年上には使えない?失礼にならない韓国語敬称の正確な使い方と注意点

  1. 韓国語単語・意味

韓国語を勉強すると覚えた言葉を使ってみたくて、韓国人とお話する機会が増えてくると思います。仕事やプライベートなど色んなパターンの出会いがあるでしょう。

そんな時に相手をどう呼んだらよいのか、迷いますね。今回はその敬称について学びましょう。

韓国語の敬称の種類

まずは、韓国語ではどのように相手を呼ぶのかについて勉強しましょう。

日本語と韓国語は文法や言葉が似ているので、日本語の敬称をそのまま直訳して使っても良さそうに思いますが…果たしてどうでしょうか?早速ケース別にみていきましょう。

年下や同年代・友達の場合

日本語の場合は、友達や年下の人を呼ぶとき、「~ちゃん」や「~くん」をつけたり、呼び捨てにしたり、はたまたニックネームで呼んだりと様々ですね。韓国語の場合、大きく2つのパターンがあります。

  • 相手の名前を呼び捨て
  • 相手の名前に「~씨」をつける

相手の名前を呼び捨て

呼び捨てといっても日本語のそれとは少し違います。韓国語の名前には、母音で終わる場合とパッチムで終わる場合がありますね。パッチムの有無で呼び捨ての仕方も少し違います。

名前が母音で終わる場合】

例えば「유미(ユミ)」さんの場合は、「유미(ユミ)」とは呼ばず、「유미야(ユミヤ)」となります。日本語のように名前だけで終わってしまうと少し不自然な感じがします。

個人的な感覚かもしれませんが、この後ろにつく「~야」があることで、相手を呼んでいる、話しかけているニュアンスが増す感じがします。

【名前がパッチムで終わる場合】

名前がパッチムで終わる「지은 (ジウン)」さんの場合は、「」ではなく「(ア)」を付け「지은아(ジウナ)」となります。「ジウンア」ではなくて「ジウナ」になるので、注意してくださいね。

余談ですが、パッチムで名前が終わる人について(友達や年下の人)話す場合は少し注意が必要です。

例えば「それはジウンがしました。」と言う場合、「그건 지은이가 했어요.」となります。「지은아가」とはなりませんので、注意しましょう。

相手の名前に「~씨」をつける

上下関係に厳しい韓国で、どうして同年代や年下の人に「~씨」を使うんだろうと思った人もいるかもしれませんね。相手との関係性にもよりますが、同じ歳でも年下でも最初から「반말」を使うのは少し馴れ馴れしい感じがします。

もちろん、相手と「반말」を使おうとすぐに合意した場合は別ですが、相手が同年代や年下であろうと最初は失礼のないように「名前+」で呼ぶほうが良いですね。

先輩や年上の場合

先輩の場合は日本語と同じ「先輩」という呼称を使いますが、日本語とは違い「」(様という意味)をつけて「선배님」となります。

例えばその場に複数の先輩が居る場合は「지은 선배님」「유미 선배님」と呼びます。日本語と違い、苗字+「선배님」とはならないので注意してくださいね。

初対面やあまり親しくない年上の人を呼ぶ場合「~」を使います。

年齢に関係なく少し距離がある人に対して用いることができる敬称で、日本語の「~さん」のような使い方ができ便利なのですが、相手との年齢差が大きい場合、「~」は少し不自然というか偉そうな感じがすることもあります。

例えば、自分が20代で相手が50代以上の場合(あくまでも例ですが)、「~」ではなく「선생님」(先生という意味)と呼んだりします。相手が学校の先生等の教師でなくてもです。

先に生まれた人という尊敬の意味として、かなり歳が離れた相手の場合は「선생님」と呼ぶ場合があります。

家族の場合

家族の場合も基本的には年齢が基準になっていて、弟や妹等の自分よりも年下、あるいは同年齢の場合は、年下や友達を呼ぶ呼び方と同じで名前を呼び捨てにします。

親や兄姉など自分より年上の場合は、名前で呼ぶことはなく「아빠, 아버지, 엄마, 어머니, 형, 누나, 오빠, 언니」のような家族の敬称を使います。

窓の前で抱き合う韓国人の若いカップル。

恋人・夫婦の場合

恋人同士や夫婦の場合の特別な呼び方はありますが、他と同じように基本は年齢が上か下かが基準となっています。ですので、相手が年下の場合は、年下や友達を呼ぶ呼び方と同じで名前を呼び捨てにします。

恋人の場合

恋人同士の場合は基本的には名前を呼び捨て、相手が年上であれば「오빠」といった親しい間柄で使われる呼び方をしますが、「자기야(チャギヤ)」という「ダーリン、ハニー」といったニュアンスの呼び方もあります。

これは男性から女性、女性から男性、両方に使うことができますが、女性が1歳でも下の場合は「오빠」を使っていることが多いような気がします。

夫婦の場合

恋人同士の時の呼び方と同じ呼び方「자기야」や「오빠」をそのまま使っている場合も多いのですが、以下が夫婦の場合に使われる特別な呼び方です。

여보(ヨボ)

妻が夫を呼ぶとき、夫が妻を呼ぶとき両方に使えます。日本語の「あなた、おまえ」ですかね。日本語で「あなた、お前」を実際使っている人はそんなに多くないと思いますが、韓国では「여보」を使う人は多いです。

당신(タンシン)

この言葉は「あなた」という意味だとご存じの方もいらっしゃるでしょう。こちらも夫が妻に、妻が夫にと両方に使えます。

これは相手を呼ぶ時に使うというよりも、相手に対して何かを聞きたい時に使われています。「당신은 뭐 먹을 거예요?」(あなたは何をたべるの?)という感じの使い方です。

そして子供がいる夫婦の場合は、日本と同じように子供目線に立って相手を「パパ、ママ」といった呼び方をする場合があります。ただ日本と違うのは「パパ、ママ」を単体で使わない事。

「子供の名前+아빠, 아버지」もしくは「 子供の名前+엄마, 어머니」となります。子供が何人か居る時は長子の名前を入れている場合が多いと思います。

会社の上司や同僚の場合

会社や職場では、相手の肩書や職種を呼称に入れるのが基本です。日本でも「○○課長」といった呼び方をしますが、韓国では少し違います。

日本人には少し変な感じがするかもしれませんが「肩書や職種+」、直訳しますと「○○課長様」といった呼び方になります。

韓国では肩書や職種を重要視するので、ビジネスやかしこまった場で自己紹介する際には自分の肩書をいれて自分の名前を言います。

例えば「저는 김 지호 팀장입니다.」(私はキムジホチーム長です。)といった感じで、これも日本人にとっては少し違和感がありますね。

そしてもう一つ、日本語と韓国語とで大きく違うことがあります。自分の会社の上司について他の会社の人に話す場合です。これは注意が必要ですよ。

キム課長は、少し席を外しておりますが。

김 과장님께서 잠깐 자리를 비우셨는데요.

キム社長が申しておりました。

김 사장님께서 그렇게 말씀하셨습니다.

キム社長は外出しております。

김 사장님은 외근 나가셨습니다.

上の例のように、日本では相手が社外の人の場合、自分の会社の人つまり身内について尊敬語を使いませんし呼び捨てにしますが、韓国ではたとえ同じ会社の上司について話す場合でも、必ず尊敬語を使いますので注意しましょう。

ちなみに以下が会社で使われる主な肩書です。

  • 회장님 会長
  • 사장님 社長
  • 이사님 理事
  • 전무님 専務
  • 소장님 所長
  • 부장님 部長
  • 차장님 次長
  • 과장님 課長
  • 팀장님 チーム長
  • 대리님 代理

あと日本語との違いでもう一つ、職種が絡む呼び方の場合は日本語とは違った言い方をします。

俳優のパクジフンです。

저는 박 지훈 배우입니다.

ゲストは、俳優のパクジフンさんです。

게스트는 박 지훈 배우님입니다.

デザイナーのキムハナです。

김 하나 디저이너님입니다.

日本語では職種が前につきますが、韓国語では肩書同様に名前の後ろに職種がつき、相手について話す場合は「」がついてきます。

ビジネススーツを着た女性が韓国出身の別の女性と握手をしている。

「~씨」の使い方

それでは一般的に「~さん」という意味の「~」について少し詳しく説明しましょう。~(~氏) ~さん、日本語にもあるから簡単、簡単。全然問題なし。と思ったら、それはちょっと早合点かもしれませんよ。

「~씨」の基本的な使い方

日本語の「~さん」は一般的な場面では老若男女、あるいは年上年下に関係なく使える呼び方ですね。しかし敬称の種類のところでも少し触れましたが、韓国語の「~」はある程度使える相手が限られると思ってください。

韓国語では年が一歳違うだけでも、言葉遣いに非常に気を使います。特に年上の人には失礼のないよう、気を使わなければならないのです。

そのため韓国人同士では、初対面でも「お幾つでいらっしゃいますか?」と平気で確認したりします。もちろん、初対面の相手に年なんか聞いたら失礼だという日本人的な考えを韓国の人も持っています。

しかしそれ以上に、後で「年上だったのにぞんざいな言葉遣いをしてしまった」という失敗をしないために、相手の年齢を確認するのは、許されている行為です。

とはいえ、いきなり年齢を聞くのは気が引けますから、相手が年上であっても年下であっても良いように丁寧な表現を使い、最初は失礼のないように「名前+」で呼ぶほうが良いですね。

「~씨」の使い方の注意点

最初の種類の敬称の種類のところでも触れましたとおり、「~」を使う際には少し注意が必要です。

  • 歳の離れた年上には使えない
  • 「苗字だけ+~」はタブー

最初の注意点は既に少し説明しましたが、日本語と違いあまりにも年齢が離れた人に対して「~」を使うのは、少し失礼な感じになります。

「~」が使えない場合は、例えば故郷が同じだったり、卒業した学校が同じだったりする場合は「선배님」(先輩)を使っても良いですし、特にそういった共通点等がない場合は、先に生まれた方という尊敬の意味を込めて「선생님」(先生)と呼んでもよいですね。

次に2つ目の注意点、「苗字だけ+~」はタブー。これは、日本語で○○さんという風に苗字を呼ぶのに違和感を感じない点から、日本人がうっかり使いがちです。

今まで紹介している通り「名前+~」「フルネーム+~」といった使い方が正解です。「フルネーム+~」より「名前+~」のほうが少し距離間が近い印象で、親しみが感じられます。相手との関係に合わせて使い分けてみてくださいね。

そしてここで例外!

私たちが韓国の人に対して、上の注意点で紹介した呼び方をしてしまうと決して良い気はしないはずです。ところが彼らは、私たち日本人には上の注意点でご紹介した呼び方を普通に使ってきます。

えー?どういう事!?と思うかもしれませんが原則は原則! 韓国の人がみなさんに「苗字だけ+~」という呼び方をしてきても、それはそれでありなので、お気を悪くしないで下さいね。

(私も苗字にをつけて呼ばれていた経験がありますが、多分日本語の呼び方をそのまま直訳しているだけで、失礼な呼び方をしようという意図はありませんよ)

ソファに座って本を読んでいる韓国人男性。

その他の呼称

今回ご紹介した呼び方以外にも、日本語の呼称と似た呼び方があります。韓ドラが好きな方はもしかすると耳にしたことがあるかと思いますが「~」(くん)です。

ただし日本の「~くん」と違い、地位がある人や年配の人が若い人に対して付ける場合がほとんどで、友人や同僚、年齢が近い年下(後輩)には使いません。

年上の人を「~くん」付けで呼ぶ事はかなり失礼ですので、ご注意くださいね。(日本語でも年上の人を君付けで呼ぶのは少し失礼だったりしますもんね)

そして韓国ドラマでよくあるシチュエーション、社長や会長といった人が使う呼び方をもう一つご紹介しておきましょう。

年がかなり離れた人、もしくは地位が高い人が、目下の人に「君はどう思うかい?」のような意見の聞き方をすることがあると思います。

韓国語も「자네(君)」と相手を呼ぶ場合があり、日本語と同様に地位や年齢がかなり離れた相手に使います。ですので、先ほどの「君はどう思うかい?」は「자네는 어떻게 생각하나?」となりますね。

韓ドラで大企業の会長が部下に、そして親が娘婿に対して「자네」を使っていることがよくありますので、ドラマをご覧になる際は、是非耳をすましてみてくださいね。

まとめ

今回はハングルの覚え方や韓国語の勉強の方法やテクニックについてご紹介しました。

日常的に韓国語に触れようと思えばインターネットや動画等簡単にできます。今回ご紹介した方法を駆使すれば、日本に居ながら韓国語が上達すること間違いなし!是非試してみてくださいね。

関連リンク

  1. 韓国語の敬称……呼び方は相手の立場(年上・同い年等)で異なる! – オールアバウト
    • この記事では、韓国語の敬称の使い方について詳しく解説しており、特に「~씨」の使用に関する注意点や、相手の立場に応じた適切な呼び方について説明しています。
  2. 韓国で女の方が年上にヒョンと呼ぶのはおかしいのですか??韓国でジェンダーレ…
    • このYahoo!知恵袋の質問では、韓国語の敬称「ヒョン」に関する疑問が取り上げられており、韓国語の敬称に関するジェンダーの側面についての議論が展開されています。

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