、士大夫:家柄の高い人、官吏)の家はカンテク自体に不快感を抱きました。

不快感の理由1

なぜかというと、まず第一に士大夫の娘たちの体面が傷つくと判断したからです。

士大夫の家の娘だからといって必ずしもカンテクに参加できるのではありませんが、そのような家柄の娘たちが主に参加したので、彼女たちの体面が傷つくことを恐れたのです。

公開オーディションでは、参加者が審査委員たちにいい所を見せようと、自分を作るしかありません。

声も普段と変え、行動も少しは取り繕って変えます。

士大夫は自分の娘がそんな風に審査を受けなければならないという事実を不快に思いました。

士大夫の家の体面に傷がつくと判断したのです。

不快感の理由2

第二に、新婦側の結婚の主導権を侵害すると考えたからです。

士大夫たちは「男が女より先に行動するのが礼法」だと考えました。つまり、新郎が新婦側を訪ねていくのが礼法だと考えたのですね。

伝統的な結婚文化では新婦側が主導権を握っていました。

新郎が新婦の家に行って結婚式をとり行った後、そこで一定期間暮らしてから新郎の家に行くという慣習がその点を証明しています。

5万ウォン札のモデルである申師任堂(シンサイムダン)が自分の故郷である江陵(カンヌン)で栗谷 李珥(ユルコッ イイ)を出産したのもまさにそのためです。

申師任堂夫婦は新婦の家で結婚式をあげ、子供を出産した後で新郎の家へ行ったのです。これは朝鮮時代までの一般的な風景だったんですよ。

そのため、士大夫はカンテクが礼法に合わないと判断しました。一言でいうと、「マナーの無い」制度だと考えたのですね。

不快感の理由3

第三に、君主が賢明な妻を得ようと思うならば、天下をくまなく探すべきだと認識していたからです。

士大夫は、君主たるもの賢明な人物を求める心で、賢明な妻を得なければならないと考えました。

王や皇太子も配偶者を自分の家に来させてオーディションを開くのではなく、通りに出て行って、積極的にキャスティングしなければならないと考えたのです。

王室のこだわる理由

そんなカンテク制度が既存の結婚慣習に相反し、士大夫の反対にあったにもかかわらず、王室がこれにひどくこだわった理由は何でしょうか?

朝鮮王室が前代未聞のカンテク制度を考案したのには、一種のコンプレックスが働いたのです。

コンプレックスの元は?

太祖 李成桂(イ・ソンギュ)を始祖とする朝鮮王室は伝統性が非常に脆弱でした。

新王朝を支持する선비(ソンビ:学者)より、支持しないソンビの方がはるかに多かったのです。

世論を主導する層であったソンビらは、臣下である李成桂が主君である高麗王室を裏切ったことが儒教の理念に合わないと判断しました。

建国の軍事的基盤である李成桂軍団が、主に女真族の兵士で構成されたという点も李成桂にとっては弱点でした。

このように伝統性において脆弱だったため、初期の朝鮮王室はささいなことにも傷つき過敏反応を見せることも多々あったようです。

カンテクの起源

李成桂の息子 李芳遠(イ・バンウォン)が王だった時のことです。

李芳遠はイ・ソクという人と縁戚を結ぶため、その家に人を行かせました。

その時、ちょうどイ・ソクは客人とを打っている最中でした。王の使者が訪問したにもかかわらず、イ・ソクは碁をやめません。

王の使者が訪問の目的を説明したとたん、イ・ソクは即座に突っぱねます。

イ・ソクの言葉は一言でいうと、「結婚はレベルが合った者同士ですべきでしょう」と言うことでした。朝鮮王室とは結婚したくないというメッセージですね。

この言葉を伝え聞いた李芳遠は、王室が無視されたという事実に激怒しました。

彼はイ・ソクの家の家禄を没収し、その家の子どもたちが婚姻できないよう厳禁します。

プライドが傷ついた李芳遠は「今後は配偶者候補を集めて審査しなさい」と命じます。

これがカンテク制度の起源です

前代未聞の「マナ-の無い」制度であるカンテクは、このように朝鮮王室のコンプレックスが産んだ産物でした。

伝統性に弱い朝鮮王室は配偶者候補を自分の家に一列に並ばせて審査することにより、王室の力を誇りたかったのですね。

彼らは「一列に並びなさい!」と叫んでみたかったのです。

急須を持った伝統的な韓国のカップル。

韓国語表現

<質問する/聞き返す>

알아요?  知っていますか?

맞아요?  合ってますか?

뭐라고 하셨어요?  何とおっしゃいましたか?

한국어로 뭐라고 해요?  韓国語で何と言いますか?

알겠어요?  分かりましたか?

다시 한 번 말해 주세요. もう一度言ってください。

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